時代はPDCAサイクルからOODAループに変化?ポイントを解説


時代はPDCAサイクルからOODAループに変化?ポイントを解説

最近ビジネスの世界で広まりを見せ、ビジネス書でも目にすることが 多くなった「OODAループ」をご存知ですか?このOODAループとは、ビジネスだけではなくプライベートでも活躍する戦略理論です。  

ビジネスのフレームワークでPDCAはよく聞くけどOODAって何?
OODAループに変わることによって何か変わるのか?
人事として何か対応しなくてはいけないのか?

今回は、最近注目のOODAループの解説とPDCAとの違い、また社内での活用方法について解説していきます。  

OODAループとPDCAサイクルの違いは?

 

これまで、仕事をする中で、PDCAサイクルを回せと言われることが多かったのではないでしょうか?

PDCAサイクルとは 

→「Plan;環境分析に基づいて計画を立てる」

→「Do;計画を適切に実行する」 

→「Check;実行結果を評価する」

→「Act;次の計画に向けて行動する」

という 4つの流れをくり返すことで継続的な効果を得ようとするもので、ビジネスで大切にされてきた考え方です。

PDCAサイクルのポイントを一言でいうと『計画(Plan)を基準として組織を統制するもの』です。

よって、計画立案時からその後に続く実行や評価に至るまで、安定した環境下で大きな変化が起きない場合には非常に有効なフレームです。

しかしながら、変化が激しく、しかもその変化が常態化しているニューノーマルな VUCA時代においては、計画立案時に想定していなかった大きな環境変化が起こりやすく 、PDCAサイクルだけでは対処しきれない場面が増えています。

そこに対して

O:「Observe ・ Observation(観察)」

O:「Orient ・Orientation(状況判断)」

D:「Decide ・ Decision(意志決定)」

A:「Act ・ Action(行動)」

の頭文字を繋げたOODAループは、目標達成に向けて成果を生み出すことに行動を集中させます。

PDCAが計画を基準として対応するのに対し、OODAループは計画を立てるよりもその先の最終目標に対して計画を立て、組織し、行動するという点で大きく異なります。

最終目標を達成するためには、その過程である計画や行動は柔軟に変化させるということなのです。

VUCA時代に関してはこちらの記事をご確認下さい。(VUCA時代に人事が果たすべき役割と戦略)

OODAループの基礎知識と特徴は?

OODAループというのは、アメリカのジョン・ボイド空軍大佐によって提唱された意思決定理論です。

ボイド大佐は朝鮮戦争における航空戦を調査・研究材料とし、これを洞察することによって、パイロットがおかれるような変化が激しい環境下において機能する意思決定プロセスを「OODAループ」としてまとめました。

OODAループの発端となった朝鮮戦争において、米軍の主力戦闘機は敵の戦闘機よりもあらゆる性能で劣っていたにも関わらず、戦績では優勢を保っていました。この「機体性能は劣るのに戦績では優勢」である点に着目し、「戦局を左右するのは情報量と意思決定のスピードである」という結論に至ります。

これがOODAループです。

それでは具体的に「O」「O」「D」「A」のそれぞれについて、内容を確認していきましょう。

O:Observe ・ Observation(観察)

五感を駆使して、状況を直感で知る。

「観察」とは、観察対象の何が、どのぐらい、どのように変化しているか、相互の関係はどのようになっているか等を深く見る事が重要です。

O:Orient ・ Orientation(状況判断)

得られた情報と過去の経験や知識を駆使して状況を判断。

観察で得た一次情報から置かれている状況を判断し、様々な加工・処理を加えて意志決定の材料足り得る知恵へと変換。

D:Decide ・ Decision(意志決定)

想定されるすべての選択肢から行うべき意志決定し、取るべき行動を決めること。

A:Act ・ Action(行動)

「意志決定」で選択された行動案について、速やかに実際の行動に移ること。

そして、そのあとは再び「観察」へ戻ります。

OODAループの大きな特徴は以下4点です。

①常に前を向いた行動と思考

置かれた状況下で、常に最善の「行動」・Actionをするための「意志決定」(Decision)であり、「状況判断」(Orientation)であり「観察」(Observation)であるという思考のフレームであるということ。

②不安定、不確実な環境下での意思決定

OODAループは、不安定・不確実な環境下でもあらゆる手段で情報を集めて分析し、実行するという一連の流れを高速で行うという考え方。

それぞれのタイミングで状況の変化に合わせて意思決定するフレームなので現代にぴったりと言えますね。

③機動力を高める

前述した通りOODAループを高速で回す中で2番目のOrient(状況判断)が大事だとお伝えしましたが、正しい状況判断は次の行動を決め、戦略全体の成否を決めます。

不安定な環境だからこそ、機動力が重要なのです。

④自主性、個の実行力を重視し尊重する

OODAループはPDCAの様に計画が明確ではない分、個々の判断に委ねられる割合が大きいのも特徴です。

組織の機動力を高めるためには一番現場をわかっている人にオペレーションを任せることが重要、という意味では、社員一人一人の自主性や個の能力を高めること、実行力が求められます。

PDCAよりもかなりいいじゃん!と思われるOODAループですが、実は注意点もあります。個人の思考フレームとして使う分には問題ないのですが、会社の中で使うときは、リーダーの資質がPDCA型の場合よりもかなり高く求められるという点です。

もちろんすべての社員がOODAループを自分のものとして実行することが出来れば、全員が究極のリーダーシップをもった人間になることが出来ますので戦力は大きく強化されます。

社内にOODAループが浸透するまでは、リーダーは能力を試されている気になって、プレッシャーをより強く感じるかもしれません。

PDCAからOODAに変わった時に人事は何を整備すべき?

PDCAとOODAは異なるフレームですが、社員の行動の実感値として何か大きく変わった、というのを感じることが出来づらく、PDCAが染みついている人にとってはなかなか思考転換が難しいことも事実です。

そんな時は、OODAループの思考が染みつくように社内の資料の作り方や報告の仕方、または評価の方法や評価で使う資料を変更してみましょう。

例えば、プロジェクトスタート時点でイメージしていたゴールとプロセスに対して実際はどのような経過を経たのか、過程がわかるようなプロジェクト遂行シートを導入しましょう。

OODAループは楽をしようとする上司にとっては「部下への権限移譲」「現場を知る部下の判断に任せた」と、便利に使われてしまう場合があります。頑張っている社員を、そして楽をしようとしている上司を見逃さないためにも、その時何を考えてどのような行動を起こしたのかが残せるようにしておきましょう。

導入当初はPDCAと何が違うのか?社員のマインドをどう変えていくのかで苦労したり、根付きにくいかもしれません。しかし、臨機応変に方法を変えて実行するというOODAループは現代にこそ導入したい考え方でありAIに仕事を奪われないためにも人間が鍛えておきたい部分でもあります。

新しい考え方や社内制度をどのように社員に浸透させ、教育していくのか、ということは人事にとっては非常に重要で難易度の高い課題です。

我々アールナインは採用や社員教育等、人事面から様々な課題に対応することが可能です。

社員教育や制度に関してお悩みがございましたら、是非一度ご相談下さい。