2020年6月より施行されたパワハラ防止法。企業がとるべきパワハラ対策とは?

2020年6月より施行されたパワハラ防止法。企業がとるべきパワハラ対策とは?

2020年6月より施行されたパワハラ防止法。企業がとるべきパワハラ対策とは? 640 447 株式会社アールナイン

昨今、多くの職場で耳にするようになった”パワハラ”問題。

日本では2001年からパワーハラスメントという言葉が使われ始めました。2000年以前に散見された職場での暴言や暴力行為も、ずいぶん改善されてきてはいるものの未だ0にはならないのが現状です。

パワハラを無くすためには、従業員一人一人が心掛けることはもちろん、人事や経営陣が正しい知識を理解し、しっかりとした対策を施していく必要があります。今回は、2020年6月より施行されたパワハラ防止法を軸に、企業としてとらなければならない対策について解説いたします。

パワハラ防止法とは

2020年6月より、日本の法律で初めてパワハラに関して規定した「パワハラ防止法」が施行されました。

大企業では既に2020年6月から施行されており、中小企業では準備状況を勘案して2022年4月から施行する予定となっております。

このパワハラ防止法の主な内容としては、下記の4つが求められる内容となります。(※1)

      • 事業主の方針等の明確化、周知・啓発
      • 相談等に適切に対応するために必要な体制の整備
      • 事後の迅速・適切な対応
      • その他3つの対応と併せて行う対応

罰則規定こそありませんが、この4つを遵守しない場合、厚生労働大臣による指導や勧告の対象となり、これに従わない場合は企業名が公表される可能性も考えられます。

そうなった場合は、「パワハラ対策ができていない会社」として世間に認識され、企業としては大きなダメージを負うことになります。そのため、企業リスクという面でもしっかりとした対策が必要となってきます。

 そもそもパワハラの定義とは

パワハラの要素としては以下の3つが定義とされています。(※2)

    • 職場の地位・優位性を利用している
    • 業務の適正な範囲を超えた指示・命令である
    • 相手に著しい精神的苦痛を与えたり、その職場環境を害する行為である

上司や部下の関係性、ベテランと新人の関係性のような”優位性”を背景とし、”業務として必要のない範囲まで指示・命令”をすることで相手にダメージを負わせるような行為です。

そして、具体事案としては6つの類型に分けられます。(※3)

    • 身体的侵害
    • 精神的侵害
    • 人間関係からの切り離し
    • 過大な要求
    • 過小な要求
    • 個の侵害

身体的、精神的損害などはパワハラとして広く認知されていると思いますが、特定の個人だけ理由もなく別室で業務をさせるような人間関係からの切り離し、業務上適当な理由がなく過大または過少な業務指示をするようなこともパワハラの対象となることを理解しておく必要があります。

企業がとるべき4つのパワハラ対策

冒頭でもお伝えしたように「パワハラ防止法」の中身でもある、企業がとらなければならないパワハラ対策としては、以下のようなものがあります。(※4)

① 事業主の方針等の明確化、周知・啓発

   ⅰ パワーハラスメントの内容・方針の明確化、周知・啓発
   ⅱ 行為者への対処方針・対処内容の就業規則等への規定、周知・啓発

企業としては、まず、パワハラに対しての方針を明確にしなければなりません。次に、方針内容が従業員に浸透するよう社内報や就業規則などへ資料化し、定期的な研修などで周知徹底する必要があります。

② 相談等に適切に対応するために必要な体制の整備

   ⅰ 相談窓口の設置
   ⅱ 相談窓口の担当者による適切な相談対応の確保
   ⅲ 他のハラスメントと一体的に対応できる体制の整備

パワハラについて、従業員が問題なく相談できる窓口を設置することも企業の役割です。相談窓口の担当者が当事者(被害者)に対して適切な対応ができるよう環境を整えることが大切です。

③ 事後の迅速・適切な対応

   ⅰ 事実関係の迅速・正確な確認
   ⅱ 被害者に対する配慮のための対応の適正な実施
   ⅲ 行為者に対する対応の適正な実施
   ⅳ 再発防止に向けた対応の実施

パワハラが発覚した際は、迅速かつ正確に事実確認をおこないます。事実確認を行った後、被害者・行為者へ適切に対応をおこない、今後同様の問題が発生しないよう、再発防止策を早急に講じる必要があります。

④その他3つの対応と併せて行う対応

   ⅰ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な対応、周知
   ⅱ パワーハラスメントの相談・事実確認への協力等を理由とした不利益取扱いの禁止、周知・啓発

パワハラの対策をとるうえで、相談してきた従業員や、事実確認のためにヒアリングした従業員が不利益になるようなことがあってはなりません。プライバシーを保護したうえで、適切な対応をとる必要があります。

今回、記事内で引用元としている厚生労働省提供サイト「あかるい職場応援団」は、ハラスメントに関しての事例や、他社の取り組み事例、管理職:人事担当者の視点から注意すべきことなどが掲載されておりますので、一度ご覧になり参考にしていただくことをおすすめします。

まとめ

今回解説したように、企業はパワハラに対して正しい知識を理解し、しっかりとした対策をとっていく必要があります。

ただし、一番大事なことは、形式だけの対応で終わらないことです。形式だけのパワハラ対策では、企業が成長することはなく、むしろ大きな問題がおこる可能性があります。

大事なことは、相手のことを気遣い、思いやりを持って接するという本質です。ルールを守るのはもちろん、相手への気遣いや思いやりを大切にして明るい職場環境をつくっていきましょう。

【参考】
『厚生労働省〜あかるい職場応援団〜』 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/
※1パワーハラスメント対策導入マニュアル(第4版)P14 職場のパワーハラスメント対策の導入に当たって(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/pwhr2019_manual.pdf)
※2ハラスメントの定義(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about
※3ハラスメントの類型と種類(https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/pawahara-six-types/