「第三者」による1 on 1面談の効果とは?~ナナメの部署間で1on1を行うメリット~

1on1面談は今やメジャーな単語となりました。中でも直属の上司が部下に1on1をするのではなく、ナナメの関係となる他部署の先輩や上司がメンターとして1on1を行うことが効果的だと言われていることも、ご存知の人事の方は多いでしょう。
とはいえ、実際にどのように行うのか?第三者による面談のメリットは何か?など気になる方も多いのではないでしょうか。今回は他部署の先輩・上司がメンターとして1on1面談をするメリットについて記載をしていきます。
なぜ直属の上司以外のメンターによる1on1にメリットがあるのか
①メンターから直属の上司に縛られない客観的な意見を伝えることができる
直属の上司と部下では、日ごろ業務でも連携を行うことが多くあります。そのため上司のやり方や考え方を受け、部下はそれを踏襲して学んでいくことが多くあります。
この場合、部下の育成は上司一人の力量に左右されるため、性格だけでなく仕事の進め方で相性の悪い上司だった際に、部下にとっては成長を阻害される可能性もあります。
そのような場合、第三者の面談の機会があれば、その育成を客観的に見て、テコ入れが必要かどうかがわかります。また、直属の上司とは違う観点でのアドバイスを行うことも可能です。
部下にとっても自分を客観視したり、上司以外の先輩の仕事の仕方や考え方を学んだりすることができます。
②直属の上司に言いづらいことをメンターに対し言うことができる
こちらは第三者が面談を行う最大のメリットといえるでしょう。直属の上司には、言えない悩みというものを部下は持っていることが多いです。一緒に仕事をしているからこそ、見えてくるものが多いからです。
しかし言いづらいことを我慢し仕事を続けていけば部下にとってストレスになるだけでなく、上司自身が成長する機会を失うことにもなりかねません。そのため部下の話を傾聴し引き出すことで、ガス抜きや、上司や組織の課題解決にも効果があるといえます。
③異なる部署であるからこそ、アドバイスを受け入れやすい
上司と部下の関係性にもよりますが、同じアドバイスでも場合によっては直属の上司より、第三者から伝えた方が本人にとって響くことがあります。
直属の上司では、同じフィールドで仕事を行っているため、どうしても業務の内容をお互いにわかっていたり、近しい仕事をしていたりします。
その場合、「上司の仕事のスタイルはわかるけど、私は納得ができない」「上司自身ができていないのに、アドバイスされてもピンとこない・・」と部下が思うことも少なくありません。
一方、普段直接的に関わることが少ない部署のメンターから同様のことを言われると素直に受け入れられる、ということがあります。日々の業務から切り替えて冷静に話ができるということもメリットでしょう。
また、部署が違い業務内容も異なると、仕事において使う筋肉や、考え方も変わっていきます。そういった観点からアドバイスをもらえることも、部下にとっては価値となります。
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どうやるナナメの1on1?!目的別の実施例
上記メリットは理解していても、実際に直属の上司以外に1on1面談を行う際は、目的や頻度などどのように行えばよいのか迷っている方も多いかと思います。
今回は一例を紹介できればと思います。
①日々のタスク管理や仕事の相談を目的とした毎週の1on1面談
社内でもタスク管理や業務効率化を得意とするメンターが、新人との1on1を毎週行っているという例です。
タスク管理を伴走し行うだけでなく、部署内で当たり前にメンバーが行っている業務の中に、他部署と連携したほうがスムーズにいくものや、そもそもやる必要のない業務などを客観的に指摘し、それを直属の上司にも報告し部署の業務改善にもつなげています。
②ガス抜きやメンタルチェックを目的とした隔週に1回の1on1面談
こちらは、仕事やプライベート含めての悩みを傾聴することで、精神面の状態を図る面談です。直属の上司や同部署以外のメンターが、1on1を行います。このような目的の面談では、アドバイスよりも傾聴を行うことが何より重要です。本人が話したいことを話してもらい、それを否定せず受け止めることで、抱えているストレスの発散にもつながります。また、悩みの内容が組織を改善することで直るものだったり、上司の行いが原因である場合、それを客観的に把握し、組織改善につなげることも重要です。
③キャリア相談を目的とした月に一回の1on1面談

この面談は、社内でのキャリアステップや、社内外関係なく本人が目指したいキャリアについて話すものです。人事が行ったり、外部のキャリアコンサルタントが行うケースもあります。本人の目指したいキャリアと、今の業務内容とのリンクや、今後の進め方についてコーチングしていくことで、本人のモチベーションアップに繋げられる可能性もある面談です。
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第三者による面談は効果的だが、体制を整えることが重要
上記の実施例のように、直属の上司以外の1on1は様々な用途で効果を発揮します。一方で、こちらを進めるためには、以下の3点が重要です。
①なぜ上司以外が1on1を行うのかを部下に説明し、理解してもらう
1on1を受ける部下が、「なぜこの人がメンターなのか」「この1on1はどのような目的で行っているのか」を納得していると、それに応じてメンターに相談をするようになります。
②直属の上司とメンターが連携する
上司とメンター同士で、部下の状況や話した内容を連携し、どういった対応をすればよいかを議論していくことが重要です。
③メンターが1on1の目的を把握し、それに応じた面談の設計を行う
目的に応じての1on1の設計や、1on1を行うためのラポール形成、傾聴、ヒアリング力を備えるとより効果的でしょう。
上記条件を満たせば、ナナメの1on1面談は効果のあるものになるといえるでしょう。
また、企業それぞれの状況ごとに1on1の在り方は変わるため、1回の実施でうまくいかなかったとしても、メンターの組み合わせなどを変えながら継続しPDCAを回していくことが重要です。
まとめ
1. 客観的な意見を伝えることができる
2. 直属の上司に言いづらいことを言うことができる
3. 異なる部署であるからこそアドバイスを受け入れやすい
◇どうやるナナメの1on1?!目的別の実施例
1. 日々のタスク管理、仕事の相談…毎週
2. ガス抜き、メンタルチェック…隔週に1回
3. キャリア相談…月に1回
◇第三者による面談は効果的だが、体制を整えることが重要
1. なぜ上司以外が1on1を行うのかを部下に説明し、理解してもらう
2. 直属の上司とメンターが連携する
3. メンターが1on1の目的を把握し、それに応じた面談の設計を行う