採用目標とは?決め方3ステップとKGI・KPIへの落とし方

公開日: 2021年12月28日 | 最終更新日: 2026年01月26日


採用目標とは?決め方3ステップとKGI・KPIへの落とし方

採用活動を進めるうえで欠かせないのが「採用目標」の設計です。しかし、採用目標とKGI・KPIの違いが整理できておらず、数値管理や改善がうまく進まないケースは少なくありません。

本記事では、採用目標の考え方から、KGI・KPIとの違い、実務で使える落とし込み方までを解説します。

採用目標とは?KGI・KPIとの違いを整理

採用活動を進めるうえで欠かせないのが「採用目標」「KGI」「KPI」の整理です。

これらを混同したまま採用を進めると、数値管理が目的化したり、現場とズレた採用活動になりやすくなります。

まずはそれぞれの役割と違いを明確にしましょう。

H3:採用目標=「採用活動のゴール設計」

採用目標とは、採用活動全体のゴールを設計することです。

具体的には、「いつまでに・どのような人材を・どの部署に・何人・どのくらいのコストで採用するのか」を定めます。これが採用活動の方向性を決める“軸”になります。

この軸が曖昧なままでは、採用手法の選定や人数計画、KPI設計も場当たり的になり、採用の成果を安定して出すことはできません。

単なる「何人採るか」ではなく、なぜ採るのか、何を解決したいのかまで含めて設計することが大事です。

H3:KGI=採用目標を数値で定義したもの

KGI(Key Goal Indicator)とは、採用目標を数値で表した最終ゴールです。

採用活動においては、内定承諾者数や採用人数などがKGIに該当します。

たとえば、

・採用目標:事業拡大のために営業人材を確保する

・KGI:半年以内に営業職を5名採用する

このように、採用目標という抽象的なゴールを、「達成・未達が明確に判断できる数値」へ落とし込んだものがKGIです。

KGIが定まっていないと、採用活動の成功・失敗を正しく評価できません。

そのため、採用目標を定めたら、必ずKGIまで具体化する必要があります。

H3:KPI=採用目標達成に向けたプロセス指標

KPI(Key Performance Indicator)とは、KGIを達成するための途中経過を管理する指標です。

採用活動では、応募数、書類通過率、面接通過率、内定率などがKPIとして設定されます。

たとえば、

・KGI:営業職を5名採用する

・KPI:応募数、一次面接通過率、内定承諾率 など

KPIを設定することで、採用活動のどこに課題があるのかを可視化できます。応募数が不足しているのか、面接通過率が低いのかによって、取るべき改善策を正しく選ぶことができます。

新卒採用と中途採用で採用目標は異なる

新卒採用と中途採用では、採用目的が異なります。

そのため、採用目的からブレイクダウン(=細分化)した採用目標にも違いが現れます。

それぞれの採用活動の目的を理解し、採用目的に沿った採用目標へとブレイクダウンしていきましょう。

新卒採用の採用目的

新卒採用の目的は、会社の将来を考え、入社数年後に活躍できる人材を獲得することです。

新卒採用では、会社の将来性を1番に考えています。

新卒採用では、中途採用のように職務経験がある求職者を対象とできないため、人柄や成長といったポテンシャル重視で採用判断を行います。

入社後、自社のマインドを一から教え込み、将来的に組織を牽引することができるリーダーに育てることを考えていきます。

このように新卒採用の場合は、入社直後に活躍できる人材を獲得するのではなく、自社での育成期間を経て将来的に活躍できる人材を獲得することを目的としています。

そのため、採用目標を決める際も、短期視点ではなく長期視点で考えることが重要です。

中途採用の目的

中途採用の場合は、企業の即戦力となる人材を獲得することを1番の目的としています。

中途採用では、前職までの経験を参考に、自社で活かせる経験やノウハウがあるか、自社に適合したマインドを持っているかというポイントをもとに採用・不採用の判断を行っていきます。

企業が即戦力を欲しがる理由としては、欠員の補充、新規事業や事業拡大における増員によることがほとんどです。

育成に多くの時間を割くことが難しいため、入社後にできるだけ早く活躍できるであろう人材を獲得したいと考えます。

そのため、採用目標に落とし込む際も即効性が重要となるため、期限の設定を詰めていくことも重要です。

採用目標の決め方3ステップ

1. 現状課題を整理し、採用目標と紐づける

まず、採用目標を考える際、企業の現状課題を整理する必要があります。

採用活動を行うことで、どのような課題が解決できるか考えることが重要です。

現状課題を把握できていなければ、「いつまでに・どのような人材を・どの部署に・何人・どのくらいの採用コストで」採用するのかといった具体的な採用目標は見えてきません。

「新規事業を成功させるために、10人の新規事業を行う領域の経験者を獲得することが必要」というように、現状課題とそれを解決するための採用目標を紐づけて考えていきましょう。

今企業は何を課題としているのか、を改めて整理することで採用目標が見えてくるでしょう。

現状課題を把握するためには、各部署にヒアリングを行うことで、より具体的な課題が浮き彫りになります。

まず経営層や人事で大枠の課題を洗い出し、その後各部署にヒアリングを行い、具体的な課題を確認していくと良いでしょう。

2. 採用目標を「量」と「質」の2つの観点から考える

採用目標を考えるときは必ず「量」と「質」の両方の観点から考えていく必要があります。

量は、何人採用したいのかといった「人数」を指します。

質は、どのような人材を採用したいのかといった「人材の特徴」を指します。

自社が求める人材ではない方を多く採用したとしても、企業の目的を達成することはできません。

また、求める人材を採用できたとしても、目標人数に達しないのであれば、企業の苦しい状況は続きます。

そのため、現在の企業の状況を整理して、必要人員、必要要素を考えていくことが重要です。

自社の事業計画や売上計画など数値化されているものを参考にすると、必要人員の算出が具体的にわかりやすくなります。

その際は、退職者の人数を考慮することや、新卒採用と中途採用でそれぞれ何人必要かと分けて考えていくことも忘れないようにしましょう。

求める人材の特徴に関しては、企業活動の目的からブレイクダウンし、企業活動の目的を達成するためにはどのような人物が必要となるかを考えていきましょう。

その際、自社業務で活かせそうな資格や経験といった能力はもちろん、やり切る力、変化への対応力といった行動特性の観点も忘れずに考えていくようにしましょう。

能力だけ兼ね備えていても、行動特性が自社に合わない場合、自社で活躍するのは難しく早期に退職してしまう可能性が高いためです。

3. 過去のデータを参考に目標期間を設定する

採用目標では「いつまでに」という期限を決める必要があります。

この期限を決める際は、過去に採用を行ったデータを参考にするとよいでしょう。

書類選考期間、面接実施までの期間、内定を出してから内定受諾するまでの期間など、過去のデータで参考にできるものは多くあります。

理想だけで決めてしまっては、目標達成することは困難です。

過去の採用活動の振り返りを行うことで、現実的な設定期間が見えてきます。

採用目標を決める際は、過去の情報を整理し、期間設定を行うようにしましょう。

採用目標を決める際は、この3つの観点を忘れずに考えるようにしましょう。

H2:採用目標をKGI・KPIに落とし込む方法

採用目標を設定しただけでは、採用活動はうまく進みません。

重要なのは、採用目標を数値管理できるKGI・KPIへと落とし込み、日々の採用活動に反映させることです。

ここでは、採用目標からKGI・KPIを設計する具体的な考え方を解説します。

H3:採用目標をKGIに言い換える(例あり)

まず行うべきことは、採用目標を達成・未達が明確に判断できる数値に言い換えることです。この数値がKGIとなります。

例えば、以下のように考えます。

・採用目標:新規事業立ち上げのため、エンジニアを確保したい
→ KGI:〇年〇月までにエンジニアを3名採用する

採用目標:営業体制を強化し、売上拡大を図りたい
→ KGI:半年以内に営業職を5名採用する

このように、「いつまでに」「何名を」採用するのかを明確にすることで、採用活動のゴールが具体化されます。

KGIは採用活動全体の到達点となるため、現実的かつ事業計画と整合した数値を設定することが重要です。

H3:KGIからKPIを分解する考え方

次に、設定したKGIを達成するために、採用プロセスを細分化し、KPIへと分解していきます。

採用活動は、

「応募 → 書類選考 → 面接 → 内定 → 内定承諾」

といった複数のプロセスで構成されています。

KGIが「5名採用」だとした場合、各プロセスでどれくらいの人数が必要かを逆算します。例えば、内定承諾率が50%の場合、5名採用するためには10名の内定が必要です。

このように、最終ゴールから逆算して必要な数値を設定することで、KPIが明確になります。KPIを設定することで、どのプロセスに課題があるのかを把握しやすくなり、具体的な改善アクションにつなげることができます。

H3:採用フロー別にKPIを設定するポイント

KPIを設定する際は、採用フローごとに管理指標を設けることが重要です。

代表的な採用フロー別KPIは、以下のとおりです。

・応募段階:応募数、応募単価
・書類選考:書類通過率
・面接:一次面接通過率、最終面接通過率
・内定:内定率、内定承諾率

各フローのKPIを見ることで、課題の所在が明確になります。例えば、応募数が不足している場合は採用手法や訴求内容の見直しが必要です。一方で、応募数は十分でも通過率が低い場合は、求人要件や選考基準が適切でない可能性があります。

このように、KPIは単なる数値管理ではなく、採用活動を改善するための判断材料として活用することが重要です。採用目標からKGI・KPIへと正しく落とし込むことで、採用活動の精度は大きく高まります。

採用目標を決める際の5つの注意点

続いて、採用目標を決める際に注意すべきポイントについて解説します。

どのポイントも重要なことばかりですので、しっかりと理解していきましょう。

1. 企業活動の目的・事業計画を再確認する

前述したように、採用目標は現状の課題を解決するために設定するものです。

そのためには、現在どのような課題があるのかをしっかりと把握していく必要があります。

課題を確認するためには、企業理念や行動指針といった企業活動の目的を再確認し、その目的が達成へ向かっているかどうかという点を確認しましょう。

また、企業活動の目的からブレイクダウンされている事業計画も再確認する必要があります。

事業計画を再確認することで、数値化された情報から具体的な採用目標を考えることができます。

現状の課題が具体的になることで、「いつまでに・どのような人材を・どの部署に・何人・どのくらいの採用コストで」という採用目標へ落とし込むことができるようになります。

採用活動は、自社の企業活動の目的を達成するための活動です。

そのため、採用の背景となる自社の現状を把握することが大切です。

採用目標を決める際は、必ず、企業活動の目的・事業計画を再確認するようにしましょう。

2. 採用手法に幅広い選択肢を持つ

採用目標を決める際、採用目標の自由度を上げるためにも、採用手法に幅広い選択肢を持つことが重要です。

主流は求人媒体や人材紹介ではありますが、その他にも様々な採用手法があります。

自社社員からの紹介を募るリファラル採用、SNSを活用したSNS採用、オンライン環境でのWebセミナーなど採用手法は様々です。

採用手法は時代によって新しいものが出てきますので、新しい情報をキャッチし自社にあった採用手法を選択していくことが必要です。

採用手法を限定すると採用目標を達成することも難しくなります。

採用手法を広げることで、より大きな採用目標を作り達成することができるようになります。

3. 採用市場にも目を向ける

採用目標を決める際は、自社だけで完結させず採用市場にも目を向けることが必要です。

外部には目を向けず、自社だけで採用目標を決めてしまうと、いざ採用活動を行っても外部要因に影響され目標達成ができない可能性が高まります。

採用目標は、採用市場がどのような状況かによって難易度が変わります。

現在の採用市場は売り手市場なのか、買い手市場なのかといった視点や、獲得したい人材の市場価値はどのくらいであるかという分析が必要です。

このような分析結果から採用目標を決めることで、採用目標の実現可能性を高めることができます。

採用市場は常に動いています。

そのため、採用目標も採用市場にあわせてアップデートしていかなければなりません。

また、採用市場だけでなくビジネス市場の景気という広い視点にも目を向けていきましょう。

今後、どのようなビジネスが発展するのかという動向をキャッチアップすることで、獲得したい人材の要素も変わってきます。

自社のデータだけで採用目標を設定するのではなく、常に外部の情報もキャッチアップしながら採用目標を決めていきましょう。

4. 競合の動きを把握する

前述した、外部の情報を得るという観点に通ずるものですが、自社の競合となる企業にも目を向けるべきであることも理解しておきましょう。

給与や採用人数、必要資格など、競合他社がどのような条件で採用活動を行っているかを把握することも重要です。

自社よりも競合他社の方が、魅力的な内容で採用活動を行っている場合、自社の採用基準や募集条件などを見直す必要もでてきます。

自社の採用活動が上手くいっていない場合、獲得したい人材を競合にとられてしまっている場合もあります。

しっかりと競合の動きを把握しておかないと、自社から競合へと人材が流出していく可能性も考えられます。

競合がどのような打ち手を出しているかを分析したうえで、自社はどのように対抗していくべきかを考えていく必要があります。

競合が採用メッセージとして「何を」「誰に」「どのように」発信しているかをチェックし、自社の魅力を競合より魅力的に伝えるためには、自社では「何を」「誰に」「どのように」伝えていけばよいかを考えていきましょう。

5. 現場の声を取り入れる

採用目標は、経営層や人事が中心となって決定することが多いようですが、現場の声を取り入れることも忘れてはいけません。

現場の声が取り入れられていない採用目標は、現実的ではなく、実現性の低いものになる可能性が高いでしょう。

現場の細かい状況を知らない経営層や人事だけで採用目標を設定すると、現場とマッチしない人材を採用する可能性が高くなります。

そのため、入社後に活躍できない人材や、現場スタッフと馴染めない人材を生むこととなり、早期離職にも繋がります。

採用目標は経営視点、現場視点の両方がなければ、実現可能性の低い絵空事になってしまいます。

採用目標の草案ができた時点で、各部署の現場責任者とすり合わせを行い、現場の感覚とズレがないかを確認するようにしましょう。

まとめ

以上、今回は採用目標について解説いたしました。

何事も目標設定がなければ、目的をクリアすることはできません。

目的を達成するための目標設定、目標設定をクリアするための採用計画というように、本質部分から具体化を図っていくことで、取るべきアクションも見えてきます。

採用目標がブレていると、その先の採用計画やKPI設定もブレてしまいます。

今一度、あらためて採用目標を見直し、軸のある効果的な採用活動を行っていきましょう。

◆採用目標とは採用活動のゴール設定のこと
◆新卒採用と中途採用で採用目標は異なる
新卒採用の目的は”会社の将来”
中途採用の目的は”即戦力”
◆採用目標の決め方3ステップ
1. 現状課題を整理し、採用目標と紐づける
2. 採用目標を「量」と「質」の2つの観点から考える
3. 過去のデータを参考に目標期間を設定する
◆採用目標を決める際の5つの注意点
1. 企業活動の目的・事業計画を再確認する
2. 採用手法に幅広い選択肢を持つ
3. 採用市場にも目を向ける
4. 競合の動きを把握する
5. 現場の声を取り入れる
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この記事の監修者:長井 亮

1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。