自社の新卒採用について
創業7年以上中途採用のみ行ってきたアールナインが初めて挑戦した新卒採用プロジェクト。コストをかけずに新卒の離職率0%を実現するまでのストーリーを紹介。そこには、就活生から選ばれるための緻密な施策がありました。
限りなくゼロに近い予算で始まった、新卒採用1年目の功績
創業7年以上中途採用のみを行ってきたアールナイン。しかし、クライアント様の新卒採用をサポートするうえで自社の新卒採用は欠かせないと、新卒採用プロジェクトを立ち上げたのが採用責任者の長井です。「クライアント様に新卒採用のメリットを説明するうえでも、弊社が中途の即戦力しか採用していないのはどうかと思い、このプロジェクトを立ち上げました。新卒社員を既存社員がフォローしていくことで既存社員の成長にもつながりますし、それだけではなく、アールナインしか知らない新卒社員だからこそ、アールナイン独自の文化を創造してくれたり体現していってくれると期待していました」。
採用成功の軸としてアールナインでは「採用の質」「採用の量」「採用の期間」「採用の予算」「採用の工数」の5つを定めていますが、1年目に関しては、とにかく質を追い求めた1名を取るというのが最大のミッションでした。期間は、おおよそ12月から6月までの半年間。社員が長井ともう一人。予算は限りなくゼロにできるよう設定していました。「手探り状態で始まった新卒採用でしたが、20名の候補者から1名の採用に成功。山下という社員ですが、今では最年少部長として活躍してくれています」
学生からアールナインを選んでもらうための様々な施策
新卒採用2年目からは「オファーボックス」というダイレクトリクルーティングサービスを活用するなど、プロジェクト化して進めていきました。「オファーボックスは、いわゆる企業から就活生に送るラブレターです。マイナビさんやリクナビさんに載せると、知名度の高い大企業も多くいるのでそこに人が集まりやすいのですが、オファーボックスによって、希望の学生一人ひとりに対して “なぜ弊社に合ってると思ったのか”“なぜ会いたいのか”を丁寧に記載していました。その結果、オファーによって学生と会える確率は、業界平均はおおよそ6割くらいでしたが、アールナインは9割くらいの学生と会うことに成功していました」。 さらに、新卒採用プロジェクトを成功させたポイントが、内定者を採用チームのメンバーにすることでした。「新卒1期生の山下は当時大学生でしたが、内定者としてインターンで入ってもらうことがひとつ肝でした。ここにはまず学生のうちからアールナインの魅力を後輩たちに伝えてもらうことで、どんどん自分の会社を好きになってもらう狙いがありました。また、自分が採用した学生さんが後輩として入ってくるとなれば”面倒を見てあげたい”と思ってくれるはずだと思いました。そう言った好循環をつくるために、2年目からは内定者を採用プロジェクトに入れ、キーパーソンになってもらう取り組みを実施していました」。
コロナ前は就活中の学生さんに対して就活勉強会も実施し、アールナインのファンになってもらうための施策も実施。「学生さんを選ぶというよりも、むしろ選んでいただくという意識が大切だと思います。新卒採用をしている会社は約100万社近くあり、その中でアールナインっていう会社をどのようにして選んでもらうかということを常に考えています。就活勉強会に関しては、ほかの会社の就活相談にも乗ったり、ESを見たりなど、アールナインとは直接関係ないことも、けっこう丁寧に行っていました。そういったファンをつくる施策が功を奏してか、他社から内定をもらった方がその会社と合わず辞退し、もう一度アールナインを受けに来てくれたり、また他社に入社した人でも、自分の後輩にアールナインを勧めてくれたりと、効果が点ではなく線としてつながってきていると実感しています」。
新卒採用プロジェクトの中での大きな壁はエンジニア採用でした。「エンジニア採用は、先輩社員の魅力的なエンジニアと会ってもらって口説いていくような施策が多いのですが、アールナインは当時エンジニアが一人もいなかった中で、新卒で即戦力となるエンジニアを取りに行く無謀なチャレンジを行っていました。オファーボックスも用いて、相当数のエンジニア希望の方にお会いしたのですが、ただ技術力があるだけではダメですし、ただ人間力が高いだけでもダメで。技術力も人間力も兼ね備えた人に出会うまではとても時間がかかりましたが、粘り強く続けていた結果、弊社社員の福森に出会えました。そこからは、福森を採るためだけのプロジェクトが始まり、無事採用に成功しました」。
新卒が辞めない会社を実現。社員一人ひとりが長く活躍してもらうために。
2018年卒が1名、2019年卒が3名、2020年卒が3名、2021年卒が4名、2022年卒は5名の新卒採用に成功。現時点(2022年8月)で、新卒社員が誰一人辞めていないという大きな成果をおさめています。「その方々のファーストキャリアを預かる会社として“長く働きたい”と思ってもらえてるのは、採っている側としてすごく嬉しいです。2018年に1名から始まった採用プロジェクトが、今、新卒の比率が社内で4割くらいまで来ていて、また、彼らの多くがマネージャーとして活躍する可能性が高いと感じていて、生え抜きの強さを実感できています」。
離職が出ない理由の1つとして“本人の得意を活かすことを大事にしている”ことが要因だと長井は言います。「成果を出しやすい環境づくりが離職しにくいポイントかなと思います。あとは、一つのことをずっとやり続けると飽きが来てしまうので、おおよそ2~3年の中で違う部署を経験してもらったり、ポジションの階層を上げたりすることで同じ仕事で飽きさせない工夫も行っています」。 コストをかけずに、色々な人たちが受けに来てくれ、その会社に合った人たちが採用できる「究極の採用」に今後も力を入れていきます。採用のプロとして、そして人が活躍し続ける仕組みづくりのプロとして。