【良い人材が紹介されない】人材紹介会社からの紹介の質を向上させる方法
中途採用担当者が直面する課題として、「人材紹介会社から紹介は来るものの、自社の欲しい人材ではない」「書類選考や一次面接など、序盤でお見送りの候補者ばかり」「対応する工数ばかりかさんでしまう」などが挙げられます。
その結果、多くの工数を費やしても適切な人材を見つけることができず、採用活動が非効率になりがちです。
本記事では、この問題を解決するための具体的な方法を紹介します。
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人材紹介の「量」と「質」
人材紹介の「量」と「質」は、どちらも採用成功に欠かせません。紹介の量を確保することは重要ですが、質を犠牲にしてしまうと、本来求めているスキルや経験を持つ候補者に出会えず、内定まで至らないまま工数ばかり増えてしまうケースも多いです。逆に、紹介の質が高くても、量が十分でなければ採用目標人数に到達できません。
人材紹介の「質」とは、多岐にわたる要素から成り立っています。
・求める人材像にマッチしたスキルや経験を持っているか
・高いパフォーマンスを発揮できる行動特性(コンピテンシー)を持っているか
・企業文化にフィットするか
・定着面で懸念がないか
候補者の全体像を理解するために、候補者の選定プロセスを見直し、質の高い候補者を見極めるための基準を設定することが求められます。
人材紹介の質を高めるポイント
人材紹介の質を高めるための具体的なポイントを紹介します。
- 人材業界会社の構造を理解
- 採用要件の明確化と共有
- コミュニケーションが取りやすい関係性の構築
1. 人材紹介会社の構造を理解
人材紹介会社は大きく「分業型」と「両面型」に分けられます。
分業型とは、企業(クライアント)を担当するコンサルタント(RAと呼ばれることもあります)と求職者(人材)を担当するキャリアアドバイザー(CAと呼ばれることもあります)をそれぞれ別の人が担当する形態です。担当が分かれている中で情報共有を徹底していくこと、また社内のマッチングシステムが優れている等の特徴があります。
一方で両面型は、企業側と求職者側の支援・サポートを一人のコンサルタントが一気通貫で担当します。
それぞれの型ごとに、紹介の質を高めるためのアプローチが異なります。
分業型モデル:AIマッチングの普及により、通過率向上による上位表示を狙う
現在、多くの分業型人材紹介会社で利用されているAI求人マッチングシステム。
書類選考通過率・一次面接通過率などを指標に、通過しすいと判断された求人票が優先的に候補者に推薦される、というものです。反対に、求人が公開されてから時間が経ったり、書類や一次面接通過率が低いと「この企業は採用意欲が低い」とみなされ、候補者とマッチングしなくなってしまいます。
この場合、いかに通過率を向上させるか、そのために人材紹介会社の担当者と要件をすり合わせる必要があります。
このあと解説する「採用要件の明確化と共有」「選考結果のフィードバック」を丁寧に行い、通過する候補者を推薦してもらえる状況を早急に作りましょう。
注力したい人材紹介会社の場合は、多少選考の評価を甘めにするという手段もあります。
両面型モデル:求職者側・企業側のサポートを一気通貫で行うため、細かいアナログ的な情報をダイレクトで伝達してもらう
両面型モデルの場合は、一人のコンサルタントが企業側も求職者側も担当します。そのため情報のタイムラグや連携による伝達ミスなどは基本的に発生しません。
担当者が求職者と直接繋がっているからこそ、求人票に載せていないような細かなアナログ情報(どんな性格やバックボーンの社員が多いのか、社員の働き方の具体例、面接官や面接の特徴など)を求職者に伝えてもらうことが出来ます。
候補者の志向性に合わせて、「この部分の訴求を行うと志望度が上がるのではないか」などのやり取りを密に行いましょう。
また同時に、自社に合う人材の解像度を担当者に高めてもらうことも重要です。
個別に行うのであれば、打ち合わせの中でマスクレジュメ(求職者の個人情報を伏せた履歴書や職務経歴書)を共有し、候補者の解像度を高めてもらう。
大勢に行うのであれば、紹介会社へ説明会を実施し、組織体制・メンバーの年齢構成・前職など、候補者のイメージが湧く情報を一斉に伝えるのも有効でしょう。
2. 採用要件の明確化と共有
コアターゲットとなる人材の具体的な所属企業や職務経歴を伝えることもエージェントが紹介しやすくなるポイントの一つです。採用要件が高かったり、ターゲットの解像度が低いと、エージェント担当者はどのような人材を紹介すればよいか検討に時間がかかってしまったり判断に迷うことも多くなるでしょう。結果的に積極的に「紹介したい」と思える企業ではなくなってしまいます。
〇〇のスキルがある、〇〇企業に所属している=あの企業に紹介しよう
という方程式がエージェント担当者の中で即座に連想できるようにしておくと紹介したくなる会社としての認識が強くなります。
下記で具体的な採用要件明確化の例を紹介します。
必須スキルと歓迎スキルの明確化
求めるスキルを具体的にリストアップし、優先順位を明確にしましょう。例えば、「プロジェクトマネジメント経験5年以上」「Javaでの開発経験」など、具体的な要件を明示します。
欲張りすぎてあれもおれもと必須スキルと設定してしまうと、「そんなハイレベルな人紹介できない…」と人材紹介会社のモチベーションを下げてしまうことになります。本当に必須なスキルとそうでないスキルを社内で明確にしてから、担当者に伝えましょう。
職務経験の詳細
必要な経験年数や具体的な業務内容を明示しましょう。例えば、「B2Bの無形商材を営業した経験」「リスティング広告運用歴3年以上」など、具体的な職務内容を明示することで、要件に合致する候補者の紹介が期待できます。
人物像とカルチャーフィット
会社のカルチャーや求める人物像を具体的に伝えましょう。例えば、「チームワークを重視する姿勢」「柔軟な思考ができる方」など、具体的な人物像を明示しましょう。そうすることで、経験は能力は良いがカルチャーに合わないという候補者の紹介を減らすことが狙えます。
また、意外に盲点となるのが「職種コード」です。特殊なポジションを募集する場合、ここの割り振りがミスマッチなパターンもあります。
例えば弊社のような「採用代行企業のカスタマーサクセス」を募集したい場合、一般的なSaaSのカスタマーサクセスで募集をかけると、要件とはズレた経験の方が来てしまいます。
このあたりは人材紹介会社の担当者と細かく話合い、すり合わせる必要があります。
3. コミュニケーションが取りやすい関係性の構築
人材紹介会社は単なる受発注の関係ではなく、「同じ採用チームの一員である」というスタンスでコミュニケーションすることが非常に重要です。
また大手を中心としたエージェントは片面型(エージェント内で企業担当と求職者担当者が分かれている体制)で、1人のエージェントが数十社担当するケースが多く、非常に忙しいです。
全ての企業にコミットができれば理想ですが、上記の背景からエージェントの中でも担当企業に優先順位がどうしてもついてしまいます。すなわち、ここで優先順位の高い「注力企業」に入ることが非常に重要なのです。
ここからは、注力企業になり質の高い人材を紹介してもらうための、具体的なコミュニケーションの取り方について説明していきます。
採用担当者側から前のめりにコミュニケーションを取る
エージェントに優先順位を上げてコミットしてもらうためには、採用担当者側から積極的なアクションが必要です。「自社の採用に注力することの旨み」を効果的に、そして継続的に伝えることが大切です。
他の人材紹介会社から紹介された候補者の通過事例や、選考におけるここだけの情報などを積極的に展開することで、「採用成功のイメージ」をお伝えして、採用担当者から巻き込んでいきましょう。
直近の採用状況(各ポジションの採用進捗、通過不通過事例、採用要件の変更点など)も一緒に共有できるとなお良いです。
定期的にフィードバックを行う
紹介された候補者に対するフィードバックを迅速かつ具体的に提供することで、人材紹介会社はより適切な候補者を紹介できるようになります。
フィードバックの提供とは具体的に言うと「具体的な合格・お見送りの理由を伝える」ことです。
・候補者がマッチしていた点
・候補者がマッチしなかった点
・どういう点が改善されていれば通過できたか
これらを出来る限り分かりやすく明確に伝えましょう。
例えば、「技術的には優れているが、チームリーダーとしての経験が不足している」「前職の経験内容は非常に良かったが、業務の詳細を聞くと主体性が欠けていた」、反対に「経験は不足していたが、過去の○○の経験から非常にコンピテンシーを感じた」など。
具体的な理由を挙げることで、人材紹介会社は企業の採用や要件についてどんどん解像度が高まります。「この候補者ならこの企業では通過しそう」「この前に〇〇という理由で見送られた候補者がいたから、厳しいだろうな」というように、選考の通過・お見送りのラインがイメージしやすくなります。紹介すればするほど精度が高まる環境を作り出すことが重要です。
こうしてフィードバックを重ねることで、より選考に通過しやすい候補者を紹介してもらいやすくなるのです。
まとめ
人材紹介の質を高めるためには、
①人材業界会社の構造を理解
②採用要件の明確化と共有
③コミュニケーションが取りやすい関係性の構築
が鍵となります。これらの方法を実践することで、中途採用担当者の皆様が抱える工数の増加と質の低下という課題を解決し、より効率的な採用活動を実現することができます。
人材紹介会社から質の高い候補者の推薦を増やし、採用成功に繋げていきましょう。
また、アールナインでは企業に代わってエージェントとのやりとりを代行する「エージェントコントロールサービス」をご用意しています。
・人材紹介会社の担当変更が多く、何度も同じことを聞かれる
・契約している企業が多く、掘り起こしや開拓・フィードバックなどが工数的にできていない
・推薦の質が低く、内定まで至らないのに工数ばかりかかる
そんなお悩みをお持ちの企業様にぴったりのサービスとなっています。
エージェントコントロールサービスは、以下のような業務においてサポートをおこないます。
・自社の求人内容の確認
・人材紹介会社から紹介された求職者の確認
・選考プロセス毎の進捗管理
・人材紹介会社の選定
・人材紹介会社向け説明会実施のアドバイス
以下から会社やサービスの詳細を記載した資料を、無料でダウンロードいただけます。
是非ご覧ください。
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この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。