【人事必見】面接官研修|初めての中途採用のポイント10選

『中途採用の面接を初めて任されたが、いきなり面接本番を迎えるのには不安がある。』
『部下に中途採用の面接を任せたが、事前に指導するべきポイントが分からない。』
そのように考える人事担当者の方は、多いのではないでしょうか。
『面接をするにあたって、採用面接官の研修は必要なのか。』
『研修をする場合、どのような内容をどのような形式で進めていけばよいのか。』
このような悩みを解消できるよう、中途採用面接官のスキル習得を目指した研修内容について解説していきます。
今回の記事では、中途採用面接官に研修が必要な理由、中途採用面接官に行うべき研修内容、中途採用面接官の研修のゴールなどについてお伝えいたします。この記事を読むことで、面接官として習得すべき知識・立ち居振る舞いなどの方向性が見えてくる内容となっております。
自信を持って面接に臨めるよう、しっかりと準備をしていきましょう。
Contents
中途採用面接の面接官に研修は必要なのか
まず、そもそも中途採用の面接官に研修は必要なのかという点について解説いたします。
結論から言うと、中途採用の面接官に研修は「必要」です。面接は求職者との対話ですが、効果的な対話をするにあたり、押さえなければいけないポイントがいくつもあるからです。初めて面接官になった担当者が要点を押さえず面接に臨んでも、本質的な対話はできず、あくまで表面的なもの(会話)となってしまいます。
面接官のスキルは、企業の人材の質に大きく影響します。面接官が求職者を的確に見極めることができなければ、優秀な人材が企業に定着することはありません。企業の業績に直結する優秀な人材を獲得するためにも、面接官のスキルの向上は必須です。
面接官のスキルの向上を目指すために、人材を見極めるポイント、自社を選んでもらうためのポイントなど、面接のノウハウを研修で体系的に学んでいく必要があります。
初めての中途採用面接を行う面接官が抱える不安
初めて中途採用の面接を行う面接官は、以下のような疑問をもち不安を抱えることが多いようです。
・どのような段取りで進めていいのかわからない
・どのような評価軸で人材を判断するべきか
・求職者の本心を引き出すためには、どのような質問が適しているのか
・面接官として、正しい振る舞い方とは
・自社の良さをどのように伝えればいいのか
・ミスマッチの人材を入社させてしまうのではないかと不安
このような不安要素を事前に解消し、自信を持って中途採用面接に臨むことが必要です。そのためには、不安要素にアプローチした研修を選んで受講し、十分な準備を整えることが必要です。
中途採用面接の研修を行う目的
中途採用面接の研修を行う目的は、前述したような不安を取り除き、自信を持って効果的な面接を行えるようになるためです。中途採用を、即戦力人材を求める「キャリア採用」という観点から見てみると、面接官には以下のような役割があります。
・キャリア採用という性質を深く理解する
・自社の人材戦略にあった人材を獲得する
・自社に定着し活躍できる人材を獲得する
・内定辞退を防ぐ
・入社後の早期退職を防ぐ
つまり、面接官の準備として、このようなポイントの質を高めることが必要であることがわかります。
中途採用面接の研修を行う目的は、前述したような不安を取り除き、自信を持って効果的な面接を行えるようになるためです。そのために、ロールプレイングやケーススタディなどを通して、質問力、判断力、コミュニケーション能力など必要とされる力を磨いていきましょう。
初めての中途採用面接に向けて研修したい10の内容
続いて、初めての中途採用面接に向けて面接官が受講しておきたい研修内容について解説いたします。中途採用面接官としての役割を果たすためには、押さえておくべきポイントがいくつかあります。下記のようなポイントは、事前に研修を通して理解・習得しておきましょう。
1. 傾聴力
2. 質問力
3. 自分を客観的に見る力
4. 面接の流れ
5. キャリア採用という性質上のポイント
6. 適正な評価軸
7. ミスマッチを防ぐためのポイント
8. 採用面接官として知っておきたい心理効果
9. 採用面接官に求められる心構え
10. 採用面接官がしてはいけないこと
1. 傾聴力
採用面接は、面接官が一方的に話す場でも一方的に質問する場でもありません。面接官と求職者が対話を通して、双方向でコミュニケーションをとる場です。そのため、しっかりと話を聴く能力が面接官には求められます。
失敗例として、面接の会話例だけを参考にし、表面的な話しかできなかったという話を耳にすることもあります。双方が納得感を感じることができる本質的な会話をするためには、まずは相手の話をしっかりと聴き、相手の発信した情報から対話を展開していくことが必要です。
あいづち、頷き、オウム返しなどのテクニックなども交え、相手が気持ちよく話せるように聴けるテクニックを身につけていきましょう。
2. 質問力
効果的な面接をするうえで、面接官に必ず求められる能力が質問力です。求職者の本心を引き出したり本質を見抜いたりするためには、質問力が必要不可欠です。
切り口や言い回しを変えて質問するだけでも、相手の回答は変わります。また、同じ質問でも質問する順番によって、相手の回答が変わることもあります。求職者の本質を見抜くためには、どのような質問をどのタイミングでするのか考えていくことが大切です。
質問力は、日々の積み重ねから磨かれるものです。質問のバリエーションをインプットすることや、会話の流れをシミュレーションすることが必要です。十分なインプットを行った後に、ロールプレイングでアウトプットを繰り返し行い、質問力を定着させていきましょう。
3. 自分を客観的に見る力
採用面接官には、自分を客観的に見る力も求められます。面接官も1人の人間です。求職者と話す際、求職者の採用判断をする際、主観的になってしまうことが多々あります。
無意識に自分の好き嫌いを優先させたり、自分と境遇の近い人間を優遇してしまうことも考えられます。本来、客観的かつ平等に判断しなければいけない面接官にとって大きな課題です。そのため、採用面接官は自分を客観的に見る力を養う必要があるのです。
客観的に見る力を養うためには、下記3点のポイントを重視しましょう。
【2】心理学の知識を深め、面接中に起こる心理効果を理解する
【3】面接中に自分を俯瞰し、自分に今どんな心理効果が働いているか確認する癖をつける
【1】人間は主観的に判断してしまう性質があることを認める
前述した通り、人間は主観的に判断してしまう性質があります。平等・公平にしなければいけないとわかりつつも、自分の好き・嫌いは生まれてしまうものです。
まずは、人間は完全ではないということを認識する必要があります。人間が不完全であることを認識できれば、とるべき対策も見えてきます。
【2】心理学の知識を深め、面接中に起こる心理効果を理解する
人の行動や判断の裏には、様々な心理効果が働いています。心理効果を理解することで、自分の考えの偏りを補正することができます。心理効果の例としては、「ハロー効果」や「確証バイアス」があります。
「ハロー効果」は、1つの側面の影響を受け、全ての印象を決めてしまう効果です。例えば、人に1つ優れた面があると、他の面も優れているのではないかと錯覚してしまったり、逆に劣っている面があると全てが劣っていると感じてしまうような効果です。
「確証バイアス」という心理効果も有名です。確証バイアスは、自分の仮説に沿った情報ばかりを、偏って集めてしまう状況を指します。本来は、逆説も含めフラットに情報を集めなければ適切な判断はできませんが、確証バイアスが働くと偏った情報収集のもと判断をしてしまいます。
このように誰もが持つ心理特性を知ることで、自分の行動や判断を客観的に見ることができます。中途採用の面接官は、心理学や脳科学についての知識も深め、自他の行動特性を理解できることを目指しましょう。
【3】面接中に自分を俯瞰し、自分に今どんな心理効果が働いているか確認する癖をつける
心理学の知識を深めた後は、面接中、自分に今どういう心理効果が働いているか確認する癖をつけましょう。自分の視点だけで見るのではなく、俯瞰的に自分を見ることが必要です。客観的な目線から、自分の判断に偏りはないかという視点を常に持つようにしましょう。自分を客観的に見ることができれば、言動や判断の偏りを減らすことができます。
上記の3つのポイントを押さえて、客観的に見る力を養っていきましょう。
4. 面接の流れ
面接本番を迎える前に、面接の流れを理解しておきましょう。面接の流れが頭に入っていなければ、当日スムーズに対応をすることはできません。
基本的には、以下のような流れで進めていきます。
【2】自社や募集背景の説明
【3】求職者への質問
【4】応募者からの質疑応答
【5】合否連絡や入社の段取りなど事務的な説明
【1】アイスブレイク
面接に来社した求職者は、緊張している方がほとんどです。緊張したまま本心を話してもらうことは難しいため、少しでもリラックスできるようアイスブレイクが必要です。
アイスブレイクとは「氷を解かす」という直訳の通り、相手の緊張を解いていくことです。面接でのアイスブレイクでは、ここまでの道のりや天気のことなど簡単な話をしてみるのがいいでしょう。触れやすい話題で会話をすることにより、場に慣れ、求職者の緊張は解けていきます。
【2】自社や募集背景の説明
アイスブレイクが終わった後は、自社の説明や、募集の背景について求職者へ説明をしていきましょう。自社のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)や事業内容について説明し、求職者があらかじめ調べてきている情報とイメージの相違がないか確認を行いましょう。
また、なぜ今回の採用活動に至ったかという経緯を伝えることも重要です。どのような状況で、どういった人材の獲得を求めているかを伝え、求職者のイメージと相違がないか確認をする必要があります。
【3】求職者への質問
次はいよいよ、求職者への質問です。簡単に自己紹介をしてもらった後に、志望動機や転職理由(退職理由)、(自社を選んだ理由、)自社でやりたい仕事などについて質問をしていきましょう。
ここで大事なのは、表面的な内容を数多く質問するのではなく、1つの回答に対して「なぜ?」を深堀りして本質的な部分を確認することです。面接官の質問力が求められる場面となります。
【4】応募者からの質疑応答
面接官からの質問が終わったら、求職者からの質問も受け付けるようにしましょう。ここでの求職者の質問内容も、自社への興味やモチベーションを測る判断材料になります。自社で働くイメージを強く持っている求職者ほど、業務の具体的な内容や、自社で抱える課題に深い関心を持っています。
また、求職者からの質疑応答を受けることで、求職者の不安を解消し、自社を選んでもらいやすくなるという利点もあります。不安要素を抱えたままだと、内定を出したとしても辞退される可能性も高まります。不安要素について整理せず入社した場合、後々ミスマッチが発覚し退職してしまう可能性すらあります。
しっかりと、求職者の不安を解消できるよう質問を受け付けていきましょう。
【5】合否の連絡や、入社が決まった際の話など事務的な確認
最後に、合否の連絡時期や連絡方法、入社が決まった際の大まかな流れなどについて説明を行っていきましょう。
次回の面接にあたり提出物が必要な場は、ここで伝えておきましょう。また、面接の最後には必ず感謝の言葉を伝え、求職者を送っていくことが大切です。求職者を送る際も気を抜かず、笑顔を忘れないように対応しましょう。
5. キャリア採用という性質上のポイント
中途採用の面接官になった際は、キャリア採用という性質についての理解を深めることも重要です。新卒採用とキャリア採用では、見極めるポイントも異なってきます。新卒採用の場合はポテンシャルを重視する傾向が強いですが、キャリア採用の場合は過去の実績から再現性を考えていくことが重要です。
書類に書いてある実績は、求職者個人の力が深く関わっているものであるか、環境が変わっても同様の実績を出すことができるのかという見極めが必要です。実績を出していることが応募書類上に記載されているので、自社でも活躍を期待できると思うのは少し危険です。実績を出すための思考や判断軸など、本質的な行動特性を確かめていくことが必要です。
6. 適正な評価軸
採用面接官として採用可否の判断をする際、確かな評価軸で判断できる能力が必要です。採用活動の目的や採用ペルソナから評価軸を設定し、軸に沿った評価をしていかなければなりません。
評価軸を自分に落とし込むにあたり、文字ベースで読んだだけでは相違が生じる可能性があるため、必ず上司とコミュニケーションをとり評価軸のすり合わせを行い、自分に落とし込んでいくようにしましょう。
また、評価軸は表面的なものでは意味がありません。行動特性を判断できる、コンピテンシー評価であるかという視点も持つようにしましょう。
7. ミスマッチを防ぐポイント
採用面接において、誤った採用判断をすれば、自社にとっても求職者にとっても良い結果とはなりません。採用面接官は、ミスマッチを防ぐポイントについても押さえておきましょう。
ミスマッチをしないためには、感情的な判断をしていないか、1つの側面だけで判断していないか、求職者のニーズと自社の環境はマッチしているか、というようなポイントに注意しながらマッチングを確かめることが必要です。
8. 採用面接官として知っておきたい心理効果
前項でも解説しておりますが、採用面接官は心理学の知識を深めることも必要です。求職者の行動の裏にある心理効果、自分が採用判断をするにあたりどのような心理効果が働いているのかを考えることが大切です。心理学の知識を深めることで、客観的に自分を見ることができるようになります。
面接の質を高めるためにも、心理学の知識を深めていくようにしましょう。
9. 採用面接官に求められる心構え
採用面接官として面接に臨む前に、必ず自身の役割を理解し、しっかりとした心構えを持っておきましょう。
採用面接官は、企業の顔です。企業を代表しているという自覚を持ち、しっかりと心構えを持って面接に臨むようにしましょう。
10. 採用面接官がしてはいけないこと
採用面接官がしてはいけないことも、必ず理解しておきましょう。質問の内容、面接での態度によっては、自社のイメージを損なうことになります。
最悪の場合、ハラスメントとしてトラブルになる可能性もあります。やってはいけない行動、聞いてはいけない質問など、NG行動については必ず事前に研修で習得しておくようにしましょう。
研修のゴールを明確に持って受講する
中途採用面接官の研修を受講する際は、必ず研修のゴールを意識して臨みましょう。中途採用面接官の研修のゴールは、以下のようなものです。
・面接官の役割を認識し、しっかりとした心構えを持つ
・採用面接の流れとポイントを理解し、自信を持って面接に臨めるようになる
・求職者を見極める力を養い、自社に必要な人材を獲得できるようになる
ゴールを認識せず、ただ受講しても研修の意味はありません。明確なゴールを持ち、研修の目的を達成できるようにしましょう。
中途採用面接の研修を選ぶ方法
中途採用面接の研修を行う方法としては、自社で行う方法と、人材サービスなどの研修を活用する方法の2つがあります。それぞれにメリット、デメリットがあるので解説していきます。
自社でコンテンツを作って研修をする方法
自社でコンテンツを作って研修をする場合、自社のビジョンや経営方針などを理解した人間が、研修を企画できることが大きな利点です。
しかし、自社が人材サービスなど研修に強い企業でない限り、質の高い研修コンテンツを作るのは簡単ではありません。
人材サービスなどの研修を活用する方法
もう1つの方法として、人材サービスなどの研修を活用する方法があります。
人材サービスなどの企業は、いわば研修のプロです。数多くの企業を研修した実績があり、その結果から常に改善を繰り返しています。そのため、研修に必要な内容を網羅し、質の高いコンテンツを持っています。
デメリットとしては、自社にカスタマイズされてはいないため、自社独自の課題に対して深く対応できないという点です。しかし、あらかじめ詳細な相談をすることで、自社向けにカスタマイズしてくれる企業もあります。
理想は、他社サービスと連携し、他社サービスのノウハウを活かしながら、自社の課題にもあったコンテンツを作ることです。
まとめ
今回は、中途採用面接の研修について解説いたしました。
面接官を任されたばかりの頃は不安な気持ちで一杯になりますが、確かな準備をして、経験を積むことで不安は自信に変わっていきます。
今回の記事のポイントを押さえて、自信を持って面接に臨めるようにしっかりと準備をしていきましょう。
・効果的な対話をするにあたり、抑えなければいけないポイントがある
◆中途採用面接の研修を行う目的
・キャリア採用という性質を深く理解する
・自社の人材戦略にあった人材を獲得する
・自社に定着し活躍できる人材を獲得する
・内定辞退を防ぐ
・入社後の早期退職を防ぐ
◆初めての中途採用面接に向けて研修したい10の内容
1. 傾聴力
2. 質問力
3. 自分を客観的に見る力
4. 面接の流れ
5. キャリア採用という性質上のポイント
6. 適正な評価軸
7.ミスマッチを防ぐためのポイント
8. 採用面接官として知っておきたい心理効果
9. 採用面接官に求められる心構え
10. 採用面接官がしてはいけないこと
◆研修のゴール
・面接官の役割を認識し、しっかりとした心構えを持つ
・採用面接の流れとポイントを理解し、自信を持って面接に臨めるようにする
・求職者を見極める力を養い、自社に必要な人材を獲得できるようになる
◆中途採用面接の研修を選ぶ方法
・自社でコンテンツを作って研修をする
・人材サービスなどの研修を活用する
・理想は、他社サービスと連携し、他社サービスのノウハウを活かしながら、自社の課題にもあったコンテンツを作ること