中途採用計画の立て方とは|全5ステップと7つの注意点
中途採用を行う際に必要となるのが「採用計画」。
採用計画を立てずに採用活動を行っては、本来の目的を達成することはできません。
「どのような人材を・いつまでに・どの部署に・何人・どのくらいの採用コストで」という採用目標をクリアするためには、綿密なアクションプランに落とし込んだ採用計画を立てる必要があります。
採用計画を立てる際には、押さえておくべきポイントがあります。
今回は、採用計画を立てる際に必要な要素や注意点などについて解説していきます。
これから採用計画を立てる企業はもちろんのこと、すでに採用活動をしている企業にも読んでいただきたい内容となっております。
採用計画を立てる際の知識を深め、今一度、採用計画自体に抜け漏れがないか振り返る機会にしていただければと思います。
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Contents
採用計画とは
まず「採用計画」という定義について解説いたします。
採用活動を行う際は、本質的な概念から具体的な行動へブレイクダウン(=細分化)して考えていく必要があります。
採用活動を組み立てる際の大枠は、下記の3段階の順番で考えていきます。
1. 採用目的を整理する
↓
2. 採用目標を設定する
↓
3. 採用計画を立てる
順番に言葉の定義を説明します。
まず、採用活動を行う目的となるのが「採用目的」です。
その採用目的を達成するための指標(ゴール地点)となるのが「採用目標」です。
そして、採用目標を達成するために、より具体化して行動レベルに落とし込んだものが「採用計画」です。
混同されがちな言葉ですが、それぞれ違う意味を持ち、各フェーズで考えるべき内容は異なります。
上流工程の内容に不足があると、下流工程にも影響を及ぼします。
各工程の意味をしっかりと理解し、明確に定義していく必要があります。
採用計画では、採用目標を達成するための指標としてKPI(Key Performance Indicator)を設定し、各目標を細分化してアクションプランに落とし込んでいきます。
選考基準や採用手法にまで、より具体的に落とし込んでいき、採用関係者が採用計画を見てアクションを起こせるレベルにしていく必要があります。
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なぜ採用計画が必要か
採用計画が必要な理由は、前述したように採用目標を達成するためです。
昨今、企業より求職者が優位の売り手市場が続いているため、優秀な人材を獲得したい企業側としては厳しい状況です。
新型コロナウイルスによって一時的に有効求人倍率が低下したものの、その状況でも有効求人倍率は1倍を超えていました。
新型コロナウイルスが落ち着くにつれ、更に売り手市場へと加速していくことが予想されます。
また、少子高齢化も売り手市場に拍車をかける大きな要因となるでしょう。
このような状況下で、場当たり的に採用活動を進めていては、採用目標を達成することはできません。
人材の”量”の観点に加え、”質”を考えていく上でも採用計画は必要です。
採用計画無く、その場の印象の良し悪しだけで、採用判断を進めていては自社が求める人物を集めることはできません。
まず、求める人物像を定義し、求める人物像の獲得のためには、どのような採用手法で、どのような選考プロセスを設けるかなどを明確化する必要があります。
継続的に優秀な人材を獲得するためには、綿密な採用計画が必要となってきます。
採用計画を立てる際に必要な5つの要素
会社の規模や企業活動の目的によって、採用計画は異なります。
採用計画を立てる際の基本の考え方を頭に入れ、自社にあった採用計画を立てていきましょう。
採用計画を策定する際には、前述したように採用目的、採用目標が明確になっていることが必須です。
採用目的を明確化する
↓
採用目標を設定する
「なぜ採用活動を行うのか」という採用目的を明確にし、「どのような状態をゴールとするのか」という指標を採用目標として事前に設定しましょう。
採用計画を策定する際は、下記の内容を決定していく必要があります。
1. 採用する人員数の決定
2. 求める人物像の定義化
3. 採用予算の決定
4. 採用手法の決定
5. 採用スケジュールの設定
それでは順番に解説していきます。
1. 採用する人員数の決定
採用計画を立てる際は、まず、何人の人員を獲得する必要があるのか整理しましょう。
何人の人員を獲得するかによって、採用スケジュールや採用手法の選択肢は変わってきます。
基本的に、採用する人員数は以下の式で算出します。
必要要員数-既存在籍社員数=必要採用人数
「必要要員数」は、企業の目的を達成するために必要な人員の総数です。
採用人数を算出する上では、まず「必要要員数」を明確にする必要があります。
事業計画を成し遂げるためには、何人の人員がいれば可能なのかを考えていきます。
次に、考えるのは「既存在籍社員数」です。
現在、自社に何人の社員が在籍しているかを確認していきましょう。
その際、注意すべき点としては、退職予定の社員を減算することです。
退職予定の社員の減算を忘れてしまうと、社員の退職後に採用計画の修正が生じてしまいます。
あらかじめ、退職が決まっている社員数は減算しておきましょう。
上記の必要要員数から既存在籍社員数を減算した数が、「必要採用人数」の基本的な考え方です。
必要要員数を詰めて考える際は、目標利益に対して必要人員数を算出したり、業務量から必要人員数を算出するのが良いでしょう。
必要要員数の算出は、肌感や理想ではなく、企業の指標をもとに、論理的な具体値を導きだすようにしましょう。
2. 求める人物像の定義化
採用計画を立てる際は、どのような人物を採用するかも明確にしておく必要があります。
求める人物像が曖昧のままだと、いざ採用活動をスタートした際にブレが生じます。
必要人員を採用できたのは良いものの、入社後、自社の風土と合わない人材だった、求めるパフォーマンスができない人材だった、ということが無いように求める人物像を明確に定義しておく必要があります。
求める人物像を定義する際は、以下のような要素を明確にしましょう。
・スキル
・業務経験
・行動特性(自社ビジョンとのマッチング、価値観、性格など)
3. 採用手法の決定
採用計画を立てるにあたり、採用目標を達成するための適切な採用手法を選択します。
昨今、採用手法には多くの選択肢がありますが、それぞれにメリット・デメリットがあることを理解しておきましょう。
求める人物像へアプローチするためにはどの手法が適切か、必要人員数を確保するためにはどの手法が適切か、ということを考えていきましょう。
採用手法としては、以下のような選択肢があります。
・求人媒体
・人材紹介
・自社サイト
・リファラル採用
・SNS採用
・Webセミナー
・ダイレクトリクルーティング
・採用説明会
・メディア広告
例えば、多くの人員数を採用したい場合は、多くの求職者にアプローチができる求人媒体、Webセミナー、採用説明会などが有効です。
逆に、質を重視する場合は、リファラル採用、SNS採用、ダイレクトリクルーティングなど、個人にアプローチする方法が適切です。
このように、各採用手法の特徴を理解し、自社の採用目標を達成するための最適な手法を選択していきましょう。
4. 採用予算を決める
採用計画を立てる際は、あらかじめ採用予算を決めておくことも必要です。
採用する職種やレイヤーによっても、1人当たりの採用コストは変わってきます。
また、採用する際の契約形態によっても採用コストは大きく変化します。
各募集枠にどれくらいの採用コストをかけるのか、決めておく必要があります。
加えて、どの採用手法を選択するかによっても、採用コストに大幅な差が出ます。
例えば、採用説明会では会場代や人件費などの開催コストが膨らむ傾向があり、人材紹介では紹介料としての採用コストが膨らみやすい傾向があります。
逆に、リファラル採用やSNS採用では、低コストで人材の獲得ができるメリットがあります。
前述したように、それぞれの採用手法でメリット・デメリットがありますので、自社に適した方法かつ採用予算に見合った採用手法を選択していきましょう。
5. 採用スケジュールを決める
採用計画で必要な要素の大半が決まったら、あとはスケジュールに落としこんでいきましょう。
採用活動は、「いつまでに、何人を採用する」という明確なスケジュールに沿って動いていくことが重要です。
スケジュール感なく採用活動をした場合、事業計画に連動して人員を獲得することはできません。
いつまでに、何人が入社する必要があるのかということを、事業計画と連動して考えていく必要があります。
また、スケジュールを考える際は、研修期間も考慮し、実際に戦力となるタイミングまで想定しながら検討するようにしましょう。
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採用計画を立てる際に注意すべき7つのポイント
最後に採用計画を立てる際に注意すべきポイントについて解説していきます。
1. 企業活動の目的・事業戦略を理解する
採用活動は、企業活動の目的・事業戦略を達成するための手段です。
本質的な目的を見失っては、採用活動自体の意味を成さなくなってしまいます。
採用活動を始める際は、上流工程である採用目的や採用目標を決定する段階で、企業活動の目的・事業戦略を理解する必要があります。
採用計画の作成が完了した段階でも、本来の企業の目的に沿ったものであるか必ず確認を行いましょう。
2. 現場の課題やニーズをヒアリングする
採用計画を立てる際、現場の意見を取り入れることも重要です。
一般的に採用計画の策定は、人事や経営層を中心とすることが多いですが、現場の意見を取り入れなければ、実際に起こっている課題を解決することはできません。
現場が抱えている課題、現場のニーズをヒアリングし、実務を行う現場のパフォーマンスを高められるようにすることも必要です。
採用計画を立てる際は、現場の考えと乖離していないか確認をするようにしましょう。
3. 現在の採用市場を知る
採用計画を策定する際は、現在の採用市場も理解する必要があります。
採用市場を知らないまま採用計画を策定しても、実現可能性の低いものになります。
採用市場がどのような状況であるかで、採用計画は大幅に変わってきます。
現在の採用市場は売り手市場なのか、買い手市場なのかといった視点や、獲得したい人材の市場価値はどのくらいであるかといった分析が必要です。
採用市場は常に動いているため、採用計画を策定する際も、採用計画を実行に移す際も、常に採用市場をウォッチするようにしましょう。
4. 競合の採用活動を知る
採用市場と一緒に、競合の採用活動についても理解をしておくようにしましょう。
給与や採用人数、必要資格など、競合他社がどのような条件で採用活動を行っているかを把握しておきましょう。
自社よりも競合他社の方が魅力的な内容で採用活動を行っている場合、自社の採用基準や募集条件などを見直す必要もでてきます。
しっかりと競合の動きを把握しておかないと、欲しい人材を競合に取られてしまい、自社で思うような採用活動ができなくなるということも考えられます。
競合がどのような打ち手を出しているか分析したうえで、自社はどのように対抗していくかを考える必要があります。
競合が採用メッセージとして「何を」「誰に」「どのように」発信しているかをチェックし、自社の魅力を競合より魅力的に伝えるためには、自社では「何を」「誰に」「どのように」伝えていけばよいか考えていきましょう。
5. 客観的な自社の採用力を知る
市場と競合を理解することに加え、自社自体の採用力についても理解しておく必要があります。
客観的に見た自社の採用の強み・弱みや過去の採用実績を知り、自社が持つ採用力を理解しましょう。
自社の採用力を知ることで、採用計画の実現可能性も高まります。
前述した採用市場や競合と合わせて、自社自体も理解し「3C分析」の観点で採用計画を見ていくようにしましょう。
6. 採用スケジュールに無理がないか確認する
採用スケジュールを策定した後は、計画に無理がないか確認しましょう。
採用計画を立てる際は、現実性より理想を重視してしまいがちです。
また、不確定要素に委ねた詰めの甘い部分が発見されることもあります。
スケジュール感に問題はないか、計画を遂行する際の手段は適しているかといった、実現可能性の観点で採用計画を見直すようにしましょう。
7. ツールを使って採用スケジュールを管理する
採用計画の策定が完了したら、採用計画を可視化できるようツールを使って管理していきましょう。
Excelやスプレッドシートで、ガントチャートを作成し管理することも可能です。
また管理ツールを提供している人事系のサービスもあるので、リサーチして使ってみるのも良いでしょう。
進捗確認がしやすく、関係者全員が共通認識を持てるようなツールを選んでいきましょう。
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まとめ
今回は、採用計画を立てる際に必要な要素や注意点などについて解説いたしました。
採用活動で確実な結果を出すためには、綿密な採用計画が必要です。
採用目標を達成するためには、必要要素を網羅した採用計画を策定することが重要になります。
今一度、採用計画を見直し、効果的な採用活動を行っていきましょう。
◆採用市場が厳しい中でも優秀な人材を獲得するためには、綿密な採用計画が必要
◆採用計画を立てる際に必要な5つの要素
1. 採用する人員数の決定
2. 求める人物像の定義化
3. 採用予算の決定
4. 採用手法の決定
5. 採用スケジュールの設定
◆採用計画を立てる際に注意すべき7つのポイント
1. 企業活動の目的・事業戦略を理解する
2. 現場の課題やニーズをヒアリングする
3. 現在の採用市場を知る
4. 競合の採用活動を知る
5. 客観的な自社の採用力を知る
6. 採用スケジュールに無理がないか確認する
7. ツールを使って採用スケジュールを管理する