客観的な助言、社員の行動変容に~「気付き」を与える第三者面談~


「一番良かったのは『目標を掲げて、行動につなげられた』といった声があったことです。社員の行動変容につながりました」。こう語るのは従業員数 53,593 名(2024年12月時点 JTグループ従業員総数)、グローバルたばこメーカーである日本たばこ産業株式会社(JT)の人事部にて全社研修の企画立案・キャリア施策を担当している野下様。

入社後のギャップ、配属先への不安、入社前の夢はいつ叶うのだろう――。どこの会社の新入社員にも付き物のこうした悩み。JTでも、130名以上いる新入社員の悩みを解消したいと思いつつ、悩みの内容は多種多様。全国各地に配属されているなかで、個別にフォローすることは難しい状況でした。

そこでアールナインがご支援したサービスが「第三者面談」。面談や面接の経験が豊富な「傾聴のプロ」が、新入社員ひとりひとりと個別の面談を実施。上司にも面談、研修をしました。

「少しでも違和感を抱いたら、すぐに転職できてしまう時代。第三者面談は、悩みや予兆を拾い上げ、社員には「気付き」を、組織には施策を打つための「判断材料」を与えてくれるサービスです」。こう実感する野下様に導入の背景や効果を詳しく伺いました。

目次

◆世界130か以上の国と地域でたばこ製品を販売

――貴社の事業内容を教えてください。


野下様
JTグループの主力事業は、たばこ事業で、売上収益の約90%を占めます。たばこ事業は2022年からスイス・ジュネーブに本社機能を設け、世界130以上の国と地域で製品を販売しています。また、「心の豊かさを、もっと。」をJT Group Purpose として掲げ、持続的な企業価値の最大化、ひいてはJT Group Purposeの実現に向けた取り組みとして、新規事業開発も進めています。

――その中で野下様はどのような仕事をしているのですか。

野下様
人事部に所属しており、成長支援体系やキャリア施策の企画・運営、人事諸制度(評価制度等)の運用などを担うチームの中で、全社研修を中心とした成長支援体系や自律的なキャリア形成に向けたキャリア施策の企画・運営などを担当しております。全社研修の企画に関しては、メイン担当は私ひとりです。最近は新入社員の育成という観点で、入社式の企画・運営もしました。

◆若手社員の不安を払拭したい

――2024年4月からはアールナインに新入社員の面談と、その上司向けの面談・研修をご依頼いただいています。こうした施策が必要と考えた背景を教えてください。

野下様
若手のパフォーマンス向上のため、特に新入社員の不安を払拭したいと思っていました。アールナインとの契約を決めた前任担当者の時代、実際に若手社員の早期離職が発生していました。どこの企業でも入社前後のギャップはあると思いますが、「思っていた仕事と違う」「なぜこの配属先なのだろう」「やりたかったことは、いつできるのかな」といった不安が膨らむと最悪の場合、離職につながります。そうならないような施策が必要だと考えていました。

――自社でも施策を打てる中、社外への依頼を考えたのはなぜでしょうか。

野下様
アールナインと契約したのは前任者の時代でしたが、一つは利害関係のない客観的な立場から意見や助言をいただけると考えたことです。また、若手社員には全社研修を一律で実施していますが、もっと個別に寄り添ったフォローをしたい思いがあったためと聞いています。

◆カスタマイズ性が納得感に

――その中でアールナインを選んでいただいたのは、なぜだったのでしょう。

野下様
既存の方法ではなく、自社の課題に合わせた施策内容を考えてくれた点が大きかったと聞いています。単なる面談代行なら他にもあるはずですが、アールナインは丁寧なヒアリングで課題を特定した上で「それなら新入社員の上司にも面談をしませんか」「研修を組み合わせましょう」など、具体的に提案してくれました。この姿勢が納得感につながりました。

――社外に任せることに不安はありませんでしたか。

野下様
入社間もない新入社員の不安や悩みの内容を考えると、社外のサービスを活用することも悩みを払拭する意味においては効果的ではないかと考えていました。身近な存在である上司や先輩の方が相談に対して的確なアドバイスができると思いますが、入社後の漠然とした不安には、外部からのフラットな助言の方が響くこともあると思います。また、アールナインの第三者面談の面談担当者は、面談や面接の経験が豊富で、専門的な立場です。そのような視点から助言をいただく方が、客観的に捉えたうえで、自分で考える機会になると想定しておりました。

◆不安解消だけでなく、行動変容につながった

――初年度は、新入社員130名以上と面談を実施しました。入社1年目の秋から冬にかけ、40分の面談を1人あたり計2回実施。実際にやってみていかがでしたか。

野下様
効果が大きかったです。自社でもアンケートを取りましたが「不安を話す中で、新しい視点や気付きが得られた」という声が少なからずありました。また「自分にも改善点があった」「目標を掲げ、行動につなげられた」といった感想も届きました 。単なる愚痴で終わると意味がないため、社員の行動変容につながった点は大きかったです。

――行動につながったとの声もあったのですね。例えば、どんな行動でしょうか。

野下様
「間違っていても、上司や先輩に自分の意見や疑問点を伝えること」「チームメンバーや上司とのコミュニケーションを密に取る重要性を認識し、業務の進捗や問題点を共有すること」などがありました。「自身の描くキャリアと現状の業務にギャップがあったが、まずは目の前の仕事に尽力する大前提を改めて強く認識した」という声もありました。

――当初、1年間の契約でしたが、2年目も継続していただきました。今年度は、昨年面談を受けて社会人2年目になった社員にも、希望者を対象に第三者面談を実施しております。

野下様
やはり、2年目も継続利用したいという声がありました。実際、2年目になった途端に悩みがなくなるわけではなく、立場や役割が変わることで、新たな悩みも生じますね。不安を吐き出したり、内省を得たりする機会になればと思いました。

◆上司とは違う立場からの「気付き」

――企業側にとっては、第三者面談でどんなメリットがありますか。

野下様
社員の声の傾向を把握することで、課題や必要な施策がわかることです。個人へのフォローでは解決せず、キャリアや育成に関わる根本的な戦略の改善を要する課題もあります。その判断材料となるリアルな悩みや不安がわかることがありがたいです。上司とは違う立場から社員に「気付き」を与えていただけるのも、良さだと思います。

――上司とは違う立場からの「気付き」とはどういうことでしょうか。

野下様
入社後のギャップに悩むと言いましたが、どんな仕事でもギャップはあるのは当たり前です。与えられた仕事に対して、「何の意味があるのか?」「どうキャリアにつながるのか?」と疑問を抱くこともあるかもしれません。そんな時には、まずは与えられた仕事に目的や意義を見出すことが大切だと思っています。アールナインは第三者なので、あえてフラットに「なぜそう思うのか」と新入社員の考えや価値観を深掘りし、自ら気付けるように導いてくれているように思います。

◆マネジメント業務への不安、上司の本音も

――新入社員の面談に先立ち、その上司にも面談をしました。初年度は春から夏にかけて、上司120名以上を対象に2時間の研修1回と、40分の個別面談を1人1回ずつ実施。面談では「新入社員との向き合い方に悩んでいる」といった声もありましたが、いかがでしたか。

野下様
専門的な立場からの客観的な助言で、上司自身がマネジメント業務を振り返る機会にもなると思いました。当社では新任管理職を対象とした研修をしていますが、その後のフォローの機会は少ないため、そもそも「自分のマネジメントを行う上での考え方や行動は正しいのか」と悩みを抱えている管理職もいるのかもしれません。今、メディアでは「管理職は罰ゲーム」などと言われています。もっと定期的な接点や支援だけでなく、管理職へ任用される前からの支援の必要性も感じております。

◆社員には「気付き」、組織には施策を打つ「判断材料」

――ここまで第三者面談で、社外だからこそできることをお話しいただきましたが、逆に自社にしかできないことは何でしょうか。また、どのような役割分担が有効だと思いますか。

野下様
具体的な仕事内容への助言や、タイムリーな指導は自社にしかできません。普段から見ている身近な上司・先輩だからこそ、気軽に話しやすく、助言にも説得力があると思います。一方、近すぎる存在のため、突っ込んだ相談はしづらい場合もあるかもしれません。私も新入社員の頃、人間関係や業務で悩みを持っていた時がありましたが、誰に相談したらいいのかわからず抱え込んでしまっていました。外部に話せる機会があるだけで、安心すると思います。今後は拾い上げた課題を基に何をどう解決すべきか、ゴールの描き方も考えたいです。

――最後に、アールナインの第三者面談は従業員数10名以下の企業から貴社のような規模の大きな企業まで導入実績がありますが、どのような企業に勧められそうだと思いますか。

野下様
当社のような新入社員の数が多いがゆえに悩み・不安が多種多様で、より個別に手厚くフォローが必要な会社は、一つ向いていると思います。新入社員はさまざまな夢や希望を抱いていますが、入社後やりたいことがすぐに叶うわけではありません。しかし、叶えたいと思ったら、すぐに転職できてしまう時代でもあります。第三者面談は、離職にもつながりかねない悩みを拾い、社員には「気付き」を、組織には施策を打つ「判断材料」を与えてくれるサービスです。重宝しています。