2020卒 新入社員へのフォロー施策に関する実態調査 ~課題はオンラインでのコミュニケーション不足をどう補うか~

2020卒 新入社員へのフォロー施策に関する実態調査  ~課題はオンラインでのコミュニケーション不足をどう補うか~
[no_toc]採用から定着まで企業の成長を支援する株式会社アールナイン(本社:東京都港区、代表:長井亮)は、今春より新社会人となった2020卒新入社員に対するフォロー施策について企業様を対象にアンケートを実施しました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け4月には緊急事態宣言が発出されるなど前代未聞の状況下、各社はどのようなフォローを行い、どのようなことを課題に感じたのでしょうか。

【調査対象企業】(下図:従業員数別割合)

 

Q1.新入社員へのフォローについて新型コロナウイルス感染拡大による影響を感じますか?

■78%の企業が「影響を感じる」と回答                       

非常に多くの企業が新型コロナウイルス感染拡大による影響を受けていることが改めてわかります。

Q2. 今年度、新入社員への研修を実施しましたか?

■約半数の企業が「オンラインで実施した」と回答

新型コロナウイルス感染拡大の影響により多くの企業で入社式が中止・延期となりましたが、新入社員研修については、ほとんどの企業が実施。やはり今年はオンライン研修を導入する企業が目立ちました。

Q3新型コロナウイルス感染拡大は新入社員への研修にどのような影響を与えましたか。 (複数回答可)

■「例年より新入社員同士のコミュニケーションが希薄となった」との声が大多数

新入社員研修の実施形態別に割合をみると、対面で研修を実施した企業では39%が「新入社員同士のコミュニケーションが希薄となった」と回答したのに対して、オンラインで研修を実施した企業では67%が「新入社員同士のコミュニケーションが希薄となった」と回答しました。リアルで会って話すことができない状況の中、コミュニケーション量を増やすことに苦戦した企業が多かったことがわかりました。また、研修期間を短くしたり、内容を減らしたりと、例年のプログラムからの変更を迫られる企業も多かったようです。

■一方「例年よりコミュニケーションが取れた」との回答もあり

多くの企業がコミュニケーション量の不足に頭を悩ませていた反面、例年よりもじっくりと時間をかけて丁寧にフォローした結果、むしろ濃密なコミュニケーションを取ることができたとの回答もありました。ほとんど強制的に従来とは異なるフォロー施策が要求された中、必ずしもネガティブなことばかりではなく、ポジティブな影響を感じることができた企業もあったようです。

Q4. 新入社員研修後にフォローアップ研修は実施されましたか?

■48%の企業が「これから実施する予定」と回答

6月時点でフォローアップ研修をすでに実施した企業は34%、これから実施予定の企業が約半数を占めました。すでに実施した企業からは「OJTの機会が少なかったため、例年より研修の効果が見えにくい」との声が多く上がっているのが特徴的です。また、これから実施予定の企業からは同内容を不安視する声に加え、「今後のコロナの状況が読めず、対面とオンラインのどちらで実施すべきか迷う」との声が多くなっています。

■18%の企業は「実施する予定はない」と回答

実施する予定がない企業の中でも「例年は実施していないが、今年に限ってはオンライン研修によってコミュニケーションが希薄だったため実施した方がよい」「そもそも実施していないのでやったほうがよい」といった声が聞かれました。新型コロナウイルス感染拡大の影響により例年通りOJTメインのフォローが難しくなる中、フォローアップ研修の意義が高まっているように感じられます。

Q5. 来年度の新入社員研修はオンラインで実施する予定ですか?

■77%の企業が来年に関しては「まだわからない」と回答

「新型コロナウイルスの今後に関しての見通しがつかないため未定」と答える企業がほとんどでした。ただ、一部の企業では、来年がどんな状況でも対応できるようオンラインで実施できるコンテンツを作成したり、e-Learningの導入を検討したりと今のうちから打ち手を考えているようです。

Q6. 新入社員の出社頻度を教えてください。

■緊急事態宣言時には、57%の企業の新入社員が「まったく出社していなかった」と回答

新入社員が週2回から週3回ほど出社していた企業を含めると、緊急事態宣言時には81%の企業が在宅勤務を導入しており、オンラインでのフォローを実施していたことがわかります。

■現在では、57%の企業の新入社員が「ほぼ毎日のように出社している」と回答

緊急事態宣言時とは打って変わり、現在では過半数の企業の新入社員がほとんど毎日出社しているようです。出社とリモートワークを組み合わせている新入社員の割合が高く、完全在宅勤務を継続中の新入社員の割合は12%でした。

Q7. コロナ禍に新入社員から上がった声があれば教えてください。

■コミュニケーション不足を不安視する声が多数

特に多かったのが「もっと社員とコミュニケーションをとりたい」との声。具体的には「在宅勤務で一部の社員としか会えていないので他の部署の先輩とも会いたい」との声が多く聞かれました。Q3では「例年より新入社員同士のコミュニケーションが希薄となった」との声をご紹介しましたが、新入社員のコミュニケーション不足は、同期同士だけの問題ではなく、会社全体の問題と言えそうです。また、ほかに多かったのが「早く現場で仕事がしたい」との声。企業側が早くOJTの経験を積んでほしいと思っているのと同様に、新入社員側も早く実務経験を積みたいと感じているようです。一方、新型コロナウイルス感染への不安から在宅勤務の継続を望む新入社員もおり、企業としては難しい対応を迫られることになりそうです。

■「今後についての不安」を感じる新入社員と「特になし」と答える企業

誰も新型コロナウイルスの行く先を予測できない現状では、企業側から新入社員に対して今後の会社としての方向性を示すことは難しく、「自分はこの先どうなるのだろう」と漠然とした不安を感じている新入社員が多いようです。その一方、「新入社員からは特に声は上がっていない」との回答が多かった点が非常に気になります。通常業務に加えてコロナ禍のイレギュラーな対応が求められる状況下、本当に新入社員から何も声が上がっていないというよりは、新入社員が抱えている悩みが担当者に伝わりにくい傾向にある、と言うのが実情なのかもしれません。

<まとめ>

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により【例年とは異なる新入社員フォローのカタチ】が要求され、たとえば新入社員研修では、オンライン移行に伴う実施内容および期間の変更など各社対応に追われました。アンケート結果からは、特に「新入社員同士または先輩社員とのコミュニケーション不足」を不安視する声が企業側・新入社員側の双方から上がり、多くの企業が頭を悩ませていることがわかりました。現在も在宅ワークを続ける社員がおり、今後の状況も見通しがつかない状況下、いかにオンライン環境下においてコミュニケーションを取りながら新入社員をフォローしていくのかが大きな鍵となりそうです。

【調査概要】

  • タイトル :2020卒 新入社員へのフォロー施策に関する実態調査
  • 調査対象 :2020年に新入社員が入社した企業
  • 調査期間 :2020/7/8(金)~2020/7/20(月)
  • 調査方法 :インターネットによる調査
  • 調査地域 :全国
  • 提出数  :有効回答99
  • 実施機関 :株式会社アールナイン