部下との距離感が遠くならないための3つのコツ
「適切なコミュニケーションの距離」は人によって大きく異なるため、部下との適切な距離感の取り方を考えると、なかなか難しいものです。
上司が距離を縮めようと、プライベートなど雑談なども交えてコミュニケーションをすることをよしとする人もいれば、「仕事は仕事」と割り切って業務以外の話をしたくない人もいます。しかし部下がどんなタイプであれ、最低限仕事に支障がでないように、距離感が遠くなりすぎないようにしたいものですよね。
そのために、部下とのコミュニケーションでは何に気を付ければよいのか。そのためのコミュニケーションの3つのコツを紹介します。
部下とのコミュニケーションにおける3つのコツ
その1 日々の挨拶はきちんと顔をみて
仕事上必要ないい関係を築くコミュニケーションの基本はやはり、「おはよう」「おつかれさま」などの毎日の挨拶です。「挨拶は部下からするもの」なんて思わず、気づいたら積極的に顔を見て声をかけていきましょう。
その際には、「〇〇、おはよう」と名前を呼んで挨拶をすると、部下は自分のことを一人の人間として認めてもらっていると感じられるのでより効果的です。
上司が自分を認めていると感じられれば、部下はその職場に対して安心感を持つことができます。そしてその上司に対しては、少なくとも遠い距離を感じることはないでしょう。
その2 何でもメールで済ませない
今は仕事でも、メールでコミュニケーションを行うことが非常に多くなりました。
メールは部下に伝えたい内容を忘れないうちに、自分に都合のいいタイミングで送信できますし、部下も自分の仕事のスケジュールに合わせてメールを確認することができます。「CC」にいれておけば、簡単に業務内容を共有することもできますし、とても便利なツールですが、業務連絡や、部下の仕事の確認、そのフィードバックなど何でもメールで済ませてしまうと、思わぬミスコミュニケーションを生み、部下との距離を遠くしてしまうことになりかねません。
特に注意したいのが、部下の仕事に対する評価や、修正ややり直しなどを伝えるコミュニケーションです。
メールコミュニケーションは、業務の共有や報告には適していますが、送信者の気持ちの温度感や本意をメールでの文面だけで伝えるのは極めて難しいため、評価ややり直しを伝える際に、上司が意図している以上に部下が「冷たい」「事務的」と感じてしまうことがよくあります。
たとえば、仕事の進捗確認をしたいケースを例にとりましょう。
上司からすれば、単に今の進捗状況を確認したいという軽い気持ちで、「〇〇の件、どうなっている?」と聞いたつもりでも、メールでその一言だけが送られてきたのを見た部下は、「やばい!〇〇の件、やっていないのを責められている」と感じる可能性は、実は結構高いのです。
直接話せば、上司の表情などで「軽く確認しているだけ」か「その案件が進んでいないことをイライラしている」のかわかります。電話でも、声のトーンで「単なる確認だから気にしなくてもいい」のかそうでないのか、わかるでしょう。しかし、メールではそれがわからないため、本来なら必要のないところで印象が悪くなったり、関係がこじれたりしてしまうこともあります。
また、机を並べて仕事しているのに、業務の指示やフィードバックがメールばかりというのも、「こんなに近くにいるのに、何で直接言わないんだろう」という不信感につながります。
部下との距離感が遠くなりすぎないためにも、メールで済ませてよいことと、直接伝えたほうがよいことをきちんとわけていきましょう。
その3 「この件についてどう思う?」と時には部下の意見を聞く
そして時には、自分が進めている案件や仕事に対して「この件についてどう思う?」と部下に意見を聞いてみてください。
職場には、「仕事中に雑談はしたくない」という部下もいるでしょうし、自身が「仕事中に雑談はしたくない」「そもそも雑談があまり好きではない、得意ではない」という上司もいると思います。しかし、業務の指示と報告が会話のメインで、それ以外のコミュニケーションがないようでは、上司と部下の距離感はどんどん遠いものになってしまいます。
そんなときにおすすめなのが、業務や仕事に関するテーマでコミュニケーションを交わすことです。
「どう思う?」と聞くことで、部下の仕事に対する考え方などを知ることができますし、自分の意見を求められた部下も決して悪い気はしません。そして仕事に関することであれば、「仕事中の雑談はイヤ」「プライベートには踏み込んでほしくない」という部下からみても、「仕事に必要なコミュニケーション」の範疇に入ります。
もちろん、「どう思う?」と聞いた後は部下の意見をしっかり聴きましょう。そしてもしそれを業務に参考になったのであれば、「参考になった」「役に立った、ありがとう」とぜひフィードバックしてください。そうすれば部下も「自分は上司の仕事の役に立っている」と感じられ、上司が「遠い」存在ではなくなってくるでしょう。
「適切なコミュニケーション」は部下によって違う
上司と部下のコミュニケーションの適切な距離感は、人によって感じ方が大きく異なります。プライベートのことまで含めたコミュニケーションを好む人もいれば、業務以外では関わりたくないという人もいます。
自分とのコミュニケーションスタイルが合わない部下に対しては、つい否定的な評価をしてしまいがちですが、このコミュニケーションの好みは、何が良い、悪いではありません。
上司として部下の志向も考慮しながら、業務に支障がない程度にどの部下とも遠すぎない距離を保てるように心がけていきましょう。
この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。