時代の変化に合わせて、日々新しい採用手法が出てきます。
ここ数年でよく耳にするようになった「ダイレクトリクルーティング」もその1つです。昔から水面下では行われていたであろう、実は地道な採用手法ですが、売り手市場化し人材を確保する難易度が上がって来た今だからこそ、新たな採用手法として脚光を浴びているのです。
SNSやデータベース等を用いて企業から積極的に接触していく手法で、攻めの採用手段として活用する企業が増えてきました。
ダイレクトリクルーティングってそもそも何?
ダイレクトリクルーティングというのは、簡単に説明すると、企業が自ら積極的に求めている人材にアプローチする採用手法です。
具体的には、クローズドのイベントを実施して交流したり、SNS等から「この人は!」と思った人に対して個別にアプローチをしたり、ダイレクトリクルーティングに特化した求人サイトの登録者にオファーレターを送る等、企業から求職者へ働きかけるような活動になります。
これまでのメイン手法は、求人媒体と大学内等の合同説明会を活用した広報を行い、興味を持った学生が応募する、という方法でした。これは、広く、多くの学生に告知でき、会うことができるので、何百人、何千人と採用するような「広く、多く」を求めている企業にとっては非常に効率がいい方法です。
ただ、この手法だと母集団のコントロールをすることができません。応募してきた学生の中から、欲しい人材やそれに近しい人をスクリーニングして採用していくことになりますので、本当に条件を全てを満たした人がいるかどうかは蓋を開けてみなければわからない、という怖さがあります。
ダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットは?
いいと思った人にこちらから働きかけられる、と聞くととても良い手法のように見えますが、デメリットはないのでしょうか?
ダイレクトリクルーティングのメリットデメリットについてまとめてみました。
メリット
①一人当たりの採用コストを抑えることができる
採用活動は、実は想像するよりもかかっています。
会場費、媒体費、学生の面接にかかる交通費、等の予算化できるコストもですが、面接官が朝から晩まで何日も面接をし続ける、出張が続く、等目に見えないコストや負担も含めると実は1人採用する為にかかるコストは非常に大きいのです。
その点、ダイレクトリクルーティングであれば、「この人!」と思った人に対してマンマークで内定まで繋ぐことができる可能性があるのでコストという観点では非常にお得です。
②今まで出会えなかった人にアプローチできる
これがダイレクトリクルーティングの最大のメリットと言えるでしょう。
今まではまず多くの学生に会うという、「面」での接触がメインでしたが、ダイレクトリクルーティングでは、求める人材像に合致する人だけに「点」でアプローチできるというメリットがあります。
例えば女性用品をメインに扱っているメーカーは女性社員の方が多いのでは?と実体とは異なった理解をされている場合があり、なかなか男性学生には出会えなかったりします。その逆もしかりで、女性が集まりにくい業種もあります。
そうした課題を抱える企業にとってはいくら「男性も女性も活躍しています!」と大声で訴えかけた所で解決することができません。そこでダイレクトリクルーティングを活用することで解決できる可能性があるのです。
③採用スピードを上げることができる
ご説明した通り、従来の「面」での接触だと1人1人を深く知るのに時間と工程がかかります。しかし、ターゲットを絞ってしまえば、一気に双方の理解が深まりますので、判断スピードが劇的に上がるのです。
④「採用力」を高めることができる
ダイレクトリクルーティングは、学生の反応もダイレクトに受け取ることができます。自社のどこが評価されたのか、こういう人材へのアプローチはどのようにしたらいいのか、といった、今後の採用活動に役立つ情報が社内に蓄積されていくのです。
デメリット
①工数が増える
ダイレクトリクルーティングは、ターゲットに合わせてカスタマイズできるので細かく対応することができますが、人によってはかなり工程を要する場合があります。多くの社員に会わせてほしい、インターンをさせてほしい、等多種多様な要望に適宜対応していく必要があるのです。
②すぐに成果が出ない可能性がある
メリットとして「採用力」を高めるとお話ししましたが、社内にノウハウが蓄積されてそこから採用の勝ちパターンが構築されるまでには時間がかかる可能性があります。勝ちパターンという観点においては、成果を急いではいけないのです。
ダイレクトリクルーティングを成功させるためのポイント
初めての事にチャレンジするには、ポイントを押さえた準備が必要です。
①即効性を求めない事
②本当にダイレクトリクルーティングが必要なのか、課題を抽出しておく
③社内の協力と理解を得ること
これまで何十年も行ってきた採用手法を変える、新しいことをする、ということは社内の理解を得ること、また成果への注目も高くプレッシャーを感じることも多いでしょう。
しかし、本当に必要な人を獲得する為、今必要なことは何なのか?ということを常に考えて試行錯誤していけば、社内外巻き込んだ採用活動ができるでしょう。