売り手市場で採用難が続く今、気づけば人事として「人材を採用すること」自体が目的になってしまっていることはありませんか。しかし、実際は新卒でも中途入社者でも入社した後に活躍してもらい、長く働いてもらうことが大切です。
今回は、中途入社者を定着させるために、人事がすべき4ステップについてご説明していきましょう。
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ステップ0 入社後に活躍できそうな人を採用する
入社後に活躍し、長く働いてもらうための人材を採用するために選考プロセスから必要なことという意味で、あえてステップ1ではなくステップ0とさせていただきます。
中途入社者の選考プロセスでは、人事担当者と一緒に配属予定の事業部の関係者も加わることがほとんどでしょう。配属予定となる事業部は、とにかく早く人を補充したいと思うあまり、当初の人材要件を良く言えば緩和、悪く言えば妥協して判断している可能性もあるかもしれません。
採用する人材は、本当にこの人でいいのか。
配属後に担当する業務に対し、十分な経験をもっているのか。
部署の同僚や職場の仲間たちとうまくやっていけそうか。
採用を決める前に、改めて事業部の関係者と共に確認していきましょう。
ステップ1 中途入社者が活躍できる環境を整える
ステップ0を経て、中途入社者の採用が決まり、入社日が決まったら、次は受け入れ環境を整えていきましょう。
配属先の関係者が選考プロセスに関わり、面接で中途入社者の話を聞いていれば、中途入社者がなぜ転職したいと考え、どんな仕事をしたいと思って入社してきたのかは理解しています。しかし、もし配属先の直属の上司が面接に関わっていない場合は、その中途入社者に関する情報を共有しておくと受け入れがスムーズになります。
また、配属先の課やチームの同僚にも、「どこでどんな経験を持っている人材なのか」ということを事前に伝え、中途入社者を受け入れやすい雰囲気をつくっておくことも大切です。
中途入社者を受け入れる際には、入社研修やOJTだけでなく、このような「受け入れ環境づくり」にも配慮しましょう。
ステップ2 パフォーマンスを正しく評価する
入社後は、本人が期待に応えるパフォーマンスを発揮できているのかということ、そしてそれを正しく評価するということが重要です。
特に中途入社者の場合は、最初の評価とフィードバックを丁寧に行う必要があります。「事前に聞いていた仕事内容と認識の違いはないか」「自分自身ではどのように評価しているのか」など、「思っていたのと異なっていた」ということがないように確認をしていきましょう。
そのためのポイントは2つです。
1.業務内容と期待を伝える
中途入社者に対しては、業務内容と担当する業務への期待をきちんと伝える必要があります。業務内容も表面的なことだけではなく、中途入社者の業務理解が早く進み、より早く仕事の成果が出せるようになるように、「なぜその業務が必要なのか」など業務の背景も伝えていきましょう。
また、中途入社者に対しては今までの経験を生かして、どのような活躍を期待しているのか、役割を担ってほしいのかも具体的に伝えておくと効果的です。
最初の段階でこのコミュニケーションを丁寧に行っておくと、その後の仕事の成果が異なってきますので、ぜひきちんと時間をとってコミュニケーションをしてみてください。
2.絶対評価をし、プロパー社員と比較しない
昇格、昇給の時は最終的に相対評価になるでしょうが、まずは絶対評価をすることを意識しましょう。
そして、「期待していた程ではないな」と感覚でがっかりするのではなく、期初の計画に対してしっかりと成果を出したのか、というところを冷静に評価できるよう、人事が現場の評価者に指導する必要があります。
中途入社者に対して過度な期待をしてしまうケースもありますが、その期待が大きければ大きいほど、その期待とのギャップでネガティブなイメージを引き起こす可能性もあるということを念頭においておきましょう。
ステップ3 定期的なコミュニケーションでキャリアプランを確認する
中途入社者だけではなく全ての社員に共通することですが、職場で長く活躍し続けてもらうためには、社員の適性と仕事があっているか、本人の希望やモチベーションはどうか、能力にあった適切な機会があるかなどを確認し、そこにズレが生じないようにすることが大切です。
特に「もっと成長したい」と高い意欲で転職してきた中途入社者にとっては、相応の成長の機会、活躍の機会があることが、定着率に大きく影響します。
社員が望む、社員の能力に合う適切な機会が今の仕事にあるのかどうか。それを確認するためにも、定期的なコミュニケーションが重要です。正しく仕事を振り返り、次の目標設定を行う際に、中途入社者の社員が希望した仕事ができているのか、今は何が課題なのか、今後何がしたいのかを確認し、会社からの期待とすり合わせながら、さらなる成長につながるキャリアプランを描けるようにマネジメントしていきましょう。