「ゆとり」「さとり」を「デキる」社員にする方法


「ゆとり」「さとり」を「デキる」社員にする方法

さて、今年も新入社員が入って2か月が経ちました。多くの企業では導入研修も終了し、いよいよ本配属されたり、次の研修ステップに入っていることでしょう。

しかし本配属後、「今年の新入社員は使えない」「もっとデキるやつを配属してくれ」というような声が毎年上がってきませんか?デキる新入社員、デキない新入社員、とは何なのか?なぜそんな声があがってくるのか、そしてどう対処していけばいいのでしょうか、考えてみましょう。

デキる社員になるために新人が習得すべき3つのポイントは?

新入社員の場合、デキる、デキないの違いは仕事の能力そのものとは少し異なります。まだ「仕事を教えてもらう」段階ですから、先輩社員から教えてもらうコミュニケーションをスムーズにできていたり、先輩社員の心象がよいと「デキる新入社員だ」となりますし、コミュニケーションがうまくいっていなかったり、心象が悪いと「デキない社員」と思われてしまったりします。本来の仕事能力というよりは、「教えたい」「一緒に仕事がやりやすい」と思ってもらえる新入社員の「愛され力」が左右するといっても過言ではないでしょう。

新入社員ができるだけスムーズに受け入れてもらえるように、うまく現場になじませていくためには、人事が新入社員、先輩社員双方に対して働きかける必要があります。

まず、新入社員に対してですが、人事は現場の仕事を教えることはできませんから、仕事への基本的な取り組み方、仕事に対する考え方等を教育しておく必要があります。「愛され力」のある新入社員になってもらうためには以下の3点を新入社員に意識してもらうよう、指導しましょう。

1.人間力

「相手の話をきちんと聞いて理解する」「物事を整理して考える(ロジカルシンキング)」「相手の立場を尊重しながら、自分の意見を伝える」「ポジティブさ(積極性)」等、人と付き合う上で重要な能力です。

新入社員によってすでに持ち合わせている能力の差があると思いますが、これから現場で仕事を教えてもらうために、「相手の話をきちんと聞く態度」の重要性をきちんと理解してもらうようにしましょう。

2.受け入れる力

新入社員はまずは「受け入れること」から始まります。

受け入れるものは、今までのやり方、この会社の考え方、文化などです。実際入社してみると、入る前とイメージ違うことがたくさんあるでしょうし、思い通りにならないことだらけです。業務改善や提案は、今までのことを一度きちんと学び、受け入れ、やってみてから提案して初めて説得力が生まれます。

もしも納得できないことがあっても、それを行うのはなぜなのか?と客観的に考えて、一旦受け入れることから社会人生活は始まるという心構えを伝えましょう。

3.自己肯定力

新入社員は最初はできないことだらけですし、様々な挫折を味わいます。そうした時に、「明日はもっと頑張ろう」「自分ならできる!」と自分を信じて、前向きに進む力が必要です。自己肯定力は、折れない心を作るために大切な能力です。

これらの3つのポイントは、社会人の基本としてとても大切な能力であり、これらが身についていれば現場の先輩社員に受け入れられて、うまくやっていける可能性は高くなります。先輩社員とのコミュニケーションがスムーズにいけば、新入社員は仕事にもよりスムーズに慣れることができ、早期に戦力化することが期待できます。そうなれるように、入社後、新入社員と最も近い存在であり、第三者的位置づけの人事が担える役割は大きいのです。

 

「ゆとり」「さとり」新人のやる気に火をつける!

では、新入社員と現場で接する先輩社員にはどのように指導していけば良いのでしょうか。新入社員教育・育成のポイントとして、以下3つを事前にレクチャーしておく必要があります。

1.価値観の強制をしない

新入社員はベテラン社員達とは幼少期を過ごした時代も、受けてきた教育も異なります。そうした背景から「価値観に合わないものはしたくないし、縛られるのは嫌だ」と思っている傾向があります。見え方によってはワガママに見えるかもしれませんが、なんとなく世の中に停滞感を感じて育ってきた彼らは、価値観に合わないことを頑張っても自分の利益にならないことを知っているのです。

では、強制せずにどうやってうまくやっていくのか、ということを2番目以降説明していきます。

2.興味を持たせる

新入社員の世代は、「何をしたいのか?」を自分で考えるような教育を受けていますので、押し付けられたり、強制されることは嫌いますが、「興味を持ったらとことん極める」という良い特徴もあります。つまり「興味を持たせる」ことでやる気に火をつけ、戦力化していくことができます。

その為には、「これをやれ」という強制でも、「この仕事はこんなに意義があって面白い」という講義でもなく、彼らのニーズは何か?興味があることは何か?としっかりコミュニケーションをとり、彼らの事をよく知ることができるように心がけましょう。

彼らは日々の生活の中でも、話を聞いてもらう事や共感してもらうことを求めているので、彼らに関心をもち、積極的に関わる姿勢を見せるだけでもコミュニケーションは大きく変わります。

3.納得感のある説明をする

価値観に合うものや興味があることはとことん極める、ということは前述の通りです。そのため、理不尽な命令や、「これはこういうものだから」という根拠や目的が希薄な慣習等、自分が納得できないことには消極的です。

特にベテランの社員にとっては、「上司の命令は絶対だ」という風土がある企業もあるでしょう。そんな企業では、新入社員の態度は反抗的に見えるかもしれません。しかし彼らにとっては、決して反抗しているわけではなく、ただただ「全く理解できない」だけなのです。そんな彼らを育成するには、「自発的に動けるような納得する理由を説明する」ことが必要になります。

そしてその説明は、一方的に話すのではなく、新入社員の彼らが自ら気づけるよう促すことが重要です。彼らのポイントはあくまで「自発性」です。「何のためにやっているのか」など最終目的や背景からころから話を始めて、彼らの理解を確認しながら、自らその業務の必要性に気づけるようコミュニケーションをしていきましょう。

そんなに新入社員に気を使う必要があるのか?と思われる方もいるかもしれませんが、そんなベテラン社員だってかつて「新人類」と言われていたのです。

一見扱いづらいように感じるかもしれませんが、価値観が異なるだけで彼らがこれからの世の中を創っていくことは間違いありません。ベテラン社員もまた、新しい考え方に触れることでさらに成長することができるはずです。

 

最初のうちは新入社員も先輩社員も、お互いにストレスを感じることも多いかもしれません。しかしそんなストレスを最小限にし、双方の力を最大限引き出せるよう、フォロー、コーディネートしていきましょう。