なぜ次世代リーダーの育成が必要なのか?その理由と方法は?


なぜ次世代リーダーの育成が必要なのか?その理由と方法は?

採用、処遇と同じくらい人事社員を悩ませるのが、次世代リーダーの育成です。

そもそも次世代リーダーとは、一握りの「企業の次世代を担う、経営層や将来の経営者候補」いわゆる経営陣の後継者候補を指すことが一般的でしょう。

この後継者育成、つまり次世代リーダーの育成は業界・業種問わず、すべての企業にとって切っても切れない課題です。そして、中には社長直々に後継者候補を教育する企業もあるほど重要度の高いことなのです。

今回は、企業の人材の育成の中でも、会社の将来に直接的に影響を与える可能性が極めて高い「次世代リーダー」の育成について、育成が必要な理由、その方法等についてご紹介します。

次世代リーダー育成が難しい4つの理由

企業として重要であるにも関わらず、次世代リーダーの育成が難航するのはなぜでしょうか?主な理由として下記4点があげられます。

1.教育・育成は後回しになりがち

人事がいくら次世代リーダーを育成すべきと声を上げても、現場の社員は今、目の前の仕事で手一杯でその余裕がないという場合が多くあります。

次世代リーダーは未来の経営層ですから、経営的視点やリーダーシップ、戦略的思考や、折衝力など学ばなければならないことは多くあり、本人の上司はもちろん各部門の協力が必要です。

どの部門も目の前の仕事が忙しい状況は変わりありませんので、その協力を得るという点でも後回しになりがちです。

2.方法がわからない

どのような人材が次世代リーダーとしてふさわしく、育成の対象として選出すればいいのか、その選出基準や方法がわからない、ということもよく聞きます。

そもそも次世代リーダーとはどんな役割を担う人材なのか。
次世代リーダーになるための基礎能力は何を基準とするのか。

等、選出する為に考えることがたくさんあります。特に、著しい市場の変化に対応していくには、必ずしも現経営陣のような人物が目指すべきリーダー像というわけではありません。

中長期の経営計画を理解し、そこから人材要件に落とし込んで選出基準を考える必要がありmさう。

→リーダーシップについてはこちらの記事も是非ご覧ください

3.学びの実践と適切なフォローの難しさ

次世代リーダーとして選出し、教育プログラムに参加してもらったとしても、多くの場合は元の職場に戻り、「学んだ新たな知識を生かし、新たな視点で」今までの業務に引き続き取り組んでいくことになります。

同じ業務でも、視点や考え方が変われば全く別の成果を期待できるようになるのですが、「元の職場に戻ったら、今までと同じように」なってしまう可能性もあります。

そうならないようにするためは、上司や人事部が学んだことを実践で生かしているか、実践で生かせない場合には何が課題になっているのかをフォローしていく必要があります。

次世代リーダー育成にとってこうしたフォローは欠かせないものですが、「上司や人事も忙しくてつい…」ということや、教育プログラムに参加したということで満足…となってしまうと、真の次世代リーダー育成にはつながらなくなってしまいます。

4.育成制度が整っていない

自社の次世代リーダー育成には、どのような経験、スキル、能力が必要なのかは、企業の業務内容や、市場でのポジション、人材育成方針によって異なります。

そのため、自社の次世代リーダー育成のためには、自社の環境と人材育成方針に沿った育成制度が必要です。しかし、その制度を設計することは容易ではないため、「次世代リーダーは育成したいけれど、制度が整っていない」というケースも少なくはありません。

次世代リーダーを育成するための4つのステップ

では、次世代リーダー育成はどこから手をつければよいのか、何に気を付ければよいのでしょうか。それがこの5つのステップとなります。

1.次世代リーダーに求められる要件の定義

次世代リーダーの育成は、「自社に必要な次世代リーダーとはどんな人材か」を要件定義することから始まります。

次世代リーダーに求められる要件は、経営陣や人事部門が主導で定義していくことになりますが、このプロセスでは各現場からのヒアリングも非常に効果的です。このプロセスで各部門を巻き込むことで、「次世代リーダー育成」に関する意識を全社的に高めていくこともできるからです。

特に次世代リーダー候補となるような人材はすでに各部門で頭角を現していますから、その人材はどのような人材なのか、そしてそのような人材にはどのような教育・育成機会が必要なのか、各部門に確認すると、制度にも現場のニーズを反映でき、導入後にも各部門に協力してもらいやすくなります。

要件定義は以下のように、定義を明確にして共有しておくとよいでしょう。

【次世代リーダーに求める能力】

 1. 変化対応力 変化に応じて柔軟に対応する
 2. 巻き込み力 自らの意思やアイディアを、集団で実行に導くことができる力
 3. 決断力 慣習や固定概念に捉われず、現場情報に基づいた判断・行動ができる力
 4. コミュニケーション力 完遂の為に、周りを巻き込む力
 5. 実行力 諦めずに継続して取り組むことができる力
 6. マネジメント力 目的達成のために部下や組織を管理・運営する力

2.次世代リーダー育成プランの作成

1つの教育プログラムや研修に参加したからといって、次世代リーダーになれるわけではなく、次世代リーダー育成のためには長期的な育成プランが必要です。そして次世代リーダーの育成は、学びと実践のバランス、つまりOFF-JTとOJTのバランスも必要となります。

「1.」で定めた次世代リーダーに必要な要件を身につけるためには、どんなOFF-JTとOJTが必要なのか、長期的な視点で設計しましょう。

3.選抜基準と選抜方法の明確化

要件定義が決まったら、次世代リーダー育成の対象となる人材の選抜基準と選抜方法を定めていきます。

社内の平等性や透明性を保ち、選抜者の主観を排除するような納得性の高い基準と選抜方法を定め、オープンにしていきましょう。

4. 適切なタイミングでのフォローの実施

次世代リーダー育成で重要なのが、適切なタイミングでのフォローです。

次世代リーダーとして力をつけていくには、リーダーに求められる学びと経験を重ねていくことが必要ですが、前述のように、OFF-JTで学んできたことが「学んで終わり」になってしまって実践に生かされていない、もしくは実践で生かそうとしても何らかの課題があるというケースもよくあります。

学びを定着させ、実践の場での課題を乗り越えていくためにも、人事部や上司によるフォローを最初から制度に取り入れ、フォローの中でのコミュニケーションによって、さらに学びや経験を深めていくことができるよう、配慮しましょう。

まずは次世代リーダー育成に着手するところから!

次世代リーダーの育成は、企業にとって重要なことだからこそ手間と時間がかかります。

最初から完璧な制度設計を目指すのではなく、まずは「このままで、これからの会社を担う人材が育成できるか?」という視点から見直してみることから始めてみませんか。何から着手したらいいかわからない、という方は是非一度お気軽にご相談下さい。

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