これまで、内定者の辞退や早期離職防止につながる学生の本音と解決策についてご紹介してきました。今回はいよいよ最後の5つ目の内容になります。
前回は「自分の将来がイメージできなかった」について解決策をお伝えしました。今回は、これまでとは視点を変え、外部要因に焦点を当てていきます。
内定を出したところまでは学生の意欲も高くうまくいっていると思いつつも、突然、「親から反対されてしまって・・・」と学生から打ち明けられ、そのまま辞退されてしまうという例も少なくありません。
俗に「親ブロック」とも呼ばれていますが、どのように防ぐことができるのか、見ていきましょう。また学生の場合「友人ブロック」も少なからずあるでしょう。こちらも合わせてみていきましょう。

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多くの学生にとって「親」は一番身近な相談役
「いいところに就職してほしい」「生活の苦労はさせたくない」「ホワイトな企業に就職してほしい」など、子どもが就職活動をする際には誰しも思うものです。
そのため、「大企業に入った方がいい」「退職金があるか見た方がいい」「金融系や公務員がいい」というアドバイスを受けている就活生の方をよく目にします。
中には、「就職先など自分の進む道は自分の好きに決めなさい」という保護者もいらっしゃいますが、まだ多くの学生は就職活動の際に保護者に相談したりアドバイスをもらったりしている状況です。
また、志望業界や就職活動の軸が保護者やご兄弟などご家族の影響を受けているという就活生の方も意外といらっしゃるものです。
就活生にとって、身近で働いている大人といえば、多くの場合、保護者が思い浮かびますので、まず意見を聞くのは保護者になるでしょう。
そのため、保護者の意見は学生にとって大きな指標となります。また、社会人になった直後は収入が安定しないなどの背景で保護者のお世話になる場合も多いので、保護者と円満な関係で就職をするためには、就職先をしっかりと報告し、納得してもらわなければなりません。
世代間ギャップが「親ブロック」を生み出す
保護者に納得していただくにあたり、厄介なのが「就職活動やキャリア観についての世代間ギャップ」です。
保護者は実際に就職活動や仕事の経験者ですが、就職活動のプロではないので、ご自身の経験則からアドバイスをされることになります。
そこからすると、社会背景も企業の現状も以下のように大きく変わってきています。
- 終身雇用制の廃止
- キャリアステップの考え方
- 人生100年時代の人生設計
そのため、保護者の当時の就活アドバイスを真に受けている学生は危険ともいえます。
とはいえ説得するためには、保護者に納得いただけるような情報や伝え方が重要です。
ではどうすれば良いのか、以下みていきましょう。
「学生と協力して」保護者に納得していただくという立ち位置が大切
保護者を説得するというのは、学生が「この企業に入社したいから、親を説得したい」という状態であることが大前提です。その状態になって初めて学生と企業での協力関係が生まれます。
保護者を説得したいという学生の想いに対し、会社としてそれを手伝う、というスタンスが重要です。そういう関係性でなければ、保護者を説得することは難しいといえます。
そのためには、選考中に信頼関係を構築し、入社への意欲を高めておくことはもちろん重要ですが、「先んじて、親ブロックの可能性を示唆しておくこと」が重要です。
選考中に上記を伝えることはリスクがありますので、リクルーターなどが内定前後でフォローする際に、徐々にお伝えしていくといいでしょう。
保護者の反対で内定承諾できない事例などを客観的に伝え、その可能性があるかもしれないという旨を伝えておきましょう。
この伏線があるかないかでは、実際に学生が保護者から反対を受けた際に感じることが違ってきます。保護者の反対を真に受けるか、「人事が言っていた通り、反対された。相談してみよう」と思うかくらいの違いがあります。
そのため起こるリスクは先回りし伝えておきましょう。これは他の辞退要因についても同じことが言えます。
上記のような協力的な関係が築ければ、あとは伝え方を一緒に考えたり、それに必要な情報を提供することが重要になっていきます。
ここは学生のファーストキャリアがかかっているので、学生目線で寄り添い、最善の回答を出していくことがお互いにとって重要です。
企業から保護者へのアプローチも効果的
最近は多くの企業で保護者に対するアプローチも行われています。
保護者への説明会、パンフレットなど資料の送付、中には保護者へ向けた直筆の手紙など…正しい認知をしていただくための様々な施策を打っています。
情報提供をするのに重要な観点は、いかに保護者に、この会社なら安心して子どもを就職させられると思ってもらえるかです。そのためには、以下の懸念などを払しょくできると良いかもしれません。
- 会社が安定し、将来性のある事業かどうか (新型コロナウイルスの影響をどのように受けているか)
- 初任給や各種補助などはどうなっているのか
- 一緒に働く人はどのような人か
まとめ
俗にいう「親ブロック」をどう防ぐかについて、これまで見てきました。学生の状況まで理解し、良き協力者となり、一緒に乗り越えていくという存在になれるかが重要です。
今後は保護者へのアプローチもスタンダードになる状況が来るかもしれません。
これまで、内定者の辞退について「5つの原因」から防止策を見てきました。内定者の状況や性格によって、内定辞退の理由は千差万別ですが、大枠この5つの理由に集約されます。
学生も多くの悩みをかかえながら就職活動を行っています。その気持ちに寄り添える存在として、人事の皆さんはぜひ学生と向き合ってみてください。
