「指示待ち社員」を改善できる上司・できない上司

「指示待ち社員」を改善できる上司・できない上司

「指示待ち社員」を改善できる上司・できない上司 640 427 株式会社アールナイン

新入社員が研修を終えて、現場に配属されてしばらくすると、こんな声が聞こえてくることがあります。

「大人しくて指示を待ってばかりでなくて、全然自分から動かない」
「自分から学ぼうとする意欲がちっとも感じられない」

言われないと、やらない。言われたことしか、やらない。

そんな「指示待ち社員」も増えているようです。新入社員に限らず、ウチは中堅社員もそうなんだ…と頭を抱える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ここで採用の失敗を嘆く必要はありません。指示待ち社員もマネジメント次第で、「自ら動く社員」に変わっていきますよ。

仕事の全体像を伝えるようにする?「ホウレンソウ」の大切さを徹底させる?それも必要なことですが、「指示待ち社員」を変えるためにまず確認しておくべきことがあります。

 

「自ら考えて動く社員」へと成長した「指示待ち社員」

最初から「自ら考えて動く」ことができる社員もいますが、なかには「指示待ち社員」が「自ら考えて動く社員」へ成長していくケースもあります。

最近、地方の介護施設で働く30代の男性に出会いました。

彼は仕事上の改善点を見つけるのが大好き。自分の意見や提案をもとに職場の皆で話し合い、サービスを改善していくのがたまらなく楽しい、と語ります。そして忙しい介護の仕事の合間に、電車で2時間かかる都内の研修や会合に月に4~5回も参加。さらに社会福祉に関する社外活動にも参加し、知識と人脈を広げ、それを仕事に生かそうとしています。

そんな姿勢が認められ、転職して3年でマネージャーに昇格。まさに、やる気に溢れた「自ら考えて動く」社員の典型的なモデルといえるでしょう。

「すごく活動的ですね」という私に、彼は答えました。

「でも僕、前の施設では指示待ち人間だったんです」

 

「自分の意見」が言いたくなる組織、言うのが面倒になる組織

彼の働き方がガラリと変わった、以前の職場と今の職場。一体何が違ったのでしょうか。彼は言います。

「前の職場では、誰も意見なんか聞いてくれなかったし、そもそも自分の意見なんて言う雰囲気じゃなかったんですよね。」

その職場では指示命令系統がしっかりしており、その指示は現場を知らない経営者が発信するため、現場の感覚と離れていたり目的がわからなかったりすることも多々あったそうです。

それでも「なぜこれをするのか?」「こうしたらどうか?」という話をする雰囲気が、そもそも職場にない。それなら指示だけしてこなしていればいい。こうして彼は、指示待ち社員として過ごしていました。

しかし、転職先の職場では違いました。

今の職場では、司を始め、職場の皆が彼の意見を「聴いて」くれました。仕事の目的を共有し、彼に意見を求め、意見や提案を採用できなくても彼の考えを汲み取り、なんらかの形で活かそうとしてくれました。自分に意見を求め、きちんと聴いてくれる場がある。それが彼を、「指示待ち社員」から「自ら動く社員」へと成長させていったのです。

 

社員や部下や後輩の意見を本当に「聴いて」いますか?

「なんだ、言ってくれればいつでも話は聞くのに」
「何かあれば何でも話してと、いつでも声はかけている。だけど言ってこないんだ」

そう思っていても、自分が思っているほど人の話をきちんと聴く姿勢ができていない人はたくさんいます。それを人の話を聞く「傾聴」の3つのレベルから客観的に考えてみましょう。

レベル1は「内的傾聴」といい、人の話を聞きながら、自分のことを考えている状態です。わかりやすくいうなら、部下や後輩の話を聞きながら、それに対する持論を言いたくてうずうずし、自分が話すタイミングを虎視眈々と狙っている。そんな状況でしょう。

しかしこれは、「聴いている」とは言い難い状況です。相手が「自分の話を聴いてもらっている」と感じることも難しく、むしろ「この人、結局自分の話がしたいだけなんじゃないか」と感じます。また何か言ったら、すかさず小言や反論が返ってくると思えば、意見を言うことが面倒になってきてしまうのも無理はありません。

部下が、後輩が、自分の意見をちっとも言わない。
相談してこない。

そんなときは、このように上司が「話を聞いているつもり」になっていないか、職場で意見を言いにくい雰囲気を創り出してしまっていないか、確認してみる必要があります。

 

自分の意見がいいたくなる「聴き方」とは

一方、自分の意見を話したくなるのが、傾聴のレベル2以降の「聴き方」で話を聞いてもらった場合です。

傾聴のレベル2は「集中的傾聴」といい、このレベルになると相手に好奇心を持ち、声の調子や間、感情の変化なども意識しながら話を聴くことができています。この状態では、相手に興味を持って話を聴いているので、自然と相手の考えを確認する「オープンクエスチョン」(「どうしてそう思うの?」「君はどうしたらいいと思う?」など)が多くなります。

そして傾聴のレベル3が「全方位的傾聴」といい、自分と相手だけでなく「場の空気感」を読みながら話を聴いている状態となります。その場にいるメンバーへの影響、反応なども考えて聴くことができている状況がこのレベルです。

レベル2以上の傾聴法で話を「聴いて」もらうと、人は「この人は自分の話を聞いてくれている」「自分の意見をきちんと受け止めてくれている」と感じます。個人面談の場だけでなく、業務の様々な接点でこのように話を聞いてもらえる安心感があれば、仕事でのちょっとした気づきや疑問、不安なども言いやすくなるでしょう。

出てきた意見をどのように受け止め、効果的にフィードバックしていくかは、もちろんまた別の問題です。しかしこのように、上司が「きちんと聴く」姿勢で向き合い、相手が意見を言いやすい状況を作ることが、「指示待ち社員」を成長させていく第一歩なのです。

 

そもそもなぜ彼らは指示を待っているのか?その確認も「聴く」ことから始まる

ただし今回紹介したケースは、「何らかの答えを自分の中に持っている」または、「何らかの答えを自分で探そうという意欲が少しはある」、いわば成長の可能性がある「仮面指示待ち社員」のケースです。

そんな「仮面指示待ち社員」は、確かに話をきちんと聴く機会を作ることで変わっていきます。しかし中には残念ながら、自分の意見など最初からない「根っからの指示待ち人間」もいます。あるいは「仕事の全体像や目的がわからない」から、「自分に期待されている役割がわからない」から、指示を待っているだけの場合もあります。

「指示待ち」になってしまっている理由は、人それぞれ、マネジメント法もそれぞれなのです。

目の前であなたを悩ませている「指示待ち社員」は、なぜ指示を待っているのでしょうか。それを見極めてマネジメントを考えるためにも、まずは相手の話や状況を「きちんと聴いて」みませんか。