今後、消費やビジネスの中心となっていくZ世代。
Z世代は全世界人口の3割を占めるとも言われており、ミレニアル世代からのバトンを受け、これからのマーケティングやビジネスに大きなインパクトを与えていく世代です。
Z世代の社会進出は2020年より始まっており、ビジネスの現場で活躍する人材もでてきています。
世代が変われば、価値観や考え方にも変化が現れます。
Z世代は生粋のデジタルネイティブと言われ、幼少期からデジタル機器を生活の一部として扱い、インターネット、スマートフォン、SNSとともに成長してきました。
そのため、Z世代を育成するうえでは、Z世代の価値観や傾向を知り、Z世代がどのような職場環境や働き方を求めているのかを深く理解する必要があります。
コミュニケーション手段、評価、個性の尊重、業務の効率化など、Z世代の価値観を考慮した育成方法をとることが重要です。
今回の記事では、Z世代の仕事に対する価値観や、Z世代を育成するうえでのポイントなどを解説していきます。
この記事を読んでいただき、Z世代の既存社員、翌年以降の新卒社員の育成に活かしていただければと思います。
Contents
Z世代の仕事に対する5つの価値観
Z世代の育成をするうえでは、Z世代の仕事に対する価値観を理解することは必須です。相手の価値観を無視した育成をしても、深い信頼関係を築くことはできません。
Z世代が仕事で重要視するのはどのようなポイントか、また、どういった職場環境で働きたいと思っているかを解説していきます。
※Z世代の特徴についてはこちらの記事をご参考ください。

①専門性を磨きたいという志向が強い
Z世代は、一つの専門性を磨き、スペシャリストを目指す志向が強いと言われています。
Z世代を対象にしたアンケートによると、「一つの仕事の専門性を磨くこと」と「仕事の幅を広げること」のどちらを重視するかヒアリングしたところ、Z世代の6割ほどが「専門性を磨きたい」と回答したことが分かっています。
多くの仕事に幅広く手をだすより、一つの仕事の能力を磨いていきたいという傾向が見られます。
②成果主義を好む
Z世代は、職場の評価として「年功序列」より「成果主義」を好むと言われています。
「実力・成果が評価される職場」と「年功序列で評価される会社」のどちらが良いかヒアリングしたところ、前者の「実力・成果が評価される職場」を好むという回答が6割以上でした。
「成果主義」を好む傾向は、Z世代の合理的に考えることができる面が反映されているのかも知れません。
③やりがいや充実感を重視する
Z世代は、仕事でやりがいや充実感を求める傾向があります。
Z世代を対象にしたアンケートで、「自身の働く目的」についてヒアリングしたところ、「仕事を通じてやりがいや充実感を得ること」と5割ほどが回答しました。
収入を第一に基準とするのではなく、働きがいや、仕事で得られる充実感を重視していることが分かります。
④自分の能力を高めることに意欲がある
Z世代は、自己成長への意識を高く持っています。
自身の働く目的についてのアンケートでは、「やりがいや充実感」という回答に次いで「自分の能力を高めること」という回答が多く見受けられました。
具体的に高めたいスキルとして、「業務上必要な専門知識・技術」と答えた方が1番多く、次いで「コミュニケーション力」「ビジネスマナー」「語学力」というのが多い回答でした。
⑤「楽しく働ける」ことを重視する
マイナビが調査した「2020年卒マイナビ大学生就職意識調査」によると、「楽しく働きたい」という回答がトップになっています。
Z世代は、自分の強みを活かし、自分らしく、楽しく働ける環境を好んでいることが分かります。
Z世代が職場環境に求める5つの特徴
①上司に丁寧な指導を求める
Z世代を対象とし、「理想の上司・先輩像」についてヒアリングしたところ、6割ほどが「仕事について丁寧な指導をする上司・先輩」という回答をしました。
新型コロナウイルスの影響により、対面で接触する機会が大幅に減ったこともあり、上司の指導方法について不安に思うZ世代の方は多いのかも知れません。
Z世代は厳しい指導や、グイグイと引っ張っていく上司より、話をしっかり傾聴し、丁寧に指導してくれる上司を好みます。
そのためZ世代を指導するリーダーは「前線で引っ張る」だけではなく、「後方で見守る」ことも必要となってきます。
Z世代は指示が曖昧なまま作業をすることに強い抵抗を覚えるため、丁寧にコミュニケーションをとっていくことが必要です。
②企業の「安定性」を重視する
企業選択のポイントについてのアンケートでは、「安定している会社」という回答がトップでした。
Z世代の育ってきた時代背景として、リーマンショックなどの不況も経験していることが関連していると考えられます。
ただ、安定性=大手企業と考えているのではなく、自身と企業とのマッチングや、マーケットの将来性を含めたうえで判断をしているということも分かっています。
③ノルマ過多な企業を嫌う
Z世代を対象としたアンケートの結果から、勤めたくない会社の特徴として1番多かったのが「ノルマのきつそうな会社」です。
Z世代はワークライフバランスを重視する傾向があるため、プライベートが害されるほどの職場は好みません。
収入より、自分らしく生活できるプライベートとのバランスを重視します。
④社会貢献を重視する
Z世代は若い頃から、インターネット、スマホ、SNSを扱い、世界各国の情報に触れて育っているため、社会課題への意識も高いです。
仕事に対しても、他者の助けになるような社会貢献ができる仕事であることを重視します。
収入や評価よりも、社会貢献に重きをおく方が増えてきています。
グローバルへの意識も高く、世界各国の課題を自身で情報収集し、自分に何ができるかを考えます。
Z世代が、社会に対しての帰属意識が高いことが伺えます。
⑤助けあえる職場を好む
Z世代は競争して出世をすることより、お互いの個性を尊重し、助けあう関係を好みます。
Z世代は多様な価値観に柔軟に対応できるという強みもあり、個々の個性を尊重し、互いの良い部分を活かして、他者と協力していきたいと考えています。
Z世代に行った、自身の強みを問うアンケート でも、協働することや、相手を尊重することと回答した人が上位でした。
Z世代を育成する上で重要な6つのポイント
続いてZ世代を育成するうえでの重要なポイントについて解説していきます。
Z世代の価値観を尊重し、相手にあった育成をすることが必要です。
①相手の価値観を重視する
世代によって育ってきた背景が違うため、価値観にも違いが現れます。
他世代とコミュニケーションをとる際は、相手の価値観を尊重することが必要です。仕事だけでなく、プライベートの価値観も含めて相手を尊重するようにしましょう。
特にZ世代は、多様性を重視する傾向があるため、価値観を広く受け入れてくれる人を好みます。
最初は、価値観の違いに戸惑うこともあるかもしれませんが、相手を理解し歩み寄る姿勢が大切です。
「仕事とはこういうものだ」と威圧的に伝えるのではなく、対話を通して相手の価値観を鑑みた伝え方をすることが必要です。
ただ、ひとつ注意したいのは、「権利」と「義務」のバランスです。
相手の価値観=「権利」を尊重する一方で、会社という組織に所属する以上、仕事に対しての「義務」は必ず発生します。
これをどちらか一方だけに偏らないようバランスに注意しながら指導していくようにしましょう。
②質問を上手に使う
Z世代は協調性が高く、多様性を柔軟に認めることができるという強みがある反面、やや主体性に欠ける部分があるとも言われています。
仕事で一方的な指示ばかり出していては、主体性は失われ、自分で考える機会を奪ってしまうことになります。
まず目的を明確に伝えたうえで、「どのような手法が必要か」、「なぜ必要だと思うのか」といった質問を対話の中で行うことが効果的です。
主体的に考える力がつき、細かな指示を出さなくても自身で動くことのできる人材へと成長していきます。
③目的を明確に伝える
前述している通り、Z世代は社会貢献に高い関心があります。
そのため、「自分の仕事がどのような問題を解決するか」、「誰を助けるのか」ということが明確になればモチベーションが向上します。
目的が不明確な一方的な指示では、高いモチベーションで業務に臨むことはできません。
指示を出す際には、「何をするのか」の前に、「なぜするのか」という説明を最初に行う必要があります。
今の仕事を通じてどのような力が身につくのか、将来的にどのような社会貢献に繋がるのか、といった仕事の意義や目的を示してあげることが大切です。
最初は小さなことでもいいので、一つひとつの仕事が成果に繋がっていることを伝えていく必要もあります。
④メンターと二人三脚で歩む姿勢を作る
相手の価値観を理解し、会社の価値観を伝えていくためには、Z世代の一人ひとりにメンターをつけるという方法が効果的です。
Z世代に良き理解者ができることで、Z世代の育成を促進することができます。
価値観の違いを埋めるためには、形式だけのコミュニケーションだけでは変わりません。
日頃から、一緒に行動し、相談できるような関係を築くことで、価値観の理解が生まれます。
メンターは高圧的な態度をせず話を真摯に聞き、ロジカルに対話ができる人材が好ましいです。
また、メンターには相手を尊重しつつもゴールへ導くファシリテーションスキルや、自分の失敗談を話せるような自己開示力も必要となります。
Z世代にメンターというロールモデルができることで、成長のベクトルが明確になります。
⑤集団ではなく、個人を見て育成をする
新入社員の育成は、ひとつの枠で見てしまいがちですが、Z世代の考え方は一人一人異なるため、個々の特徴を見ていくことが必要です。
Z世代は、自分の個性を重視する傾向がありますので、集団として括られ、個人を見られないことに不満を感じます。
仕事に対する取り組み方やモチベーションに関して、個々の能力を最大限に引き出すために、個別のコミュニケーションをとる必要があります。
Z世代に「見て覚える」「表情から察する」ということを求めるのはマイナス効果になり、細かいコミュニケーションの積み重ねが重要となります。
1on1面談など、個別で話す機会を設けて、業務を通して何を得て欲しいのか、仕事の目的・評価の基準となるポイントなどを詳細に伝えることで、Z世代と信頼関係を築くことができます。
⑥デジタルネイティブとしての強みを生かす
Z世代は、デジタル機器やWebサービスに若い頃から触れて育っているため、デジタルへの強さがあります。
今後、企業がさらに躍進するためには、Z世代のデジタルへの強さを上手く活かしていけるかどうかがポイントですとなります。
古い慣習で行っていることも、デジタルの活用で大幅に効率化ができることは多くあります。
Z世代は効率性にも高い意識を持っているため、若い世代とないがしろにせず、Z世代の意見を真摯に受け止め、有用な意見は即時に反映させていきましょう。
《引用元》
■リクルートマネジメントソリューションズ
【調査発表】2021年 新入社員意識調査
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000350/
■一般社団法人日本能率協会
2020年度「新入社員意識調査」
https://www.sankeibiz.jp/business/news/200623/prl2006231428120-n1.htm
■マイナビ
2020年卒マイナビ大学生就職意識調査
https://mcs.mynavi.jp/enq/ishiki/data/ishiki_2020.pdf
まとめ
今回の記事ではZ世代の仕事に対する価値観や、育成のポイントについて解説させていただきました。
※Z世代の特徴についてはこちらの記事をご参考ください。

最後にひとつだけお伝えしたい注意点があります。
それは「⚪︎⚪︎世代」として、決めつけで見るのではなく、しっかりと個人を理解する必要があるということです。
今回、解説したのは、あくまでダイナミックに見た場合の傾向です。
個々人へのこの理解がなく、決めつけで判断してしまっては、コミュニケーションに大きな問題を生じさせます。
行動やマインドを見て「あなたは⚪︎⚪︎世代だよね」と決めつけられで判断されて、嬉しい人はいません。
相手と向き合う際は「⚪︎⚪︎世代」という大きな主語は使わず、しっかりと個性を見るようにしましょう。
この記事のポイントを押さえ抑え、会社の成長を担うZ世代が活躍できる環境を作っていきましょう。
①専門性を磨きたいという志向が強い
②成果主義を好む
③やりがいや充実感を重視する
④自分の能力を高めることに意欲がある
⑤「楽しく働ける」ことを重視する
①上司に丁寧な指導を求める
②企業の「安定性」を重視する
③ノルマ過多な企業を嫌う
④社会貢献を重視する
⑤助け合える職場を好む
①相手の価値観を重視する
②質問を上手に使う
③目的を明確に伝える
④メンターと二人三脚で歩む姿勢を作る
⑤集団ではなく、個人を見て育成をする
⑥デジタルネイティブとしての強みを生かす