Z世代はやる気がない?受け身なZ世代のやる気を引き出す7つの方法
Z世代とは主に1990年代後半から2000年代生まれの人たちのことを指し、インターネットでの情報収集やSNSでのコミュニケーションが活発とされます。
自身とは全く異なる価値観を持つZ世代の入社に伴い、教育に頭を悩ませる管理職・人事担当者の方もいるのではないでしょうか
本記事では教育担当者から見て「やる気がない」「仕事ができない」と感じるZ世代社員のやる気を引き出し、円滑な人間関係を築くためのポイントをご紹介します。
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Contents
Z世代の働き方が「受け身」になる理由
「Z世代社員のやる気がない」「仕事ができない」
この悩みを解決するためには、Z世代の仕事に対する考え方や価値観を知り、受け身となる行動へ繋がる要因は何かを理解する必要があります。
2023年3~4月に株式会社リクルートマネジメントソリューションズが行った「新入社員意識調査」から、Z世代の特徴を紐解いていくことができます。
受け身の姿勢に繋がる、Z世代の仕事の価値観について順番に解説していきます。
参照元:リクルートマネジメントソリューションズ【調査発表】2023年新入社員意識調査
Z世代の仕事に関する価値観
協働が得意で試行が苦手
リクルートマネジメントソリューションズの新入社員意識調査の結果によると、仕事で得意とするスタンスの1位は「協働」で25.9%%、2位は「相手基準」で24.9%という結果が出ています。
逆に、苦手意識があるスタンスとしては、1位の「試行」が28.0%と多く、2位は「自発」で26.6%という結果でした。
指導・育成する側がZ世代社員の受け身の姿勢を課題としているのと同時に、Z世代社員本人も自発的に行動することや失敗を恐れずに試してみようとすることに、課題意識を持っていることがわかります。
一方で、得意とするスタンスに「協働」「相手基準」が挙げられていることから、Z世代は同期と争ったりせず、連帯感を持った働き方を好むことがわかります。
個人を大切にし、個性を尊重してほしい
Z世代が上司に期待することの1位は「相手の意見や考えに耳を傾けること」で49.5%、2位が「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」で49.1%という結果でした。
このことから、Z世代は集団での指導より、個別での丁寧な指導や、個性を尊重するコミュニケーションを重要視していることがわかります。
また、4位に「よいこと・よい仕事をほめること」が挙げられていることから、叱責や厳しいことを言われることへの苦手意識を持っていることも推測されます。
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仕事に直接活かせることを身につけたい
Z世代が働くうえで大切にしたいことというアンケートでは「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が48.5%で1位、「任された仕事を確実に進めること」が38.9%で過去最高の結果でした。
このことから、仕事に直接活かせるスキルや知識の習得することで、仕事における効率性を重視していることがわかります。
また、「任された仕事を確実に進めること」が過去最高になっていることから、叱責や失敗に対する苦手意識から自発的に仕事をするよりも、任された仕事を完ぺきにこなす方がZ世代にとっては大切といえます。
自己成長と貢献ができる職場で働きたい
働きたい職場の特徴に関する質問では、「お互いに助け合う」が1位で66.4%の人が回答しており、「お互いに個性をを尊重する」が2位で50.7%の人が回答しています。
ここでも、周囲への協力意識が強いことがわかります。
また、Z世代が仕事をするうえで重視したいことという質問の回答では、1位が「成長」で28.8%、2位が「貢献」で26.7%という結果でした。
Z世代の受け身の姿勢から「やる気がない」と見られてしまうことも多いようですが、このアンケート結果からは、Z世代の仕事への意欲は高いということがわかります。
しかし、最下位が「競争」という結果からもわかるように、Z世代は自己成長や会社への貢献などには高い関心がありますが、他者と競い合うことで自分の会社での立ち位置を確立していくことにはあまり関心がないようです。その姿勢が「やる気がない」ように見られる要因かもしれません。
協働意識の強さが、やる気がないと思われてしまう要因!?
今回のアンケート結果から、Z世代が「協働」することに強い価値観を持っていることがわかります。
協働できる力は、本来強みとなる要素です。
その反面、相手を尊重しすぎてしまうことが、自分の意見を発することや、能動的に行動することへの妨げになることも考えられます。
Z世代社員に教育する際はZ世代社員の強みを伸ばし、主体性の妨げになるマインドを変える指導が必要です。
Z世代社員が受け身の姿勢なのは上司のマネジメントのせい?
Z世代社員の受け身な姿勢になる理由はZ世代社員だけに原因がある訳ではなく、上司のマネジメントに問題があるケースも多いようです。
上司がZ社員のやる気を奪ってしまうケースについて、順番に解説していきます。
圧力をかけて命令や指示をする
Z世代社員が受け身になってしまうケースの1つは、圧力をかけて命令や指示をすることです。
一方的に物事を伝えたり、威圧的な態度で部下とコミュニケーションをとったりすると、部下は意見や提案をしづらくなります。
その結果、「とにかく上司の言うことを聞いておけば良い」という思考停止の状態を作ってしまいます。Z世代の部下とコミュニケーションをとる際は、相手の意見を聞くことや意見を言いやすい環境作りをすることが大切です。
業務の固定化
業務の固定化も、Z世代の主体性を奪う1つの原因となります。
業務が固定化されれば、仕事がルーティン化され考える機会も減っていきます。
その結果、流れ作業としての仕事が身についてしまいます。そうならないためにも、部下の成長を見て新たな業務を任せたり、既存の仕事を改善する意識を指導していく必要があります。
業務権限や裁量権を与えない
業務権限や裁量権の有無も、Z世代社員のやる気に大きく関わる要素です。
能力が身についたのに業務権限や裁量権が与えられない場合、本来の能力値よりも低い業務をやることになり、やる気がどんどん減少してしまう可能性があります。
自分の業務範囲を権限内に制限してしまうため、もう一段高い視座から考える機会もなくなります。部下の成長に伴って、適切な業務権限や裁量権を与えていくことが重要です。
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Z世代社員に求める主体性とは
Z世代社員に求める主体性とは、どのようなものなのでしょうか。
「主体的に動け」と部下へ伝えても、指導する側が「主体的に動く」というイメージを具体的に描けていなければ、具体性のない指導となってしまいます。
Z世代社員に、具体的にどのような状態となって欲しいかを整理していきましょう。
Z世代社員が主体性を持つためのゴールとして、下記のような状態を目指しましょう。
・細かい指示がなくても動ける状態
・「質問する」だけから、「自分で考え提案できる」状態
・1つの作業ではなく、自分の役割を認識できている状態
順番に解説していきます。
細かい指示がなくても動ける状態
入社当初は業務について細かく教える必要がありますが、研修期間を終えても独り立ちできない状態では、組織の一員として十分な機能を果たしているとは言えません。
上司が指示したことは完ぺきにこなそうとするが、指示がなければ自分の考えをもとに行動することのできない、いわゆる「指示待ち人間」です。
段階的に指導内容を抽象化していくことで、仕事内容ではなく、業務の意味・目的を重視し、そのためにどのような行動をすべきか自身で考えさせられるようになります。
業務の意味・目的を理解し主体的に行動できる状態になってもらうことが大切です。
質問するだけから、自分で考え提案・確認できる状態
業務で問題が発生した際、上司に報告して今後の対応について質問をすることは大切です。
しかし、いつまでも上司の指示を待っているだけでは、自分で最善の対応を考え、主体的に行動できる人材に成長できません。
もちろん、組織である以上、裁量外のことは上司へ報告相談する必要がありますが、質問ではなく提案・確認ができる状態を目指しましょう。
例えば「納期はいつですか?」ではなく、「この業務量であれば〇日までに納品できると思いますが、よろしいですか?」というように、すべて上司任せではなく自分から提案できる状態になれるといいでしょう。
自分の役割を認識できている状態
自分の業務を単純な作業として捉えていては、思考停止になり業務をより良いものにしていくことはできません。例えば、自分の役割は「プレゼン資料を作ること」ではなく「先方企業の心を掴むこと」というように視座が変われば、仕事の質は大きく変わります。
このように自分の役割の重要性をしっかりと認識してもらうことが大切です。
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受け身なZ世代社員のやる気を引き出す7つのコツ
続いて、Z世代社員のやる気を引き出す育成のポイントについて解説していきます。
Z世代社員も、会社に貢献したいという価値観を強く持っているため、正しくサポートすることによってやる気を引き出すことができます。
主体性を引き出すための育成ポイントについて順番に解説していきます。
1. まずはZ世代の特徴をよく理解する
Z世代社員を育成するためには、まずZ世代の特徴をよく理解する必要があります。
Z世代社員をマネジメントする方の多くは、Z世代以前の世代の方が多いでしょう。
そのため、世代間によって働き方、人生観など価値観に違いがあることを知る必要があります。
Z世代がどのような価値観を持ち、どのような行動特性をとるのかを理解しましょう。
その際、注意すべき点は、統計的情報と個人の特性を一緒くたにしないことです。
統計的情報を知識として押さえる必要はありますが、育成する社員には当てはめず個人1人1人を見て特徴を捉えていくようにしましょう。
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Z世代と特徴とコミュニケーションを取る9つのコツ
2. 対話の機会を多く作り、しっかりと相手の話を聴く
Z世代の育成のキーとなるのが、コミュニケーションです。
Z世代は協働することの価値観を高く持っているため、周囲とのコミュニケーションをとりながら仕事を進めていきたいという意欲が強いです。
そのため、育成者は一方的な指示をするのではなく、Z世代社員の声をしっかりと聴く姿勢が必要です。
対話の中から、Z世代社員の主体性を引き出す機会が生まれます。
ここで注意すべき点は、フラットな関係性を作るということです。Z世代は協調性を大切にする一方で、人間関係で深い関わりをあまり求めない傾向にあります。
1on1ミーティングなどを行う場合は、業務に関する内容だけでなく雑談を交えながらフラットで話しやすい空気感を作るといいでしょう。
3. Z世代社員の発言を促す質問をする
Z世代社員とコミュニケーションを取る場合、育成者の効果的な質問によって、Z世代社員が発言できる状況を作ることも大切です。
「現状で改善要素がある部分はどこだと思うか」
「今以上の結果を出すためにはどのようなアイデアがあるか」
など、Z世代社員が自分で考え発言する機会となる質問をしていきましょう。
質問をする際の注意点としては、「ポジティブな質問をする」ことと「オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの使い分けをする」ことです。
「なぜ今結果が出ていないのか」などネガティブな質問ばかりでは、考えることを放棄したくなってしまいます。また、漠然としたオープンクエスチョンばかりでは回答が難しくなるため、質問をするZ世代社員のレベルによってオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンをうまく使い分けていきましょう。
4. 成功体験で自信をつけさせる
Z世代社員が受け身な姿勢になる理由の1つとして、「自信がない」ことも考えられます。
自信がないと「自分が提案しても邪魔になってしまう」「余計なことはしない方が良い」という考えに繋がります。そのため、まずはZ世代社員が結果を出せそうな仕事を任せて、成功体験により自信をつけさせることが大切です。
5. 自分の役割を自覚させる
Z世代社員に主体性を持ってもらうためには、自分の役割を自覚させることが大切です。
自分は「作業要員としての1人」と思っている状態では、指示を待つだけで主体的に動くことはありません。
Z世代社員の視座を高めるためにも、自分が会社にどのような期待をされており、どのような役割が求められているかを伝えていく必要があります。
自分の役割を自覚することが、主体的な行動へと繋がります。
6. 業務権限や裁量を与え、仕事を任せる
主体性を引き出すためには、業務権限や裁量を与え、仕事を任せることが大切です。
能力にあった業務権限や裁量を与えることは、人材を成長させます。
自分が仕事を任されたという意識を持つことで、自分で考え責任を持ち、主体的に動いていくことに繋がります。
成長にあわせて、適切な業務権限や裁量を与えていくようにしましょう。
7. 投げっぱなしにせず、しっかりサポートする
育成の失敗例として多いのが、見守ることと放任を混同してしまうことです。放任して何も指導することがなければ、部下は成長しません。
部下に仕事を任せて責任感を芽生えさせる必要はありますが、上司はその結果に対して更に大きな責任を持ってマネジメントしていかなければなりません。
任せっぱなしで放っておくのではなく、しっかりと進捗を観察して適切なタイミングで指導していくことが必要です。
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まとめ
今回は、Z世代社員の働き方が受け身になる理由や、Z世代社員のやる気を引き出す育成のポイントについて解説しました。
「Z世代社員にはやる気がない」と嘆く管理職の方もいますが、やる気がないわけではなく、Z世代なりの価値観の基で仕事をしている場合や、やる気を管理職の方が奪ってしまっている可能性も十分に考えられます。
まずは、Z世代が大切にしている価値観や考え方、Z世代の特徴をよく理解して、接するようにしましょう。しかし、教育する際はZ世代の特徴を学んだからといって、その特徴を当てはめすぎず、あくまで1人の人間として個人を尊重した接し方をすることが何よりも大切です。
【関連記事:Z世代とコミュニケーションをとるなら1on1面談が欠かせない!】
【シート付】1on1ミーティングで使える50のテーマ例を使ってネタ切れ解消!
・協働意識の強さが、反面、個人の主体性を隠してしまうことも考えられる
◆上司のマネジメントがZ世代社員の受け身の姿勢を作っている可能性も高い
・圧力をかけて命令や指示をする
・業務の固定化
・業務権限や裁量権を与えない
◆Z世代社員に求める主体性とは
・細かい指示がなくても動ける状態
・質問するだけから、自分で考え提案できる状態
・一つの作業ではなく、自分の役割を認識できている状態
◆受け身なZ世代社員の主体性を引き出す7つのコツ
1. まずはZ世代の特徴をよく理解する
2. 対話の機会を多く作り、しっかりと相手の話を聴く
3. Z世代社員の発言を促す質問をする
4. 成功体験で自信をつけさせる
5. 自分の役割を自覚させる
6. 業務権限や裁量を与え、仕事を任せる
7. 投げっぱなしにせず、しっかりサポートする