人事異動の内示の伝え方|社員が前向きになれる3つのコツ


人事異動の内示の伝え方|社員が前向きになれる3つのコツ

「人事異動」は、なかなかポジティブに受け止められないことが多いものです。しかし、そうはいっても会社員である以上、どうしても人事異動は避けられません。

最近は異動を拒否して退職する社員もいるほどなので、そうならないためにも、また異動先で活躍してもらうためにも、避けられない人事異動をせめて前向きに受け止めてほしいものですよね。

そこで、社員に異動を前向きに受け止めてもらうための内示の伝え方のコツを紹介します。

内示を伝える時の3つのコツ

1.異動先で期待されているミッションを伝える

人事異動の内示を伝える時には、異動先の部署が抱える課題、そして期待されているミッションを伝えましょう。

異動に伴う環境の変化への不安が、異動を前向きに受け止められない原因の1つなので、異動先の状況がよくわかればそれだけ不安要素がなくなります。忙しい時期ではありますが、人事異動の内示を部下に伝える前に、異動先の部署の状況を確認しましょう。可能であれば部下の上司となる人に連絡を取り、期待されている役割やミッションを確認できればベストです。

異動を伝える際に期待を伝えることは、とても効果的です。ピグマリオン効果といって、人は期待されると、その期待通りの成果を発揮しようという心理が働くからです。

自分が異動先で期待されているとわかれば、異動への思いも少しは前向きになるのではないでしょうか。

2.「なぜ自分なのか?」の疑問を解消する

異動の内示を受けた部下は、「なぜ自分なのか?」という疑問を多かれ少なかれ感じています。特に今までの仕事とは全く違う、畑ちがいの部署や事業部への異動の場合には「なぜ自分なのか?」「自分で大丈夫なのか?」という不安と疑問が大きくなるでしょう。

こうした不安や疑問を解消するためにも、異動の理由を伝えましょう。

今までの業績のここが評価された。
今までの仕事の様子からこの能力が次の部署に求められている。

など、評価された業績や能力を中心に異動の理由を伝えられれば、異動への納得感が高まり、「よしがんばろう」という気持ちになってきます。

もちろん、直属の上司であっても「なぜその人が異動の対象なのか」という異動理由がわかるケースばかりではないでしょう。異動について直属の上司に多少なりとも相談があれば、その理由を確認する機会もありますが、そうした打診がなく部下の異動理由を確認のしようがないこともあります。

その際には、部下の今までの業績や能力から、異動先で活かせると思える能力などを自分なりの視点で伝えましょう。「○○なところが評価されて(期待されて)異動となった」と言われれば、異動に対する不安と疑問も和らいでいくはずです。

ただし、お世辞にも仕事ができるとは言えなかった部下であれば、評価や期待を伝えるのは難しいかもしれません。あるいは、今の部署では成果が出せないからこそ異動になることもあります。

その際には、「次の部署ではこういうことをもっと頑張れ」というアドバイスをエールとして伝えましょう

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3.異動後に想定されるキャリアプランを伝える

人事異動が、本人の希望やもともと持っているキャリアプランと一致しているとは限りません。営業にやりがいを感じていたのに内勤へ、または都心勤務希望なのに地方へ等、本人の希望とは異なるコースへの異動もあるでしょう。

この場合、自分の希望とは異なる配属先に対する抵抗感と共に、その後自分はどうしたらいいのか、今後のキャリアに対する不安も生まれます。そのような場合には、異動後の部署で頑張ったときに得られる経験とその後に考えられるキャリアプランを伝えましょう

部下の希望やキャリアに対する思いを否定するのではなく受け止めつつ、「そうはいっても異動先で得られる経験も決して悪くないし、無駄ではない」と思えるようなフォローを心がけてみてください。

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部下の異動に対する思いにも耳を傾けよう

このように人事異動の内示の伝え方としては、

異動先で期待されているミッションを伝える。
異動の理由を伝える。
異動後に想定されるキャリアプランも伝える。

と、部下の不安や疑問を解消するポジティブな情報を伝えることで、異動の受け止め方が大きく変わってきます。3つのポイント全てではなく1つ伝えるだけでも、異動に対する気持ちは変わってくるでしょう。

そして伝え方と同様に重要なのが、異動に対する部下の思いにも耳を傾け、部下の話をきちんと聴くことです。異動辞令を受けた部下には、環境が変わることへの不安はもちろん、「左遷ではないか」という将来への不安や、転勤など転居を伴う異動では家族の同意が得られるかどうかの不安があります。

しかし社員である以上、よほど正当な理由がない限り、異動を拒否することはできません。「異動したくない」という思いを語ったところで、異動辞令を変えられないのは百も承知です。だからこそせめて、不安でやりきれない気持ちを受け止めてもらえる、話を聞いてもらえることで、やり場のない気持ちがいくらか和らぐこともあるからです。

現実には、人事異動といっても異動先で特に期待されていることもない、ポジティブな理由ではない異動もあるでしょう。そんな時でも、部下に少しでも異動に前向きな気持ちになってもらえれば、異動先で気分一新して今までよりもいい働き方ができる可能性もあります

自分の部署を離れる部下のために、最後の気遣いで新しい部署の仕事に対するやる気を高めてあげてください。

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