スカウトチームの立ち上げ
クライアントの採用に対する想いを受け取り、採用担当者に変わって就活生へ想いのこもったスカウトメールを送る──。たった一人からスタートしたその取り組みは、今や全国各地にいらっしゃる50名以上ものパートナー様と共に展開されるまでに育っています。その背景には、“1通”の先に広がる世界に想いを馳せる物語がありました。
1人では対応できないほどに反響を得たスカウトメール
受け取った学生さんから、「こんな感動するスカウトは初めてもらいました!」という声が届いたり、お客様から、「これほどまでに学生さんたちに喜んでもらえるオファーは他社では見たことがない」という声が届いたり。今や業種を問わず様々なお客様にご利用いただいているアールナインのスカウト代行サービスですが、その文面作成をサービス立ち上げ当初に担っていたのは、実は植本たった一人でした。 「私自身は、学生さんへお手紙を書いているような感覚でしたね。例えば、自己顕示欲がちょっと強そうな学生さんであれば、その部分に触れるようなオファーを書いたり、自己主張が控えめな学生さんであれば、あまり圧を与えないようなかしこまったオファーを書いたり。この学生さんの強みはどこなんだろう、どんなオファーをもらったら喜んでもらえるだろうと、プロフィールを拝見して、一人ひとりを想像しながら書くのがすごく楽しかったです」と、植本は言います。
「また、自社の新卒採用でフィジビリティを行って手応えを得ていたので、お客様のお困りごとのサポートとしても、一定の介在価値を発揮できるだろうという確信はありました。私たちが採用担当者様の気持ちをしっかり届け、世の中にあまた存在する“学生さんたちには知られていないが魅力的な企業”を伝えることで、ミスマッチのない採用のご支援ができると思っていたんです」。 植本の想定通り、だんだんとお客様の反響が大きくなり、植本一人では対応できないほどのご依頼が集まるようになった頃。アールナイン社内では、いよいよスカウト代行チームを新たに立ち上げようという動きがスタートします。
どうしても譲れなかったチーム代表としての想い
「この時に応募してくださったパートナー様の中には、子育て中のママさんが数多くいらっしゃいました。自分自身が子を持つ母として在宅勤務もやらせていただいていた中で、同じような子育て中のママさんたちはかなりマッチするチームだと思っていたので、実際に応募が集まったのは嬉しかったですね」。 とはいえ、全ての応募者をチームに引き入れることはあえてしなかったという植本。「何よりも、自分たちが綴る1通の先に、どんなストーリーや出会いがあるのかと想いを馳せ、それがもしかしたら学生さんの人生を変える1通になるかもしれないということを、ちゃんと理解してくれている方のみチームに入っていただきました」と、振り返ります。
確かな共感のもと集まったチームは、メンバーの紹介が紹介を呼び、順調にその規模を拡大。ついには50名を超えるまでになりますが、「決して順調なことだけではなかった」と、植本は言います。「競合他社が同じようなサービスを提供するようになり、どうしても価格負けしてしまうという声が社内の営業から出始めたんです。そして、文章のボリュームを減らして、数を打つような施策に舵を切ったほうがいいんじゃないかと……」。
しかし、植本は断固としてこの提案を受け入れなかったと言います。「もちろん営業視点の意見としては間違っていないんですが、その提案を受け入れ、チームメンバーの皆さんに伝えたとして、皆さんがこれまでどおりのモチベーションで、やりがいを強く感じながら取り組んでくれる姿が想像できなかったんです。私たちがそれまで大切にしてきた、学生さんたちにとことん寄り添う姿勢や、圧倒的なクオリティへのこだわりを否定しまうことになる。だからこそ、どうしてもこの時だけは、チームの代表として首を縦に振るわけにはいきませんでした」。
なんのために、誰のために働くか
このときの議論によって、スカウト代行チームとして“絶対に譲れないこと”や“大事にしなければならないこと”が明確になり、よりチームとしての団結力が高まっていったと言う植本。 「私たちスカウト代行チームの役割は、“お客様の想いを受け止め、就活生に想いを馳せながら自分たちの言葉を紡ぎ出し、お互いの重なりを見つけ出すことで新しい出会いを創出することである”という意義を見出すことができました。この部分に共感してくれる仲間がこれだけ集まってくれたことは、本当に嬉しかったですし、また誇りに思っています」。 ──たった一人でのスタートから、約5年の歳月を経て、スカウト代行チームを離れることになった植本。最後のミーティングの日、彼女のもとに届いたのは、全国各地のチームメンバーたちからのビデオメッセージだったと言います。
「“スカウト作成のお仕事と出会えて、植本さんと出会えて本当に良かったです”という言葉をいただいた時、感動で涙が止まりませんでした。そして同時に、もっと頑張って、こうやって活き生きと働ける方を一人でも多く増やしたいと、決意を新たにしました。彼女たちのために、私は頑張りたい。今でもこの気持ちは変わっていません」。 社員や業務委託という、単なる肩書きの関係性だけでは語ることのできない、チームとしての確かな絆。自身の仕事の先に、一人ひとりのパートナー様の幸せや自己実現があることを信じて、今日も植本は、そしてアールナインは、目の前の課題解決に全力で向き合っています。