内定式を終え、ひと安心の人事の方も多い時期かと思います。
近頃、内定承諾後の辞退者が増加し、多くの不安も叫ばれていますが、これから入社式までの半年間のフォローについて、悩まれている人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
内定者の辞退や早期離職防止につながる学生の本音と解決策について、今回は4つ目の内容になります。前回は「思っていた働き方・仕事内容とは違った」について解決策をお伝えしました。
「自分の将来がイメージできなかった」ことが原因で内定者の辞退が起きてしまうことも少なくありません。今回はその理由と解決策についてお伝えします。
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就職に不安視する傾向は、今の社会情勢と就活生の生い立ちに起因
「将来がイメージできない」という悩み、それは現代の就活生だからこそ持つ不安から来ていることが多くあります。
今の就活生は、人生の節目に社会不安を覚えるイベントを多く経験しています。例えば以下などです。
- リーマン・ショック(小学校)
- 東日本大震災(小学校~中学校のタイミング)
- 新型コロナウイルスショック(就職活動、新入社員のタイミング)
それに加え、「VUCA」な時代とも言われており、就活生のうちから「どう生きていきたいのか、将来はどうなりたいのか」「会社に頼らずに自分の力で生きていける力を身に着けないといけない」など、言われていることもあります。
就職先選びはより慎重になり、内定後の辞退も
新型コロナウイルスの影響はあれど、業界によっては売り手市場です。いくつか選択肢があるなら、不安要素の少ない就職先に行きたいというのが本音です。
内定承諾のタイミングでは把握できている情報に限りがあるので、内定を複数承諾し、内定式後の10月以降に決断をしよう、という従来では考えられない行動をする学生も出現しています。
本来であれば内定承諾の段階で相互で納得できる状態がベストではありますが、今後は内定承諾後の辞退を防ぐ動きをする必要があります。
それでは、どのように不安を解消すれば良いのでしょうか。今回は、以下2点をお伝えします。
- 内定者が抱える不安を吸い上げ、安心できる情報を伝える
- 内定者が将来どうなりたいかを一緒に描く
内定者が抱える不安を吸い上げ、安心できる情報を伝える
前述のような社会情勢を受けて、内定者は内定承諾後も不安で気持ちが揺れ動いていることがあります。それはなかなか内定者からは相談しづらく、身近な親や友人に相談することも少なくありません。そうなると正しく不安を払しょくできないので、まず内定者の心の機微や不安は人事がキャッチできると良いでしょう。
企業によっては「メンター制度」などで、共通点の多い社員をメンターとして内定者と定期的に話したり、アルバイトや長期インターンなどで会社と接点を持つ機会を増やすなかで、内定者にいつもと違うところがないか確認していることもあります。
将来が不安という悩みは例えば以下のような質問に現れます。
- 給与や福利厚生についての質問
- 新型コロナウイルスの影響はどれくらいあるのか
- 会社として、事業として将来性はあるのか
- 会社の売り上げはどのくらいなのか
上記について、できればそのまま回答するのではなく、「その質問の背景は何か?」「どんなところに不安を感じているのか?」というところまで深堀をし、本質的な回答をお伝えしましょう。
内定者が将来どうなりたいかを一緒に描く
年功序列制がなくなった今、いつかは転職をする、という前提で就職活動をしている学生も見受けられます。そのため、就職活動は「ファーストキャリアを決める」活動になります。
将来どうなりたいか、から逆算してファーストキャリアを決めることになります。将来について考えている学生は、そこに納得感があると、入社意欲が上がる可能性があります。
一方、将来について考えるものの、働いたことが無いのでなかなか考えることができない、というのも学生の本音です。そこを一緒に考えていき、入社後のキャリアや、その先をイメージしてもらうことが有効です。
内定者にとっても、入社までのフォローだけでなく、人として自分のことを考えてくれている、将来についても一緒に考えてくれる、という心強い存在になります。
将来こうなりたい、こんな力を身に着けたい、というものがある学生には、「それがうちならこう実現できる」「こんなスキルが身につく」など、自社に入社することのメリットと絡め伝えていきましょう。
内定者の辞退は、極論、「他の会社に入るよりも、この会社に入りたい」と思ってもらえることで防ぐことができます。
そのためには、採用競合の会社や学生が悩んでいる会社と比べて、いかに自社に入社することのメリットが多いかを伝えることが重要です。
そのメリットも、一般的なものではなく、その学生一人一人に合わせたものを伝えることで、より伝わります。
まとめ
ここまで、「自分の将来がイメージできなかった」という不安に対して、原因と解決策を見ていきました。
内定者の辞退防止へは、内定者への深い理解や、採用競合との差別化も重要となります。
また、他の原因防止にも言えますが、内定者とのこまめなコミュニケーションは、最も重要な内定辞退防止の要素の一つといえます。入社式までの半年間に定期的な接点の機会を設け、内定者の心の揺れ動きに寄り添い細やかなフォローを心がけましょう。