【2021年版 中途採用市場の現状と今後の動向】中途採用の目的とは?


【2021年版 中途採用市場の現状と今後の動向】中途採用の目的とは?

企業が活動するうえで、成功を決める大きな要素となるのが「ヒト」です。企業が目標達成するためには、優秀な人材を獲得することが必須です。

そのため企業では人事を中心に、優秀な人材を獲得するための採用戦略を考えていかなければなりません。

その採用戦略の一つが「中途採用」です。

どんなに優秀な企業であっても、社員の休職や退職が0になることはありません。また、企業は未来に向かって変わり続けることが求められるため、新規事業を創出したり、事業の拡大を行っていくことが必要になります。

こういった場合の欠員や増員に対応する採用手法が中途採用です。中途採用はどこの企業でも必要とされる採用手法です。

今回の記事では、中途採用の定義、中途採用の目的、中途採用市場の現状と今後の動向について解説していきます。今回の記事をもとに、あらためて中途採用の目的を認識するきっかっけとしていただければと思います。

中途採用の定義とは

中途採用とは、「過去に1社以上で就業した経験のある人材を企業が採用すること」を指します。

新卒採用とは異なり、社会人としてのビジネスマナーを備えている点や、職場での実務を経験していることから、企業にとっては即戦力強化を期待できる採用手法のひとつです。

就業経験がある方の転職は、年齢、就業年数に関わらず、全て中途採用として定義されます。

中途採用は不定期に企業側が募集をかけることができるため、新卒採用とは異なり、企業の状況に応じて柔軟に採用活動を行えます。

企業が中途採用を募集する背景としては、既存社員の退職による欠員の補充や、新規事業や事業拡大による増員募集が主です。

企業が中途採用で求める人材の要素は、多くは即戦力として活躍できる人材です。

過去のキャリアを活かして、自社で即時に活躍できる人材を求めます。

ただ、中途採用の中には経験不問であっても募集をかけることもあります。

中途採用では少数ですが、「熱意」や「やる気」を重視し、入社後に教育していく意向の企業もあります。

中途採用と新卒採用では、特徴が大きく異なり、企業の狙いも異なります。

それぞれの違いを理解したうえで、中途採用、新卒採用のどちらの手法も取り入れていくことが効果的です。

中途採用と新卒採用の違いについて、事項以降で解説していきます。

中途採用の目的とは

中途採用の一番の目的は、前述したように「即戦力」となる人材を獲得することです。

どんなに優秀な企業であろうとも、産休や育休による社員の長期休職、転職や諸事情による社員の退職ということは必ず起こりえます。

その際、既存の事業を回していくためには、人材の確保が優先課題となってきます。

このような場合に必要とされるのが「即戦力」となる人材です。

社員の欠員がでた際に、その穴を補填することは急務です。

ゆっくり数年単位の時間をかけて、人材育成をしている余裕はありません。

そのような場合に、過去類似の職種や業種を経験している人材を獲得することで、研修や業務引き継ぎの時間を格段に短縮することができます。

もちろん、経験者とは言え、自社と他社では勝手が違うことを念頭において研修をする必要がありますが、未経験者と比較して習得のスピードは圧倒的に早いと言えます。

また、新規事業の立ち上げや事業拡大のために増員をする場合も、「即戦力」となる人材が求められます。

過去のキャリアで事業を立ち上げた経験のある人材、自社の業界の知識を有する人材などを獲得することで、自社の事業戦略を成功させる確率は大きく上がります。

欠員補充と比較すると、採用活動にかけられる時間や、入社後の育成にかけられる時間はある程度の余裕があるものの、競合他社に競り勝つためには新規事業や事業拡大においてもスピード感を持って対応することが必要です。

そのような場合も、知見がある人材を採用することで、新しい事業戦略のスピード感を上げることができます。

加えて、類似業界の他社でキャリアを積んだ人材を採用することで、他社で得たビジネスノウハウを自社に取り入れることができるのもポイントです。

このように新しい風を吹き込み、鎖国的な文化を作らないようにすることも、中途採用の目的の 一つです。

自社で長年勤めている社員だけでは考えが固定的になり、業界のトレンドに着いていくことも困難となるため、企業のガラパゴス化が進んでしまいます。

他社での考え方や働き方、専門業務におけるノウハウなど、他社で活躍していた社員を獲得することで、良い変革をもたらすきっかけとなります。

このように中途採用は、即戦力や、企業の質を高めていくという大きな目的があります。

中途採用と新卒採用では狙いが異なる

企業が人材を獲得する採用手法は、大きく中途採用と新卒採用に分類されます。

この2つの採用手法には明確な違いがあるため、しっかりと理解しておく必要があります。

中途採用の目的は、前述した通り「即戦力」としてすぐに企業の力になる人材を獲得すること、他社で培った能力を自社に取り入れ企業の質を高めることです。

一方で、新卒採用の目的は「長期視点を持ったもの」になります。

新卒採用では、企業が中長期を見て安定的に事業を継続するため、時間をかけて育成していく人材の獲得を目的とします。

現状、すぐに活躍を期待できる専門技術がなかったとしても、自社で育成し、数年かけて高いパフォーマンスを出す社員に育てることを念頭に置いています。

社会人経験がない分、人柄や伸びしろといったポテンシャルの部分を重要視するのが新卒採用の特徴です。

新卒採用は1年に1〜2回の定期で行われ、大人数の人材を獲得する採用活動です。

そのため、採用計画の中でも大きなインパクトを与えます。採用計画を広い視点で見た場合、新卒採用でベースとなる母集団を形成し、中途採用で不足人員、追加人員を埋めていくというような企業が多く見受けられます。

加えて、新卒採用には組織の若返りという目的もあります。世代が違う若い人材を定期的に獲得することで、組織の老いを防ぐことができます。

若い人材の考え方、文化などを取り入れ、組織をアップデートしていくことで現代社会の変化に対応することができます。

時代の変化の流れが激しい現代においては、組織の若返りも大きな目的の一つです。

【中途採用と新卒採用の比較まとめ】

-中途採用-

目的   :即戦力の獲得、自社にないノウハウの獲得
ターゲット:社会人(就業経験あり)
募集時期 :不定期(主に欠員や新規事業・事業拡大のタイミング)
採用人数 :少数
採用基準 :スキル重視

-新卒採用-

目的   :中長期視点で活躍できる人材の獲得、企業の若返り
ターゲット:学生(就業経験なし)
募集時期 :定期(年1〜2回)
採用人数 :多数
採用基準 :ポテンシャル採用

中途採用と新卒採用の採用基準の違い

 これまで解説してきたように、中途採用と新卒採用には明確な性質の違いがあります。

採用活動の目的が異なるため、採用判断をするための採用基準も異なってきます。

ここでは、中途採用と新卒採用の採用基準の違いについて解説していきます

中途採用の採用基準

何度もお伝えしている通り、中途採用での一番の目的は即戦力の獲得です。

企業によっては、ある程度の育成期間を見込んで中途採用をする場合もありますが、中途採用の8割以上では即時活躍できる人材の獲得を目的としています。

その人材が入社した場合、すぐに戦力となるかという判断を採用面接で行います。

自社業務に関わる資格の有無、自社業務に関連する業務での実績、自社で扱うツールの利用経験などが判断基準となります。

また、管理職採用の場合は、自社と同規模もしくはそれ以上の組織のマネジメント経験があるか、マネジメントでチームを大きな成果に導いた実績があるかといったポイントも判断基準となります。

採用面接では、人柄や価値観についての質問もありますが、即戦力として働ける能力があるかどうかというポイントがより重要視されます。

新卒採用の判断基準

新卒採用の目的は、企業が継続的に安定して事業ができるよう、中長期視点で活躍できる人材を獲得することです。

新卒採用では未就業者である学生を対象として採用活動を行うため、実務力をもとに判断することはできません。

そのため、新卒採用では人柄価値観といったポテンシャルをもとに採用判断をします。

加えて、学生の場合は「ガクチカ」と言われる学生時代に力を入れて頑張ったことを、採用判断の基準としている企業が多いです。

どのように戦略をたて、どのような戦術を選択し、どれくらいの努力量をこなしたか。

こういった過去の経験から、再現性を考え、就職後の姿をイメージすることができます。

このように、中途採用と新卒採用では、採用判断の基準が異なることを理解しておきましょう。

中途採用市場の現状

マイナビが2021年1月に行った調査によると、「6割以上の企業は正社員不足を感じており、約8割の企業は経験者採用に積極的である」ということが分かっています。

参考 マイナビ「中途採用状況調査(2021年版)」
https://www.mynavi.jp/news/2021/03/post_30192.html

業種によっても異なりますが、6割以上の企業は人手不足を感じていると回答しています。

特にIT・通信・インターネット、医療・福祉・介護、不動産・建設・設備・住宅関連では、人員不足が大きな課題であることが回答結果から分かりました。

レジャーやフード関連の業種こそ新型コロナウイルスの影響により、現段階では採用意向が強くはないものの、その他の業種においては7割、8割以上の企業が積極的に採用したいという意向があることが確認できています。

また、採用面接は、新型コロナウイルスの流行以降、Web面接が浸透してきています。

Web面接の場合、面接のキャンセルが多いこと、内定辞退率が高くなることなどの課題があります。

現代にあった採用面接の形を取り入れ、自社の採用活動を最大化するためには創意工夫が必要とされます。

今後の中途採用市場の動向を読み解く3つのポイント

今後、中途採用の需要は高まっていくことが予想されます。

中途採用の需要が高まる要因としては、以下の3つのポイントです。

1. テクノロジーの進化
2. 働き方の変化
3. 多様性の拡大

1. テクノロジーの進化

近年、時代の変化のスピードは年々増しています。医療、IT、工業など全ての分野で大きなイノベーションが起こっています。

テクノロジーの進化に伴い、企業も変化を求められます。そのため企業は新規事業や他分野の進出を行い、企業の在り方を時代にあわせて最適化していく必要があります。

そのような企業戦略のためには、スピード感を持った人材の増員が必要不可欠です。

新卒採用のように長期を見て育成していくという方法では、時代の変化のスピードに対応ができません。

そのため、企業は過去のキャリアで培った能力を活かせる有能な人材を求めます。

企業間の競争に勝つため、スピード感を持って中途採用を積極的に活用していくことが考えられます。

2. 働き方の変化

働き方についても、ここ数年で大きな変化が起こっています。近年では、厚生労働省が副業・兼業の促進について発信したことが記憶に新しいでしょう。

現代では、終身雇用という概念はほぼ無くなってきています。会社が自分を守ってくれるという考えではなく、自分で自分を守ることが求められます。

そのため、副業を始める方も増えてきています。

今までは正社員として長期就業することが正解とされていましたが、現代社会では、自分で副業・兼業を行いつつ、企業に勤めるというスタイルが少しずつ浸透してきています。副業禁止としている企業からは、多くの人材が流出する可能性もあります。

加えて、ワークライフバランスという言葉が一般化されているように、働き方の価値観自体も変化してきています。

以前は、出世や昇給をモチベーションに多くの時間を労働にあてる方もいましたが、現在働いている世代の方は、働くこととライフスタイルのバランスを重視したいという価値観に変わってきています。

こういったワークライフバランスに対応できる企業は、今後、採用の応募が高まることが予想されます。

このように働き方の変化からも、中途採用需要が増加する可能性が高いと考えられます。

3. 多様性の拡大

テクノロジーの進化、働き方の変化に加えて、多様性の拡大も中途採用需要増加の要因となることが考えられます。

多様性を意味する「ダイバーシティ」という言葉が一般的に使われるようになってきた昨今、採用活動にも大きな影響を与えていくことが考えられます。

国籍、年齢、性別、学歴など今まで条件としていたものが、多様性の拡大に伴って取り払われていくものもあるでしょう。

外国人労働者の採用もその一つです。

グローバルに各国から有能な人材を獲得することも今後は活発化してくることが予想されます。

多様な人材が活躍する環境づくりができる企業は、これからの時代、優位に立つことができます。

経営戦略の一環として多様性を取り入れていく企業が増えていくことで、中途採用の幅も広がることが予想されます。

まとめ

◆中途採用とは、過去に1社以上で就業した経験のある人材を企業が採用すること
◆中途採用の目的は、即戦力の獲得企業の質を高めていくことにある
◆中途採用と新卒採用では狙いや性質が異なる
-中途採用-
目的   :即戦力の獲得、自社にないノウハウの獲得
ターゲット;社会人(就業経験あり)
募集時期 :不定期(主に欠員や新規事業・事業拡大のタイミング)
採用人数 :少数
採用基準 :スキル重視
-新卒採用-
目的   :中長期視点で活躍できる人材の獲得、企業の若返り
ターゲット;学生(就業経験なし)
募集時期 :定期(年1〜2回)
採用人数 :多数
採用基準 :ポテンシャル採用・2021年1月に行った調査では「6割以上の企業は正社員不足を感じており、約8割の企業は経験者採用に積極的である」ということが分かっている
◆今後、以下の3つのポイントにより中途採用の需要が高まることが予想される
1. テクノロジーの進化
2. 働き方の変化
3. 多様性の拡大

今回は、中途採用の定義、中途採用の目的、中途採用市場の現状と今後の動向について解説いたしました。

中途採用は企業が経営状況や時代の変化にあわせて、最適化していくために必要な採用手法です。

中途採用の特性を理解し、採用戦略に盛り込むことで企業が目標達成できる確率は大幅に上がります。

弊社コラムでは、引き続き中途採用を攻略するポイントや、現代のトレンドなどについても解説していきます。

引き続き、当社コラムからノウハウを吸収し、自社の採用活動へ活かしていただければと思います。