モラルハラスメント対策!ある日突然訴えられないために


モラルハラスメント対策!ある日突然訴えられないために

近年耳にするようになった、モラルハラスメント。このモラルハラスメントは、加害者には、ほぼその自覚がないと知っていますか?

「君のためを思って」ということが、相手にとっては精神的な苦痛になっていることがあります。ある日突然訴えられないために、モラルハラスメントについて理解しておくことが大切です。 

要注意!こんな言動が職場のモラルハラスメントに

モラルハラスメントとは、フランスの精神科医マリー・フランス・イルゴイエンヌが提唱した言葉で、「言葉や態度によって行われる、精神的な暴力」を指しています。

彼女の著書が日本で発行されたのは、1999年。比較的新しい概念で、特に職場のモラルハラスメントについては、こうした言動により職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くしたりすることも含まれています。

では、どのような言動が「モラルハラスメント」になるのか、一例をあげてみましょう。

職場のモラルハラスメントとなる言動の一例

  • 挨拶をしない、話しかけない。
  • その日の気分によって怒鳴ったり、優しくしたり接する。
  • 相手から話しかけられても舌打ちをしたり、無視をしたりする。
  • 仕事に必要な情報を与えない。
  • 仕事を取り上げたり、新しい仕事を与えなかったりする。
  • (本人の希望を無視し)常に新しい仕事ばかりさせる。
  • ため息をつく、バカにしたような行動をとる。
  • 周囲の信用を失うような発言を皆の前でする。
  • 相手の仕事を必要以上に非難する。
  • 仲間外れにする。
  • 怒鳴りつける。
  • 「だからお前はダメなんだ」と人格を否定するような言葉で見下す。

思い当たる行動はありましたか?

「だって、あいつは仕事ができないから…」「実は、ちょっと合わないから…」と、自分がさほど悪気もなくとっていたとしても、相手にとってはモラルハラスメントになっていく可能性があるのです。

 

モラルハラスメントの加害者になりやすいのはどんなタイプ?

モラルハラスメントの加害者になりやすいのは、「自己愛性人格障害」であるとされています。

「自己愛性人格障害」である場合は、「自分は他の人よりも優れている」と思っているので、自分の優位性を保つために相手をけなしてしまいますまた出世意欲も高いので、上司の前ではこびへつらい、上司がいなくなれば部下に威張り散らす、ということもあります。

他人からよく思われたい気持ちも強く、被害者以外の後輩には面倒見がよかったり、上司には信頼されていたりすることもよくあります。そして自信満々で成功欲求も強いため、リーダーに抜擢されることもあり、被害者以外からは「あんないい人が…?」と思われるかもしれません。

また、「自己愛性人格障害」とは別に、加害者本人がストレスを抱えていたり、メンタル不全などの問題を抱えていたりすることもあります。本人が抱えるストレスで、普段から不機嫌だったり、情緒不安定だったりするので、感情的に怒鳴りつけるなどモラルハラスメントとなる行動をとってしまうのです。

さらに、「周りがしているから自分も」「上司がしているから自分も」と集団心理が働く場合もあります。いずれの場合にも、自分がそんなに悪いことをしているという自覚はありません場合によっては、「教育」として、よかれと思ってやっていることさえあるのです。

 

モラルハラスメントとパワーハラスメントの違いは?

モラルハラスメントと似た言葉に「パワーハラスメント」があります。

モラルハラスメントとパワーハラスメントの一番の違いは、「パワーハラスメント」は力のある立場や権力を利用した、「上司から部下」に対して行う精神的・身体的な嫌がらせであるのに対し、「モラルハラスメント」は、職場の同僚同士や時には「後輩から先輩」「部下から上司」など、年齢や立場が上の人間に対して起こることもあります。

このようにモラルハラスメントは、パワーハラスメントと異なり「立場が下の人間がいつも被害者になるわけではない」ことから、職場でも気づかれにくいので注意が必要です。

 

モラルハラスメントは加害者ばかりが悪いわけでもない

しかしモラルハラスメントは、加害者だけに問題があるわけではありません。

モラルハラスメントの被害を訴える人のなかには、人間関係の問題について、「相手が100%悪い」と決めつけて自らの問題を顧みないタイプもいます。被害者の中にも、コミュニケーションや仕事への取り組み姿勢、人との付き合い方などに問題があるにも関わらず、自分の非を一切認めず全部相手のせいにする都合のいい言葉として、「モラルハラスメント」を訴えるケースもあります。

また、そもそも加害者がモラルハラスメントとなる言動をとるようになった原因が、被害者側にあることもあります。モラルハラスメントが問題化した際には、被害者がどのようなタイプなのかも見極め、対応を考えていく必要もあるのです。

 

問題化する前にモラルハラスメントについてまず理解を

このように加害者にも被害者にも原因がある可能性があるのが、モラルハラスメントの難しいところです。

とはいえ、いずれにしても社員がモラルハラスメントを感じていれば、たとえ訴えられなくても、「モチベーションが下がり、仕事の効率・業績が下がる」「退職される」などの悪影響がでてきます。

モラルハラスメントは、一見わかりにくい問題です。

もしかしたら、今の職場にも「モラルハラスメントの種」がすでにあるかもしれません。問題が表面化しないうちに、一度モラルハラスメントについて社員がきちんと理解しているか、確認しておきましょう。