新人を指示待ち人間に育ててしまう上司の4つの特徴


新人を指示待ち人間に育ててしまう上司の4つの特徴

「最近の新人は、指示を待ってばかりでちっとも自分から動こうとしない」

職場の新人に対して、そう頭を悩ませる管理職も少なくありません。もちろん人から言われないと動けない根っからの「指示待ち」タイプもいますが、実はその職場で仕事をするうちに「指示待ち人間」になってしまったということも多いのです。

新人を「人から言われないと動けない指示待ち人間」に育ててしまう上司の特徴は、次の4つです。新人に怒りを感じる前に、当てはまってしまう行動はないか確認してみましょう。

 新人を指示待ち人間に育ててしまう上司の特徴4選

1.仕事の目的や方向性、自分の考えを伝えていない

新人に仕事を頼む時、あなたはどのようにそれを伝えていますか。

「これ、とりあえずやっておいて」
「やればわかるから、まずはやって」
「今度の会議用に資料をまとめておいて」

など、仕事の目的や方向性を伝えずに、作業内容だけを指示してしまっていませんか。また、仕事に対してどのように取り組んでほしいと考えているか、新人に伝えたことがありますか。

仕事を指示するのは作業内容だけ。そして仕事にどう取り組んでほしいかなんて、そんな当たり前のことはわざわざ話したこともない。

もしこのような状況の場合、新人が「指示待ち」になってしまっても無理はありません。何故なら、仕事の目的や方向性がわからずに表面的な作業内容しか指示されず、この職場でどのように仕事に取り組むのが望ましいのかもわからなければ、何を軸に自分で考えればよいかわからないからです。

「指示待ち」ではなく、自分で考えて動けるようになるためには、判断軸が必要です。それが仕事の目的や方向性であり、仕事に対する上司の考え方です。「それを自分から確認するのが部下の役目」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、それができるのは相当優秀な人材でしょう。たとえば、前述の会議用の資料も

この提案を会議で承認してもらうために(仕事の目的)販売実績をわかりやすく伝えたいから(仕事に対する上司の考え方)数字をわかりやすくグラフにでもまとめておいて

とすれば、新人は「数字をわかりやすく伝えるにはどうしたらいいか?」等、どの方向で何を考えればよいのかが明確になり、自分で考えて行動しやすくなります。そして「わかりやすくグラフをまとめる」という小さなことから「自分で考えて動く」ことを積み重ねて、次第に自分で考えて動ける範囲が広がっていくのです。

そもそも、「自分で判断して動いてほしい」「わからなかったら聞きながら、自分でやってみてほしい」「自分の意見をどんどん言ってほしい」という仕事に対する「望ましい」取り組み姿勢も、きちんと伝えていなければ、新人にはわからないかもしれません。

この職場では、自分で考えて動くことが望まれているのか、いないのか。それがわからないから「指示を待ってしまう」こともあります。「言われた通りにやるのがよいと思っていました」「仕事の邪魔をしないように、あまり質問しないほうがいいと思っていました」という新人は少なくありません。

「新人が自分から動かなくて困る」という管理職ほど、「自分で考えて動いてほしい」という自分の考え方を伝えていないことも多いのです。どんな姿勢で仕事に取り組んでほしいのか。それもきちんと伝えるようにしましょう。

 2. 新人の失敗やミスを許せない

それでは、新人が失敗やミスをした時はどのように対応しているでしょうか。

「どうしてこんなこともできないんだ!」
「どうしてこんなことしたの?!」

と、新人の失敗やミスが許せなかったり、その原因を責めたり問いただしたりしていませんか。

仕事の進め方や業務ルールがわからないうちは、「何を確認していいか、何に気を付ければいいのかわからない」ものです。そのため、質問や相談をすることもなく、想定外のミスや失敗をしてしまうこともあります。その時に叱られる(怒られる、責められる)経験を何度か繰り返すと、「叱られるのが怖い」と委縮してしまい、防衛本能カから「叱られるのはイヤだから、言われたことだけしておこう」となってしまいます。

失敗やミスをした時には、「どうしてそうなったか」と責めるのではなく、「どうすればよかったのか」を問いかけて、新人が自分で考える機会を与えましょう。その繰り返しで、自分で考える習慣がつき、自ら考えて行動できるようになるでしょう。

3. 新人の質問や意見などをきちんと聞かない

新人から質問や相談のために声をかけられたとき、または何か意見を提案された時、あなたはどんな対応をしているでしょうか。

自分の仕事も忙しいし、ついつい「ながら」で聞いていませんか。
「今忙しいから、あとで」と言ってそのままになっていませんか。
「自分で考えてみて」と突き放してしまっていませんか。
その意見を、「そんなこといっても無理だよ」と一蹴していませんか。

上司のこのような対応が積み重なれば、新人が自分で考えることをやめてしまうのも無理はありません。「言っても聞いてくれないから、言うのをやめよう」「もう面倒だから言われたことだけしていればいいや」と、自ら考えて動くことを諦めてしまうでしょう。

質問や相談、そして自分なりの意見を上司がしっかり聴いてくれることで、新人は「質問や相談をし、自分の意見を伝えることはいいこと」だと実感し、自分で考えて動ける社員に育っていきます。

新人ですから、時には的外れな意見もあるかもしれません。それでも「なるほど」と一旦受け止めながら、「でもこの仕事は、こう考えてほしい」と上司としての考えを伝えれば、質問する姿勢を認めつつ、考え方を軌道修正していくことができます。

「そんな考えでは通用しない」と一刀両断してしまうと、次からは「間違った意見を言ってはいけない」と委縮してしまい、自分から意見を言わない・行動しない「指示待ち人間」になってしまいます。

指示待ちではなく、自分で考えて行動するためには、自分の考えと会社や上司の方向性が合っているか確認するために、繰り返しコミュニケーションすることが必要です。上司がそれを怠ってしまえば、新人が自分から考えて行動する人間は育たないのも無理はないのです

4.自分の「当たり前」は誰にとっても「当たり前」だと思っている

自分にとっては、当たり前のこと。
自分なら簡単にできること。
それは誰にとっても当たり前で、簡単にできると思ってしまうと、「どうしてこれくらいのこともわからない(できない)のか」と新人に対する許容範囲が狭くなってしまいます。

許容範囲が狭くなると、失敗やミスに対する対応も厳しいものになってしまい、「2.失敗やミスが許せない」で説明したような状況になってしまいます。

自分にとっての「当たり前」は、他人にとっての「当たり前」ではありません。ましてや世代の違う新人には「当たり前」が全く異なることもあります。自分にとっては暗黙の了解も新人には「当たり前」でないのですから、指示がなければ動けないのも無理はありません。

「どうしてここでちょっと融通を利かせることができないのか」
「なぜここで気を利かせることができないのか」

とイライラする前に、その「融通」や「気を利かせること」は万人に共通のものではないと認識し、「当たり前」として何をやってほしいのか、具体的に相手に教えましょう。何をやってほしいのかがわかれば、何回か経験を重ねるうちに(すぐにではありません)「当たり前」にできるようになります。

もちろん「当たり前」ですから、自分でもできて当然です。たとえば新人に「挨拶をきちんとするように」といいながら、自分からは挨拶をしないというのでは、全く説得力がありませんので率先垂範を意識しましょう。

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新人を「指示待ち人間」にしないために

「あいつは指示待ち人間だからどうしようもない」とレッテルを貼ってしまえば、その新人はあなたの職場で「自分から考えて行動する」人間に成長する機会を失ってしまいます。しかし、その新人とのコミュニケーションを見直せば、「指示待ちでしか仕事ができない新人」を「自分で考えて率先して動く優秀な部下」に育てることも十分可能なのです。

上司の関わり方次第で「指示待ち」タイプの新人も「自分から考えて行動する」人間に育てることができます。「うちの職場は指示待ちばっかりで困る!」と思ったら、その原因は自分にもあるかもしれないと行動を振り返ってみませんか。