ミーティングで発言しない部下を育てる3つのポイント
ミーティングで誰も発言しないで、淡々と情報共有されてミーティングが終わる…。
そんな「静かなミーティング」に、「もう少し、新人や若手が発言してもいいのに」と少し不満に思ったことはありませんか。
でも自分が新人だったころを思い出してみてください。皆が集まるミーティングの場で発言をするのは、結構な勇気を必要としませんでしたか?ある程度社歴が長くなり、経験が増えていけば自信がついてミーティングでも多少発言ができるようになってきます。
しかし少しでもその成長速度を加速し、新人や若手社員も活発に発言できるようなミーティングを目指すのであれば、次の3つのことから試してみましょう。
安心して発言できる環境作りの3つのポイント
1.日頃から「自分の考え」を発信する機会をつくる
部署のメンバ―が集まるミーティングは、発言の場としては、今まで発言したことのない新人や若手社員にとっては、相当「緊張する場」です。
自分なんかがここで発言して、皆の時間を使ってしまっていいのだろうか。
言っていることが的外れだったらどうしよう?
自分の意見なんて大したことないし。
まだそんな実績も上げていないし。
こんな思いから、よほどでない限り、ミーティングで発言する勇気はなかなか出てこないでしょう。
特に、上司が忙しくてあまり会話ができていないなど、日頃のコミュニケーションも希薄であれば、ミーティングではなおさら発言しにくいはずです。この状況を解消し、ミーティングで臆せず発言ができるように部下を成長させていくために、日頃から「〇〇について、お前はどう思う?」と部下に問いかけて、「自分の考え」をまとめて発信させる機会をつくっていきましょう。
もちろん上司に突然「どう思う?」と聞かれたら、部下は当然戸惑います。最初のうちは、的外れな答えが返ってくるかもしれません。しかし、「自分の考えを求められる」ことが日常的になれば、「上司に聞かれたときのために」と自分で考えをまとめ、情報収集をするようになります。
こうしてまずは、日常の業務で「上司に対して自分の意見を言う」ことに慣れれば、その延長でミーティングでの発言に対する抵抗感も和らいでいくでしょう。
2.部下の話は体を向けてきちんと聞く
部下が自分の意見を言うようになってきたら、その話を「聴く」姿勢も大切です。ぞんざいに聞いていたのでは、逆効果になってしまうからです。そこで、日々忙しい業務のなかでもたった1つだけ意識していただきたいのが、「部下の話を聞くときには、部下に体を向けてきちんと聞く」ということです。
デスクで仕事をしているときに、「ちょっといいですか?」と声をかけられ、ついメールに返信したい、資料を作ってしまいたいという思いから、PCのキーボードを打ちながら、パソコンの画面を見ながら、資料を見ながら部下の話を聞く…ということもあるのではないでしょうか。
こうした対応が悪いというわけではないのですが、話しかけた時に相手が自分のほうに体を向けてくれるかどうかで、コミュニケーションの印象は大きく異なります。自分のほうを向いてくれれば、「ちゃんと聴いてくれている」と感じられますし、パソコンの画面をみながらでは「この人は自分の話を聞いていない」と感じます。
部下がこう感じてしまったら、「どうせあんまりちゃんと話をきいてくれないし」と「発言しよう」というモチベーションは下がり、上司とコミュニケーションをしなくなってしまうかもしれません。
忙しくても手を止めて、上司が自分に体を向けてくれれば、「自分の話をちゃんと聞こうとしてくれている」と部下の自信と安心につながります。話す相手に体を向けるだけで、「あなたの話をちゃんと聞きます」というメッセージがボディランゲージとなってしっかり相手に伝わります。自分の意見をきちんと聞いてもらえる安心感があって、初めて積極的に発言しようというモチベーションは生まれます。発言する部下を育てたいのであれば、忙しくても一度手を止めて、部下に向き合って話を聞くようにしましょう。
3.ズレた意見でも否定しないで真摯に受け止める
最後に紹介するポイントは、部下の発言を聞いたあとの反応についてです。
部下の意見は的外れなものでも、一旦は真摯に受け止めるようにしましょう。最初から的確な意見を出せる人はそうそういません。しかし、的外れな意見だからといって、「それはちょっと違うんじゃないか」「お前はわかっていない」など否定的な言葉を言ってしまったら、部下は「もう余計なことは言わないようにしよう」と貝のように口を閉ざしてしまうかもしれません。
こんな事例があります。
以前、ある介護福祉施設で、意見やアイデアをどんどんだして、職場を活性させているという社員がいるというので、その社員に話を聞かせてもらったことがありました。
しかし驚いたことに、彼はもともと自分から意見などいうタイプではなかったというのです。
「私は中途入社したのですが、前職ではどちらかというと黙って言われたことだけやるタイプでした。しかし、ここでは皆が自分の意見を聞いてくれるし、少し意見がズレていても、『こういう見方があるんじゃないか』『それならこうしたらどうか』と前向きにアドバイスをしてくれるので、自分の意見を言うのが楽しくなってきてしまったんです」
この彼の話に、上司の理想的な対応のヒントがあります。
「少し外れていても、『こういう見方があるんじゃないか』『それならこうしたらどうか』と前向きにアドバイスをしてくれる」ことがまさに、「一旦は真摯に受け止める」という行動だからです。
この事例のように、少しズレていても、周辺情報や会社としての方向性などを伝え、「それならこうしたらどうか?」と部下の気持ちを汲み取りながら軌道修正を繰り返せば、次第に的確な意見が言えるようになるでしょう。
そうして発言に自信がついてくれば、彼のようにミーティングでも発言の機会は多くなると思います。意見が飛び交う活発なミーティングは、「自分の意見が求められている」「そして自分の話をきちんと聞いてもらえる」という安心感を部下が持つことができて初めて実現します。
今回紹介した3つのポイントも参考にしながら、ぜひ毎日のコミュニケーションからその安心感を作っていきましょう。