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COLUMN   2019/1/8

青学大・原監督に学ぶ、人を育てる上司の「負け方」とは?

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2019年の箱根駅伝で、大会5連覇と史上初の「2度目の大学駅伝3冠」を狙いながらも、往路で失速し総合2位に終わった青山学院大学。
 
同大学の指揮官である原監督に対しては、2018年にはバラエティー番組や情報番組などテレビ出演も多かったことから、その姿勢を批判する声もありますが、世紀の総合優勝を逃したその「負け方」には、組織で人の上に立ち、人を育てるリーダーのあり方として見習える点が多くあります。
 
自分が率いる組織、メンバーが期待された結果を出せない時、どのような言動が組織を次のステップに導くのか。報道された原監督の言動から、メンバーが育つ上司の「負け方」から学んでみたいと思います。
 
 
 

自分の非を潔く認める

 
総合2位に終わった原監督の言動で目立つのが、その敗因について真っ先に自らの「采配ミス」や「勝つことに慣れて保守的になってしまった姿勢」を認める潔さです。いくつかの記事を引用してご紹介しましょう。
 
 
「東海大はいい走りをしたが、力負けというよりうちが失敗した負け。4区の難しさ、大切さに対してもっと思いを持つべきだったが、甘く見た。ここに初めて箱根を走る選手を置いた私の見る目が少しなかった」
(「【箱根駅伝】青学V5ならず 原監督が悔やんだ3つの敗因」東スポWeb 2019年1月4日)
 
「私自身、ミーティングで『去年はどうだった』と言うことが多かった。同じことをやればいいのではなく、進化していかないと退化する」
(「「進化しないと退化する」5連覇逃した青学大・原監督」産経新聞 2019年1月3日)
 
 
「事実なんだから、当たり前だろう」「これはマスコミ向けに、体よくコメントしただけではないか」という見方もできるかもしれません。それでも、自分の非を正面から受け止めて認めることは、自分の弱さをさらけ出すことにもなり、上に立つ立場になればなるほど、普通は防衛本能やプライドが邪魔をしてしまうものです。
 
実際、「PRESIDENT Online」の「「器が小さい」と思う上司の行動トップ10」(2017年5月10日)でも、ランキングの第1位に「自分の非を認めない」が堂々とランクイン。「自分の非を認めない」上司がいかに多いかが伺えます。
 
なぜなら、「自分の非を認める」というのは、実はとても難しい行為だからです。「自分が過ちや失敗をした」「非があった」と気づけなければ、認めることができないのですが、そもそも心の底から1ミリの疑いもなく「悪いのは周囲や環境のせい」と思っていたら、自分の非に気づくことすらできません
 
さらに「自分は悪くない、結果がでなかったのは部下のミスや環境が悪かったから」と考えれば、精神的にも楽になります。責任も逃れられるかもしれません。「自分のミスや失敗を認めたら負け」という状況も、職場によってはあるかもしれません。そうした理由から、自分の非に気づいても、なかったことしてしまう心理が働くこともあります。
 
このように冷静に自らの采配や姿勢に対して非を認めるのは、誰もが簡単にできることではありません。
しかし、「自分の非を認め、責任を取る」という強さや人間性が、メンバーや部下からの信頼につながります。自分の非を素直に受け入れることで、失敗を素直に反省して状況を改善することができ、失敗や敗北から学んで成長することもできます。
 
自分の失敗を潔く認めるのは、時に勇気も必要です。だからこそ、それができる上司からメンバーや部下は学ぶことができ、「この人についていこう」「この人を支えよう」と思えるのではないでしょうか。
 
 
 

「悪いイメージ」を払拭する機会を作る

 

 
今回の箱根駅伝のように上司の采配ミス、マネジメントが原因であったとしても、現場で直接の敗因となるのはメンバーの行動です。そのため、成果を出せなかったメンバーが敗因の主犯のように扱われ、本人も、周囲も、そして何より上司自身が「あいつはダメな奴」「失敗した奴」という悪いイメージを持ってしまうことも少なくありません。
 
そしてその失敗の影響が大きければ大きいほど、悪いイメージは色濃くいつまでも残ります。
上司を始め、周囲がそのメンバーに期待することはなくなり、本人も「自分はできない奴」というセルフイメージを持ってしまいます。こうなると「ゴーレム効果」となり、もう周囲から期待されないと感じたメンバーは、本来持っている力も発揮できなくなってしまう可能性があります
 
「出来ない奴」のレッテルが現場で失敗したメンバーに貼られ、悪いイメージが残ってしまうのは、本人にとっても、組織にとってもプラスではありません。「失敗したら、レッテルが貼られて終わり」という空気が組織にできてしまうと、失敗しないようにと保守的になってしまい、チャレンジする精神が育たなくなってしまうからです。
 
では原監督はどうしたかというと、箱根駅伝後、失速の原因となった4区と5区の選手に「復活のチャンス」を作ります。今月13日に栃木・高根沢町で行われる「高根沢町元気あっぷハーフマラソン」に、その2名の選手を「いいイメージを取り戻すために走る」と、箱根駅伝後に参加を決めたのです。
 
これを仕事で例えるならば、商談に失敗したメンバーが今度こそ成功を体験できるように、新たな商談の機会をできるだけ早い段階で(悪いイメージが定着しないうちに)与える、という感じですが、いかがでしょう。なかなか、上司としては勇気がいる決断だと思いませんか。
 
普通なら「また失敗するのではないか」と躊躇してしまうところですが、ここでメンバーを信頼して任せて機会を与えるからこそ、「今度こそはその期待に応えたい」とメンバーの成長に繋がるのです。さらに、上司として自分自身も、メンバーに対する悪いイメージを払拭することで、「出来ない奴」と決めつけてメンバーの可能性や成長する機会を奪ってしまうのを防ぐことができるでしょう。
 
挽回できる機会が次にあるからこそ、負けた経験から学び、経験を糧に成長できるのです。
 
 
 
今回、青山学院大学は「5連覇」「2度目の大学駅伝3冠」という偉業を逃しました。
しかし、その「負け方」は原監督だけでなく、「ゴールする時は絶対に笑顔でいようと思った」と語り笑顔でゴールしたアンカーの選手や、彼を笑顔で迎えた主将、他の選手たちに至るまで清々しく、「感動した」「グッドルーザーだ」という称賛の声が上がっています。
 
ビジネスの世界でも勝ち続けることは難しいからこそ、次につながる「負け方」が成長のカギになります。前向きで次につながる「負け方」は、スポーツだけのものではありません。今回の青山学院大学に学び、いい「負け方」を身に付けていきたいものですね。