採用設計のフレームワーク「TMP」とは?


採用設計のフレームワーク「TMP」とは?

採用時の人材要件や採用設計を考える際に「TMP」という用語を耳にしたことはありませんか?

採用ポイントをパターン化した「TMP」を活用することによって、ミスマッチングを防ぐ採用設計を立てることができます。そこで今回は、採用戦略に必須のフレームワーク「TMP」について解説をしていきます。

最近人事担当になったという方は、特にご覧になってみてください。

TMPとは?知っておくべきポイントは?

TMPとは「採用設計におけるフレームワーク」のことをいいます。採用を設計したり見直しを図る際に、どこから考えればよいのか、何から手を付ければよいのか迷うことがあると思います。特に、今は採用手法やツールも多様化しており、検討することが多いでしょう。その際にはまず基本に立ち返り、「TMP」から考えていくのがおススメです。

TMPとは、「ターゲッティング(Targeting)」、「メッセージング(Messaging)」、「プロセシング(Processing)」の略です。

採用設計を考える際に、まずどのような人材を採用したいのかを定義することを「ターゲッティング(Targeting)」といいます。その人材に響きそうなメッセージを考えてターゲットへ伝えることを「メッセージング(Messaging)」といい、さらにターゲットを見極め、魅力付けができるような選考プロセスを設計していくことを「プロセシング(Processing)」といいます。それぞれ詳細についてお伝えしていきます。

ターゲッティング(Targeting)

まずはターゲッティングです。採用を行う際には、どのような人材を採用したいか、という人物像から考えていき要件定義を行うことが重要です。「どのような人材が必要か」といっても様々な観点がありますが、経営計画や事業計画から考えていくことが重要です。

さらに、物事を数値化できない要素で捉える「定性面」と、物事を数値・数量で表す要素として捉える「定量面」の二つの側面を意識して設計していくと、より精度の高い要件定義ができるでしょう。加えて、設計した要件定義が採用関係者間でしっかり共有できていることも重要です。

①定性的に要件を設定する

・経営層へのヒアリングを行う

特に新卒採用など将来の幹部候補生を採用する場合は、経営層にどのような人材が必要かヒアリングを行うことが重要です。会社の5年後、10年後の経営計画や事業計画は経営層が握っているため、現場の視点とは異なる要件を聞くことができるでしょう。

・現場へのヒアリングを行う

新卒・中途に関わらず、重要なのは入社配属後、実務で活躍できる人材を採用できるかどうかです。そのミスマッチを生まないためにも、現場の方に実務にはどのようなスキルや素養が必要かをヒアリングしましょう。また現場で育成をする際にどのような人物が最適かも確認し、要素として抽出することが重要です。

②定量的に要件を設定する

先に見た定性的な要素は、時に面接などで見極めることが難しいことがあります。そのため、定量的な指標も必要です。定量的な要件とは、個々のスキルや志向性、ストレス耐性などの性質を数値化し、活躍人材の共通項を抽出したものです。社内の活躍人材や候補者に適性検査を受検してもらい、そこから指標を作る方法が代表的です。

③要件を採用担当者で共有する

定性、定量的に要件を定めた後は、それを採用に関わる方にしっかり共有することが重要です。共有されていない状況では、面接の見極め方がうまくいかなかったり、ターゲットではない候補者が選考に上がってきたりすることが起きやすくなります。

メッセージング(Messaging)

ターゲットを設定したら、ターゲットが採用されやすい状態をつくることが重要です。そのためには、ターゲットからの応募が常にある状態や、ターゲットが入社を決めやすくする状態をつくれるようにします。そのために、この段階ではターゲットに刺さるようなメッセージを考えていきます。

例えば、設定したターゲットからペルソナを設計し、どのような訴求を魅力に感じるかを想定したり、現場社員にやりがいや入社の決め手をヒアリングし、そこからメッセージを作成していくことも有効です。そこで作成したメッセージを媒体に載せたり、採用Webサイトに掲載したりして母集団形成に生かします。また、次のプロセシングでも、このメッセージがターゲットに伝わるように選考フローを設計していきます。

プロセシング(Processing)

ターゲットとメッセージを策定したら、次は魅力付け・見極めができるような選考フローを設計していきます。候補者と一番接点を取ることができるタイミングは選考フローのため、この設計でいかにクロージングができるようにするかが重要です。

①見極め観点でのプロセス設計

選考の一番の目的は、自社に合う人物、ターゲットを見極めることです。設定した要件を選考で見極めるために、どのような選考フローにすればよいかを考えていくことが重要です。

スキルについては「適性検査」や「実務」、意欲については「課題」、人物については「面接」など、どの選考内容をどのような順番・タイミングで組んでいくかが重要です。必要工数やコストなども参考にしながら設計をしていくと良いでしょう。

②魅力付け観点でのプロセス設計

見極めのほか、近頃の採用成功で重要なことは、候補者から「選ばれる」ことです。候補者から選ばれるためには、選考中に候補者へ自社の魅力付けをおこない、入社意欲を高めていくことが大切です。そのため、説明会や選考中でのメッセージの伝え方や、選考過程での面談や座談会などフォローの設計を工夫していきましょう。選考が進んでいく中で徐々に入社意欲を上げていき、内定を出す頃には「内定を出したら受諾する」という状態をつくれることが理想的です。

上記①、②どちらにも有効なのは、面接官の育成です。採用課程で意欲を左右しやすい一番の要因は面接にあるとされています。面接の内容次第では候補者の意欲をそぎ、選考辞退に繋がったり、最悪SNSなどに書き込まれ炎上してしまう事例も少なくありません。このような辞退を避けたり、ターゲットとなる候補者から「選ばれる」面接を展開するためにも面接官トレーニングなどの育成が必要です。

まとめ

今回は、採用のフレームワーク「TMP」について見ていきました。採用がうまくいかなかった、もっと改善したいという人事担当者の方は、本質的な採用設計から見直しを図るのも良いかもしれません。とはいえ、自社のターゲットを見極める作業や魅力付けをおこなうメッセージを発案する過程など、採用設計には十分な時間も必要です。現在のマンパワーでは難しい、設計に必要な理論は理解できたが実践できるかどうか心配だという場合は、ぜひご相談下さい。

◇TMPとは
・採用設計におけるフレームワークのこと
・「ターゲッティング(Targeting)」「メッセージング(Messaging)」「プロセシング(Processing)」の略
◇ターゲッティング(Targeting)
①定性的に要件を設定する…経営層、現場へのヒアリングを行う
②定量的に要件を設定する…要件を採用担当者で共有する
③要件を採用担当者で共有する
◇メッセージング(Messaging)
・ターゲットに刺さるようなメッセージを考えていくこと
◇プロセシング(Processing)
・魅力付け・見極めができるような選考フローを設計すること