部下のやる気がなくなった…その時フォローの重要なポイントとは?
なんだか最近部下のやる気がない。どうも様子が以前とは違う気がする。今まではそんなことはなかったのに、気づいたら最近部下のやる気がなくなった気がする…そんな時には、必ず何かしらの理由があります。
やる気がなくなった状態を「少し見守ってみようか」「社会人だしそのうちなんとかするだろう」とそのままにしておくと、状況が改善しないばかりか、その部下が退職してしまう…ということも。
部下が早めに「やる気がない状態」から抜けられるように、部下の変化に気づいたときのフォローと対処法を確認しておきましょう。
Contents
そもそも、「やる気をなくす」きっかけとは?
最初からやる気がないのは別として、「どうも最近様子がおかしい」という場合、次のような気持ちの変化が考えられます。
①仕事に対する諦め
・「なんか、この仕事も飽きてきたな」
→ 仕事マンネリしてきていて、新しい成長の機会や学びがなくなっている。
・「ここにいても先が見えてるし・・・」
→ 自分で仕事が一通りできるようになり、ある程度の業績も上げられるようになって冷静に社内を見渡したときに、「こうなりたい」と思えるロールモデルがみつからない。
②職場に対する諦め
・「どうせ言っても無駄だし…」
→ 意見や提案を出してきたが、それがなかなか組織や上司に受け入れてもらえないと感じている。
・「どうせやっても無駄だし…」
→ 自分の業績やアウトプットに対し、正当に評価されていないと感じている。承認欲求が満たされていない。
・「もうあまりここには居たくない…」
→ 職場で上司や同僚との人間関係がうまくいっておらず、何らかのトラブルを抱えている。
https://r09.jp/2017/10/20/syousinohitokoto/
③仕事における無力感
・「自分は一体、誰の何のためにこの仕事をしているんだろう…」
→ 目の前の業務に追われていて、自分の仕事が社会に提供している価値を見失っている。
・「頑張っているのに、なんで成果があがらないんだろう…」
→ 自分なりに努力しているのに、思うように成果が上がらないことへの疲れ。成果が上がらない要因が、「自分ではどうにもならないこと」(市場環境や、クライアントの事情、社内の関係部署等の状況など)であればあるほど、無力感を感じやすい。
④プライベートのトラブル
・「こんなときに、とても仕事なんてやっている気分じゃない…」
→ プライベートで、何らかのトラブル、問題を抱えていて、仕事に身が入らない状態。
ここで挙げたのはあくまで一般的な例ではありますが、こういった原因がありそうだということを踏まえながら、目の前の部下の気持ちの変化のきっかけは、どのあたりにありそうか振り返ってみましょう。
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話を聞く前に客観的に振り返る
お気づきになったかと思いますが、「④プライベートなトラブル」を除いては、どれも今までのマネジメントやコミュニケーションで、上司が伝えきれていなかったことやちょっとしたボタンの掛け違い、すれ違いが問題である可能性が意外に高いのです。
言い換えると、「部下がやる気がなくなった」状況には、直接の原因になっているだけでなく、間接的に「マネジメントで、その状況を防ぐことができたかもしれない」ことも含めれば、上司である自分が多かれ少なかれ影響している可能性が高いのです。
だからこそ、ぜひ部下と直接話す前に、部下の気持ちの変化に思いを巡らせ、今までマネジメントで防げたことはなかったか、客観的になって振り返ってみてください。時間的には少しだけでも、このような振り返りをすることで、「相手の立場にたって考える、状況を見直す」ことができます。
そして一瞬でもこのような時間をとることで、部下への理解も変わり、部下の話を聴く姿勢も変わります。これが、やる気がなくなった部下への効果的なフォローと対処法のとても重要な第一歩となります。
では、「④プライベートなトラブル」以外の気持ちの変化のきっかけについて、振り返るポイントを確認しておきましょう。
①部下の「仕事に対する諦め」
☑部下に新たなチャレンジの機会を与えていたか。
☑今後のキャリアについて話をする機会が不足していなかったか。
②部下の「職場に対する諦め」
☑部下の意見を聞く時間をとっていたか。
☑忙しいからといって、部下とのコミュニケーション不足になっていなかったか。
☑部下の提案を却下してばかりいなかったか。
☑却下するときには、納得できるような説明ができていたか。
☑部下の業務に対して正当な評価やフィードバック(「ありがとう」「助かったよ」などの声掛けも含む)ができていたか。
③部下の「仕事における無力感」
☑「何のためにこの仕事をするのか」というビジョンや、仕事を通じて社会に提供したい価値について、話す機会があったか。
☑コミュニケーションが、目先の業務の細かい連絡や指示が中心になってしまっていなかったか。
☑本人は努力しているけれど業績が上がらない、仕事が進まない部下に対して適切なマネジメントやフォローができていたか。
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部下の立場で話を聞けたら対処法は自ずと見えてくる
ここまでのプロセスは、料理でいえば「下準備」のようなものです。説明は長くなりましたが、実際にはそんなに時間をかける必要はなく、「あれ?おかしいな」と気づいてから、部下の気持ちの変化に思いをめぐらせ、今までを振り返るのは、人によっては数分、いや1分もかからない作業だと思います。
しかし、下準備をしっかりしておかないと完成する料理の味も変わってくるように、「相手の立場になって一瞬考える」というこのプロセスをいれるかいれないかで、コミュニケーションの成果はまったく異なります。それは、話す相手が自分の立場にたってコミュニケーションをしているかどうかによって、「何を伝えるか」が変わってくるからです。
部下の立場に立って話を聞く姿勢がない上司に、部下は重要なことや本当のことを言わない可能性は大いにあります。部下が本当の理由を話してくれなければ、「やる気がない」状態の解決にはなりません。
反対に、上司が自分の立場や状況を理解しようとしてくれているという姿勢が伝われば、部下は本音を話しやすくなります。
やる気がなくなった本当の理由さえわかれば、あとはそれを見直せばよいだけです。もちろん、その理由のなかには、すぐに解決できない問題もあるでしょう。「今後のキャリアの問題」など、会社全体の問題もあるかもしれません。
それでも、「自分を理解しようと、話を聞いてくれた」「その状況の解決に向けて、動き出してくれた」と状況が変われば、「なくなってしまったやる気」も変わってきます。
部下にやる気がなくなってしまった時こそ、相手の立場にたってコミュニケーションをする重要性を思い出して、フォローしていきましょう。