【人事向け】PM理論、SL理論とは|正しいリーダーシップ方法を解説

【人事向け】PM理論、SL理論とは|正しいリーダーシップ方法を解説

【人事向け】PM理論、SL理論とは|正しいリーダーシップ方法を解説 640 480 株式会社アールナイン

会社という組織の中で、誰がどのようにリーダーシップを発揮するかは重要な問題です。

しかし一言で「リーダーシップ」と言っても、具体的にどのような要素が含まれているか、どうすれば従業員のリーダーシップを養えるかなどを明確にするのは、簡単なことではありません。

そこで今回は、PM理論とSL理論という2つの側面からリーダーシップについて解説していきます。

この2つについて理解を深めることで、従業員の評価や育成、企業の長期的な成長に役立ちます。

PM理論とは

PM理論とは、1966年に社会心理学者の三隅二不二氏が提唱したリーダーシップ論です。

リーダーシップとは「目標達成機能(Performance function)」と「集団維持機能(Maintenance function)」から構成されており、集団を発展させるためにはこの2つの機能が重要だとされています。

PM理論における「P機能」と「M機能」

PM理論におけるP機能とは、集団の中で目的を達成したり、課題を解決したりするために、具体的に行動する機能を指しています。

企業におけるP機能の行動例は、下記の通りです。

・目標売上達成のために、新規顧客を開拓する
・自社に必要な人材を獲得するため、採用計画の策定に取り組む
・プロジェクト成功に向けて、細やかなスケジュールを立て常に進捗を把握する
・チームの統率をとるため、厳しくメンバーを指導する

こうした事例を見ると、いわゆるリーダーシップという言葉から連想するものが多いため、理解しやすいかもしれません。

一方で、M機能とはチームビルディングやメンバー間の調整などの役割を果たす機能を指しています。

M機能の行動例は、以下の通りです。
・常にメンバーとの円滑なコミュニケーションを心がける
・チーム内での対立を解消しようと試みる
・メンバーへの気遣いを忘れず、こまめに声掛けをする
・不満をもつメンバーに対して積極的にヒアリングする

一見するとリーダーシップとは関係ないように見えるかもしれませんが、PM理論ではこうした面もリーダーシップを養う上で重要だと考えられています。

PM理論における4つの型

PM理論にはP機能とM機能の2つの側面がありますが、これに基づいてリーダーシップを4つに分類しています。

1. PM型
P機能とM機能の両方が大きく、最も理想的なリーダーシップのタイプです。
組織において非常に重要な人物となり、チームやプロジェクトを成功に導きます。

2. Pm型
P機能は大きくM機能は小さいタイプで、目標を明らかにしてそこへ向かって動く力はあるものの、チームをまとめたり集団のなかでチームワークを発揮する力はあまりありません。

3. pM型
P機能は小さくM機能は大きいタイプで、この方がチームにいると比較的スムーズなコミュニケーションが実現できる一方、成果を出す力は弱く目標を達成できないこともあります。

4. pm型
P機能とM機能の両方が小さく、目標達成や課題解決が苦手なうえ、集団をまとめる力も弱いのでリーダーには向いていません。
企業においては業界・業種を問わず、PM型の人材が理想的だとされています。

P機能とM機能を向上させる方法

従業員をPM型に近づけるためには、まずその人が4つの型のうちどれに当てはまるかを判断し、足りていない機能を向上させる必要があります。

ある人材のP機能を高めるためには、「ゴールを意識させること」「ゴールまでの道筋をイメージさせること」「ゴールに向けた行動を徹底させること」の3つが必要です。

まずは経営理念やビジョンなど会社全体のゴールを再確認し、そのために部署やチームとして、何を達成すべきかを改めて提示します。

ゴールが設定できたら、達成のためにどんな行動が必要かを具体的に伝え、目標に到達するまでにやるべきことを明らかにします。

そして、実際にその行動に積極性をもって取り組んでもらうことが必要です。

M機能を高めるためには、まずメンバーの考えや思いを共有する時間を取ります。

週次や月次で面談する時間をとったり、日常のなかでもちょっとした時間にこまめに声をかけることが大切です。

また、会議においてチーム全員に発表の場を設けたり、懇親会などを開いてカジュアルにコミュニケーションをとったりすることも役立ちます。

企業におけるPM理論の活用

PM理論は、単に内容を知っているだけでは役立ちません。この理論をどのように企業活動に落とし込むかが大切です。

活用法の1つとして、幹部候補やリーダー候補の選定に役立ちます。

候補者をリストアップし、それぞれが4つの型のうちどれに当てはまるのかを考えることで、彼らの強みや弱みを理解し、今後どのように育成すべきかを判断できます。

候補者自身が自己分析する際にも役立ち、今後どのようなスキルを身に着けるべきかを明らかにすることが可能です。

また、会社として目指してほしいリーダー像も提示しやすくなります。

「適切な目標を設定し、達成のための道筋を計画できる」「課題解決のための行動を徹底できる」「チームの人間関係を常に把握し、一体感を作ることができる」など、P機能とM機能についてそれぞれ、どのようなリーダーを目指してほしいかを共有してみてください。

さらに、現在リーダーとしてのポジションについている人材を分析するときにも役立ちます。

Pm型が多い組織では、目標達成率は高いものの、従業員が長く居つかず離職率が高くなっていたり、派閥やグループ間での対立があり人間関係が不健全な状態の可能性があります。

pM型が多い組織では、チームの一体感がありメンバー一人ひとりがストレスなく仕事に取り組めているものの、目標未達になることが多く売上アップや新規事業展開などが見込めないこともあります。

こうした点を把握することで、会社全体として補うべきポイントや伸ばすスキルを見極めることが可能です。

SL理論とは

SL理論とはシチュエーショナル・リーダーシップ論の略称で、1977年に行動科学者のポール・ハーシーと組織心理学者のケネス・ブランチャードが提唱しました。

この理論では、部下の成熟度によって求められるリーダーシップの内容は異なると考えられています。

SL理論における4つのリーダーシップ

SL理論では、部下の成熟度に合わせてリーダーシップを4つのグループにわけています。

1つ目は、「S1:教示的リーダーシップ」です。

S1に該当する部下は、新入社員もしくは業界未経験者などで、成熟度が低いです。

業務に関する基本的な知識もままならないため、細かに監督し常に指示を与えなくてはなりません。

こうした部下を持つ上司は、まず具体的に業務内容を説明し、何のためにその業務を行うかを示し、業務完了後は振り返りとフォローアップも行います。

2つ目は、「S2:説得型リーダーシップ」です。

S1を経て基本的な業界知識などを身に着けた部下に対しては、指示を与えて疑問があればその都度質問させ、コミュニケーションをとりながら業務を進めていきます。

S1のような密な進捗管理からは脱し、部下は上司からの問いかけや説得などを受けながら仕事に取り組みます。

入社3~5年目の従業員に対して有効になることが多いです。

3つ目は、「S3:参加型リーダーシップ」です。

S3段階の部下は、一定以上の知識や経験はあるので上司からの指示がなくても業務はこなせるものの、主体性や仕事に対する意欲が高くない状態です。

こうした部下に対しては、まず自信をつけさせるために、部下の業績や長所に注目して褒めることが大切です。

そのうえで、より高いパフォーマンスを発揮するためには何が必要か、アドバイスを与えます。

部下の意見を積極的に聞き入れることで、主体性を伸ばしていきます。

4つ目は、「S4:委任型リーダーシップ」です。

S4では上司の役割は小さく、基本的には部下に権限を委譲して多くの部分を任せます。

意思決定をさせて責任を持たせ、自ら考え取り組んでもらいます。

基本的には上司自らアドバイスすることはなく、部下から相談を持ち掛けられたり、意見を求められたりしたときに考えを伝えるようにしましょう。

企業におけるSL理論の活用

企業においてSL理論を適切に活用することで、上司が適切なリーダーシップを発揮し若手の育成を実現することができます。

リーダーシップ論の中には部下に対しどのように接するか一元的な観点で論じているものもありますが、SL理論は部下のスキルや経験、主体性などに応じた対応を示しているため、一人ひとりにあった育成をすることができます。

また、SL理論は部下の成熟度に合わせた内容が定められているので、自然と長期的な視点で育成することが可能です。

近年では成果主義や実力主義の台頭と共に短期的な成果を求める企業も増えていますが、本質的な人材育成の実現は一朝一夕にはできません。

新入社員が若手、中堅になっていく過程を通してSL理論を用いることは、次のリーダーを育成することにもつながります。

PM論やSL理論が解決する企業の課題

企業がビジネスを拡大したり、時代やニーズに合わせて新しいサービスを展開したりするためには、従業員の成長が不可欠です。

PM理論やSL理論を正しく活用することで人材が育ち、企業における課題を解決します。

特に、以下の3つのような点に役立つでしょう。

適切な人事評価

社内で適切な人事評価がなされているかどうかは、従業員のモチベーションに大きくかかわります。

「あの人より私の方が努力しているのに評価に反映されない」「評価基準が不透明でどうすればポジションが上がったり待遇が向上したりするかがわからない」という職場では、仕事に対するやる気が生まれず、言われたことだけをこなす集団になってしまうものです。

PM理論やSL理論では目指すべき姿が明確になっているため、それを従業員に提示することで努力すべき方向性が明らかになります。

適切な人事評価が確立されることでモチベーションが上がるだけでなく、この点をネックに転職する方がいなくなり、離職率を抑えることにもつながるでしょう。

組織の活性化

きちんとリーダーシップをとれる人材が生まれることで、組織が活性化される効果があります。

一人ひとりがまじめに与えられた業務に取り組んでいるだけでは、大きな成果は生み出せません。

企業活動においては、目的を見据え、メンバーを統率する人間が必要です。

PM理論やSL理論によってこの能力を身に着けた人材が育ち、組織をまとめてチームワークを高めながら、ゴールに向かって自走できる集団が完成します。

長期的な成長

組織が活性化しメンバーがモチベーション高く業務に取り組むようになることで、売り上げの拡大やビジョンの実現につながります。

特にPM理論やSL理論によって能力の高いリーダーが育った企業では、チームのパフォーマンスが最大化し、これまで以上の結果を出すことが可能です。

つい短期的な目標にばかり注目してしまう方が多いですが、「人材育成」という、数年から数十年単位での取り組みに向き合うことで、企業としての長期的な成長を実現できるでしょう。

まとめ

今回は、PM理論とSL理論について解説いたしました。

企業においてこうした理論を活用して従業員のリーダーシップを高めることは、非常に重要です。

長く結果を出し続けるチームを作り上げるためにも、この2つを積極的に活用してみてください。

◆PM理論は、「目標達成機能(Performance function)」と「集団維持機能(Maintenance function)」から成るリーダーシップ論

集団の中で目的を達成したり、課題を解決したりするために具体的に行動するP機能と、メンバー間での調整役を果たすM機能の2つが必要

◆PM理論では「PM型」「Pm型」「pM型」「pm型」があり、企業においては業界・業種を問わず、PM型の人材が理想的だとされている

◆PM理論を活用することで、幹部候補やリーダー候補の選定会社として目指してほしいリーダー像の提示現在リーダーとしてのポジションについている人材の分析ができる

◆SL理論とは、部下の成熟度によって上司に何が求められるかを明らかにしたリーダーシップ論

◆SL理論では「S1:教示的リーダーシップ」「S2:説得型リーダーシップ」「S3:参加型リーダーシップ」「S4:委任型リーダーシップ」にわかれ、部下の成熟度にあわせたリーダーシップを発揮することが求められる

◆SL理論を適切に活用することで、上司が適切なリーダーシップを発揮し若手の育成ができる

◆PM理論やSL理論を取り入れることで、適切な人事評価ができるようになり、組織が活性化し、企業の長期的な成長が実現する