1on1面談はクロスで行うべき?メンター面談/クロス1on1のメリットと実施例を徹底解説!


1on1面談はクロスで行うべき?メンター面談/クロス1on1のメリットと実施例を徹底解説!

近年、多くの企業で導入されている1on1面談制度。

しかしながら、導入したはいいものの、

「普段仕事で関わる先輩や上司には悩みを相談しづらい」

「仕事に影響が出そうで本音を言えない」

「悩みが上司に関するものの場合、誰に相談すればいいのか?」

と、上手く制度が機能せず、面談の実施率がなかなか上がらないことも多いです。

そこで本記事では、直属の上司が相談役になるのではなく、あえて普段全く関わらない部署、企業の人がサポートをするクロス1on1面談(メンター面談についてご紹介します。

1on1をせっかく取り入れたのにうまく機能していない、これから1on1面談を導入しようとしているが、どのような立場の人を相談役にすればいいのかわからないという方はぜひご覧ください。

メンター面談(クロス1on1面談)とは

メンター面談とは、メンターと呼ばれる先輩社員が定期的に面談を行い、後輩社員のメンタルケアをするサポート制度のことです。相談を受ける先輩社員をメンター、相談をする後輩社員をメンティーと呼びます。

直属の上司と行う縦型の1on1面談と違い、メンティーから見て斜めの位置関係にある他部署の先輩社員がメンターとなる1on1面談のことをいいます。部署を跨いだ第三者がメンターになることが一般的なことから、クロス1on1面談と呼ばれることもあります。

クロス1on1面談のメリットは?

直属の上司ではなく、あえて第三者がメンターになることで/クロス1on1にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

心理的安全性を確保し、直属の上司に言いづらいことをメンターに言うことができる

これは第三者が面談を行う最大のメリットといえるでしょう。メンターが直属の上司であると、「この面談で悩みを相談すると評価に影響が出るかもしれない」と萎縮してしまったり、上司本人に対する悩みがある場合に言いづらかったりなど、部下が本音を言えなくなってしまう可能性があります。

他部署、他企業など普段繋がりがない関係性の人がメンターになることで、仕事に直接関係ないという心理的安全性が確保され、部下も普段上司には言えない本音の悩みを打ち明けやすくなります。

部下が話しやすいと感じることで、部下のガス抜きになるだけでなく、上司や部署の課題を第三者が把握し、解決することも可能です。

普段業務上で関わらないからこその視点でアドバイスできる

普段、業務で関わることの多い上司がメンターではアドバイスも新鮮味がなく、業務でのアドバイスと面談でのアドバイスの違いが曖昧になってしまいます。それでは、クロス1on1をわざわざ実施する意味がありません。

普段、業務で関わらない先輩社員がメンターであれば、普段の部下の様子を知らないからこその視点でアドバイスをすることが可能です。

異なる業務をする先輩社員からの意見を聞くことで、部下は自分を客観視できたり、上司以外の仕事の仕方を学んだりすることができます。

異なる部署であるからこそ、アドバイスを受け入れやすい

上司と部下の関係性にもよりますが、同じアドバイスでも上司が伝えるより第三者が伝える方が本人にとって響く場合があります。

直属の上司では同じフィールドで仕事を行っているため、どうしても業務の内容をお互いわかっていたり、内容の近い仕事をしていたりします。

その場合、「上司の仕事のスタイルはわかるけど、私は納得ができない」「上司自身ができていないのに、アドバイスされてもピンとこない」と部下が思うことも少なくありません。

一方で、普段関わることのないメンターから言われると、新鮮な意見として素直に受け入れられることもあります。日々の業務から切り替えて冷静に話ができるということもメリットでしょう。

メンターの選び方

メンターはどのような人材を抜擢すればいいのでしょうか。ここからは部下が悩みを相談しやすくするために最適なメンターの選び方をご紹介します。

部下にヒアリングしてから部下が悩んでいる領域に強みを持つ人材を探す

1つ目の選び方はクロス1on1の面談対象者である社員にどのような悩みを持っているか事前に軽くヒアリングして、その悩みの領域に強みを持つ人材を抜擢する方法です。

例えば、仕事を効率的に行えず業務時間が人よりも遅いという悩みを抱えている場合、業務効率化やタスク管理を得意とする他部署の人材を抜擢するというやり方です。

この選び方の場合、悩みに対して短期間で具体的なアドバイスをすることができ、課題の早期解決が期待できます。

時期によって悩みも変わるので、定期的にヒアリングし、悩みが変わった場合にメンターも変えるという工夫もいいかもしれません。

部下と年齢や趣味などが近い人材を探す

2つ目の選び方は部下と年齢が近いまたは共通の趣味などからメンターを抜擢する方法です。人は自分と共通する点が多い人ほど親近感を感じやすく、心理的安全性を確保しやすい傾向があります。

共通の趣味などがあれば面談時の話題づくりのきっかけにもなり、初対面でも打ち解けやすくなるでしょう。共通項がない場合、年齢の近い先輩社員を抜擢することも効果的です。年齢が近いと、話せる話題や共感できることも多いため、打ち解けやすくなります。

早めに打ち解けることで、本音の相談を面談初期の段階で引き出すことが可能です。また、趣味や年齢が近いことで、プライベートでも交流できる仕事以外の人間関係を作ることもできるでしょう。

メンティーの直属の上司に相談して人材を探す

面談を行う社員に直接聞くのではなく、普段の仕事ぶりをそばで見ている直属の上司にどのようなメンターが担当すべきかヒアリングするという方法もあります。

この場合、社員本人は気づけていない仕事上での悩みや改善点についてアドバイスをすることが可能であり、社員の仕事での成長や組織改善が期待できますが、あくまで上司から見た悩みに対してですので、社員が悩んでいるプライベートな悩みや本人が相談したい悩みなどは実際に面談が始まるまで把握することができません。

外部の面談のプロに依頼する

上記3つの選び方が自社ではできない、ノウハウのある社員が在籍していないという場合は外部の面談のプロに代行依頼することもおすすめします。

豊富な人事経験や面談経験を持つプロが担当することで、限られた時間の中で社員の悩みを深い段階まで聞き出し、具体的な解決案を提示してくれます。

また、傾聴力の高い社外のプロが面談を担当することで、気兼ねなく悩みを相談することも期待できます。

クロス1on1の注意点

無責任なアドバイスにならないようにする

クロス1on1面談で注意すべき点は、普段仕事であまり関わらないからといって無責任なアドバイスをしないようにすることです。

普段から関わりがあるわけではない、メンティーの仕事内容をあまり把握していないことからしっかり話を聞いているつもりでもついアドバイスが抽象的になりすぎてしまう可能性があります。

メンティーが「アドバイスがあまり的確ではない」と感じてしまうと新しい悩みができても相談しづらくなってしまうので、面談を繰り返すたびに、メンティ-の悩みや話した雑談などはメモをとっておくといいでしょう。

業務内容が面談だけで理解しきれない場合はメンティーの上司と連携し、メンティーの業務を事前に把握しておくこともおすすめです。

直属の上司に共有すべき内容を選ぶ

2つ目の注意すべき点はメンティーと直属の上司の関係が悪化しないように配慮することです。面談の中で上司に関する悩みを打ち明けられることもあるでしょう。

メンティーである部下が業務を円滑に行うために面談の中で話した悩みと解決策・改善案はメンティーの直属の上司と連携し共有することは大切です。しかし、上司に対する悩みや不満などメンターが第3者だからこそ話した内容までそのまま共有されてしまっては、上司との人間関係が悪化するリスクがあります。

これではクロス1on1を実施した意味がありません。上司との人間関係に関する問題は、上司にそのまま伝えるのではなく、一度整理して伝えなくてもよい情報を取捨選択してから共有しましょう。

上司に伝える時は不満な部分を強調せずに、改善案や改善後に期待できる効果などを具体的に説明することで部下が不満を抱いているという印象をやわらげ、むしろ組織改善に対して真剣に考えているという印象を与えることもできるかもしれません。

また、直属の上司ではなくさらに上層部に伝えたほうが改善される場合もあります。その場合は、面談の内容をメンティーの上司に共有するというルールがあったとしても、一度人事担当者に相談することをおすすめします。

クロス1on1の目的別実施例

クロス1on1のメリットをご紹介しましたが、実際に導入してもどのように実施すればいいかまだよくわからないという方のために、ここでは目的別の実施例をご紹介します。

週に1回:日々のタスク管理や仕事の相談を目的とした1on1面談

社内でもタスク管理や業務効率化を得意とするメンターが業務に関する悩み相談を目的として行うクロス1on1です。

タスク管理を伴走して行うだけでなく、他部署と連携したほうがスムーズにいくものや、そもそもやる必要のない業務などを客観的に指摘し、それを直属の上司にも報告し、部下の業務管理だけでなく、部署の業務改善にも繋がります。

2週に1回:ガス抜きやメンタルチェックを目的とした1on1面談

業務の相談以外にもプライベートや人間関係に関する悩みを聞くことで、部下のガス抜きやメンタルケアを目的とした1on1面談です。業務管理が目的ではないため、2週間に1回程度の頻度で実施するといいでしょう。

このような目的の面談ではアドバイスよりも話を聞くことを重視します。本人が話したいことを話してもらい、それを傾聴し受け入れることで抱えているストレスの発散につながります。

また、悩みの内容が組織改善で治るものや、上司の行いが原因である場合、それを客観的に把握し、組織改善につなげることも重要です。

月に1回:キャリア相談を目的とした1on1面談

この面談は社内でのキャリアステップや、社内外関係なく本人が目指したいキャリアについて話すものです。人事や外部のキャリアコンサルタントが行うケースもあります。本人の目指したいキャリアと今の業務内容とのリンクや、今後の進め方についてコーチングしていくことで本人のモチベーションアップに繋げられる可能性もある面談です。

クロス1on1の体制の整え方

第三者がメンターになるクロス1on1はさまざまな用途で効果を発揮します。

なぜ斜めの関係性の人がメンターとなりクロス1on1を行うのか、部下に理解してもらう

1on1面談を実際に受ける部下が「なぜこの人がメンターなのか」「この面談は何を目的として行っているのか」について理解することで、部下がストレスなく悩みを相談しやすくなります。部下に面談の目的とメンターが直属の上司ではない理由をきちんと説明し、面談の効果を最大限発揮できるように整備しましょう。

必要によっては、事前に人事担当者がどのような人がメンターについて欲しいかを部下にヒアリングすることで部下の悩みに沿った適切な人材をあてがうことができます。

直属の上司とメンターが連携する

上司とメンターが部下の状況や悩みを共有することでスムーズに部下に対する対処や組織改革を行うことができます。

ただし、上司に関する悩みを第三者に相談しても、上司に共有されてしまうのではないかと部下が不安にならないように、悩みの内容によっては上司とメンターの間に人事担当者が介入することも大切です。

メンターが1on1面談の目的を把握し、それに応じた面談の設計を行う

目的に応じた1on1面談の設計や、1on1面談を行うための信頼関係の構築、傾聴力、ヒアリング力を備えるとより効果的です。

企業それぞれの状況ごとに1on1面談の意義は変わるため、1回の実施で上手くいかなかったとしても、メンターの組み合わせを変えるなどの工夫をしながら、継続してPDCAを回していくことが重要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は直属の上司がメンターを行う従来の縦型の1on1面談ではなく、あえて他部署、他企業など外部の第三者がメンターを担当するクロス1on1についてご紹介しました。

あえて斜めの関係で1on1を行うことで、普段、上司には言えない悩みを打ち明けることができて、部下のメンタルケア以外に縦の関係性の強化や組織全体の改善も期待できます。

自社内で適切な人材をメンターに選ぶことが難しい場合は、外部の面談のプロに依頼することも可能です。面談代行サービスを依頼することで、自社内よりも心理的安全性を高く保つこともできるかもしれません。1度外部に依頼してみて、自社にノウハウを蓄えるという方法もおすすめです。