要注意!部下のやる気をなくす上司の何気ない一言とは?
言った本人にとっては全く悪意も嫌味もなく、何気ない一言。それが相手のストレスとなり、人間関係をこじれさせる原因となってしまうことも少なくありません。
実は上司と部下のコミュニケーションでも、このようなコミュニケーションミスはよく起こり、上司の何気ない一言に部下がやる気をなくす…というのは、極めてよくある話です。
もちろん、自分の言葉がどのように受け止められるかをいちいち気にしていてもキリがありません。しかし、どんな一言が部下のやる気をなくし、パフォーマンスを下げる可能性が高いのか知っておくことは、損にはならないと思いませんか。
今回は、ついつい言ってしまいがちな、しかし部下によってはやる気を奪い、ストレスになってしまうこともある、そんなよくある「一言」をご紹介します。
部下のやる気を奪う「言ってはいけないひとこと」
「まだやってないの?」
「この前頼んでおいた件、まだやっていないの?」
「あれ?まだそれやっているの?」
「まだ終わっていないの?」
部下に任せた仕事の進捗が気になって、こんな言葉をかけることはありませんか。あるいは、残業しがちな部下に対して軽い気持ちで声をかけることもあるでしょう。しかし、上司からの「まだ?」という言葉に、プレッシャーを感じてしまう人は少なくありません。それは「まだ?」という言葉の裏に、例えばこんな意図を想像してしまうからです。
「この前頼んでおいた件、まだやっていないの?(忘れているんじゃないの?何やっているんだ?)」
「あれ?まだそれやっているの?(いつまでかかるの?それそんなに時間がかかる仕事?)」
「まだ終わっていないの?(仕事遅いよね。効率悪いんじゃないの?)」
とこんな具合です。
もちろんこの台詞を言う時の雰囲気、上司の表情、シチュエーション、日頃の人間関係など様々な要素によって変わりますが、状況によっては思っている以上のプレッシャーになることもあると知っておきましょう。
「まずは目標達成してからね」
これは特に、営業・販売部門でありがちな一言です。部下から何か業務上の相談や現場の課題を提案されたときに、こんな切り返しをしてしまっていませんか。
「まずは、今月の目標を達成してからにしようか」「そういうことは、目標を達成してから言え」
会社員である以上、会社が決めた目標達成を目指すのは極めて当然で重要なことです。何も間違ってはいません。しかし、たとえ当たり前のことであっても、仮に言葉の背景に「経験を積んで成長するためにも、まずは目標を達成することに注力してほしい」と部下を思う気持ちがあったとしても、状況次第でこれを「上司は数字のことしか考えていない」と受け止める部下はとても多いと知っておきましょう。
そしてそうなってしまう状況とは、部下からの相談や提案(あるいは不満)に聞く耳を持たずにこの台詞を言ってしまった場合です。
現状の課題や提案など、自分なりに考えた意見を聞いてもらえず、「まずは目標を」と言われてしまうと、「数字のことばかり…」となりますが、部下の話をきちんと聴いてその意見と気持ちを受け止めてから言うのであれば、部下の納得感は全く異なるでしょう。
「なんでできていないの?」
「なんでできていないの?」
「なんでこんな失敗をするんだ?」
「なんで売上が上がらないの?」
「なんでこんな資料になっているんだ?」
など、部下の仕事の成果に「どうしてこうなるんだ?」と不思議に思ったり、時にはイラっとしてしまったりすることも多々あると思います。このときに上司が口にするこの「なんで?(なぜ?)」という原因追及の言葉に、部下は上司が思っている以上に叱責の意図を感じてしまいます。
目標の未達成、失敗、資料のミスやクォリティの低さなど、「仕事ができなかった理由」はいくら聞いてもできるようにはなりません。人は「できない理由」を聞かれれば、なるべく自分に火の粉がかからない他責の理由を探して答えようとするからです。
部下のマネジメントを考え、本質的に改善したいのであれば「どうすればできるようになるのか?」を聞くようにしましょう。
「一言」が誤解を生まない関係性を日常から
日頃のコミュニケーションでも意識しておきたいこれらの言葉ですが、特に配慮したいのが、メールでのコミュニケーションです。
今は、業務連絡・報告をメールで行うことも増えたため、上司からの何気ない一言を、いつまでも気にしてしまっている人も少なくありません。メールは言葉の感情やテンションが伝わりにくい分、「そんなつもりはないのに」という事態が起こりやすいのです。
そして本当にたった一言をきっかけに上司への見方が変わり、仕事への不満が多くなり、パフォーマンスが下がるという悪循環が始まることがあります。
しかし、これらは上司と部下の関係性ができていれば、全く問題のない「一言」であることがほとんどです。普段からちょっとした挨拶、何気ない会話などのコミュニケーションができていて、上司が部下の話に聞く耳を持ち、部下が上司のタイプや性格をわかっていれば、ちょっとした一言で関係性がこじれることも、部下のやる気が下がることもありません。何か言われても、「あの人はこういう人だから」と思えるので、上司の言葉による精神的なダメージを自分で修正できるのです。
何気ない一言が、上司と部下の関係性がこじれるきっかけになることはよく起こります。しかし、常に部下への一言一句に気を遣うのは現実的ではありません。だからこそ、上記のような一言も気にされないような人間関係を日常から築けるよう意識していきましょう。