従業員エンゲージメントとは?今さら聞けない意味と重要性


従業員エンゲージメントとは?今さら聞けない意味と重要性

エンゲージメントという言葉をご存じでしょうか?昨今、組織強化という文脈においてエンゲージメントの重要性が広く浸透してきました。

コロナ禍を機に急速に普及したリモートワークにおいては「社員の帰属意識が醸成されにくいためエンゲージメントを向上しなければならない」という人事担当者の声も多く伺います。そこで、今回は改めてエンゲージメントとは何か、エンゲージメントを向上するためには何をするべきなのかをお伝えします。

エンゲージメントと社員満足度の違いとは?

人事領域におけるエンゲージメントとは、「愛着心や思い入れなど、従業員と会社の絆のこと」を指します。(※1)そのため、会社が従業員に貢献しているだけではなく、従業員も会社のために貢献することで、相互に思いあって向上していくというものです。

似ている言葉に「社員満足度」や「モチベーション」というものありますが、「社員満足度」との違いで言えば社員満足度は福利厚生や職場環境など「会社が従業員にしてくれること」への満足度になるのに対し、エンゲージメントは相互に貢献しあう関係となります。

またモチベーションとの違いで言えば、モチベーションは「成長したい、給与を上げたい、評価されたい」など、自分自身に対しての従業員の貢献となります。そのため、組織強化を目指すためには、従業員と会社の相互の思いを表すエンゲージメントの向上が大切といわれているのです。

※1:引用元:カオナビ人事用語集『ビジネスにおける「エンゲージメント」の定義とは?人事用語エンゲージメントの意味と言い換えの例』

エンゲージメントと業績との関係性は?

エンゲージメントについては業績・売上との関係性など、様々な角度からの研究がおこなわれています。株式会社リンクアンドモチベーションの「『エンゲージメントと企業業績』に関する研究」によると、以下2点の分析結果が得られたとのことです。

  • エンゲージメントスコアが高い企業は、翌年の売上/利益の伸びが大きくなる。
  • エンゲージメントスコアが低いほど利益伸長率の「バラつき」が大きく、高まるにつれて利益伸長率の「バラつき」が小さくなる傾向が見られた。

組織によってもばらつきがあるため一概には言えませんが、一定の傾向がみられることから、多くの組織でエンゲージメントの向上について注目されています。

エンゲージメントがもたらす社員定着への影響

エンゲージメントの向上がもたらすもう一つの大きな効果は、「従業員の定着」です。エンゲージメントが向上すると従業員の会社への想いもポジティブになるため、離職率が低下するといわれています。

前述のように、業績・売上や従業員の定着の点からみても、会社全体でエンゲージメントの向上を目指すことは大変効果的だといえます。

エンゲージメント測定前の現状把握が大切

エンゲージメント向上を目指すためには、まず現状を把握することが大切です。

会社全体はもちろん、部署ごと、個人ごとのエンゲージメントの状況を把握していきましょう。現状を把握せずに施策を行ってしまうと、あまり効果が出なかったり、逆効果となるケースも多々あります。

また、エンゲージメントにはいくつかの要因があるとされています。「人間関係」「仕事内容」「成長」「職場環境」などいくつかの項目が要因となり形成されています。そのためエンゲージメントが低いもしくは高い場合は、何が主要な要因となっているのかを見ていき、要因を突き止めることが大切です。

エンゲージメントを測定する際には定量と定性で確認することをおすすめします。エンゲージメントを調査するには、従業員満足度などを測る「パルスサーベイ」という意識調査が多く利用されています。このように、調査したい項目や組織に応じて調査媒体を選定し、活用していくという手もあります。

エンゲージメントはその時点での取り組みや状況によって細かく変わるものですので、可能であれば高頻度で細かい項目がみられるようなものであれば、対策を検討しやすいでしょう。また、定量的な数値をサーベイで出すだけではなく、定性的な情報を集めることも大切です。上記パルスサーベイで集めた情報から、気になる数値があればヒアリングを行います。ヒアリングをしてみると、人間関係の実態や仕事内容への率直な意見などが出てくることがありますので、集まった事実から解決策を検討することができます。

組織の現状把握には第三者を有効活用

前述のように、ヒアリングを通して現状を把握することはとても重要なことですが、例えば人間関係や職務の問題などは、上司や同じ会社の人には正直に話しづらいことが多くあります。その後の職務や評価に影響があるのではないか、と不安に思う社員が非常に多いからです。そのため、社員へのヒアリングや面談を外部に委託するというのも有効な手段の一つとなります。ヒアリングのプロが行うことで詳細を深堀りすることができ、話し手も普段社内では言えないことをオープンにできるため、ガス抜きになるという副次的な効果もあります。そういった方法を活用しながら、現状の組織の課題を明確にしていきましょう。

エンゲージメント向上に最適な方法を見つけるには?

現状の課題を把握できたら、次に、エンゲージメントを下げている要因を突き止め解決する仮説を立てましょう。また、あくまで仮説にすぎないので具体的に施策を実行してみましょう。ここで大切なことは、施策を実行した後に、効果検証を行うことです。例えば、高頻度のパルスサーベイを利用した場合、実施後の点数を確認することができるため、そこで効果がみられたかどうか、アンケートにどのような声が集まったか、必ず検証しましょう。このように、PDCAを回しながら、貴社のエンゲージメント向上に最適な施策を考えていきましょう。

まとめ

エンゲージメントとは愛着心や思い入れなど、従業員と会社の絆のこと

エンゲージメントと社員満足度の違いとは?
社員満足度は「福利厚生や職場環境など”会社が従業員にしてくれること”への満足度」になるのに対し、エンゲージメントは「相互に貢献しあう関係」となります。

エンゲージメントと業績との関係性は?
エンゲージメントスコアが高い企業は「翌年の売上/利益の伸びが大きくなる」。エンゲージメントスコアが低いほど利益伸長率の「バラつき」が大きく、高まるにつれて利益伸長率の「バラつき」が小さくなる傾向が見られる。

エンゲージメントがもたらす社員定着への影響
エンゲージメントが向上すると従業員の会社への想いもポジティブになるため離職率が低下するといわれている。

エンゲージメント測定前の現状把握が大切
現状を把握せずに施策を行うと逆効果となるケースも多い。従業員満足度などを測る「パルスサーベイ」という意識調査などを利用し定量と定性で確認すること。

組織の現状把握には第三者を有効活用
社員へのヒアリングや面談を外部のプロに委託するというのも有効な手段の一つ。

エンゲージメント向上に最適な方法を見つけるには?
現状把握→仮説→施策実行→効果検証のように、PDCAを回しながら貴社のエンゲージメント向上に最適な施策を考えていきましょう。