【業界研究】人材業界のビジネスモデル、仕事内容、魅力を徹底解説!
2024年9月13日はじめに
「人材業界に興味があるけど、果たして自分に合っているのだろうか…」と疑問に感じていませんか?
この記事では、人材業界の概要や仕事内容といった基本に加え、多くの企業の採用に携わる当社だからこそ伝えられる「人材業界で働く面白さや大変さ」「向いている人」についても紹介します。
当社アールナインの採用担当として、長年自社や他社の採用に携ってきた人事部長が持つリアルな情報を交えながら、人材業界を徹底解説します。
是非この記事を通して、人材業界で働くことが自分に合っているかどうか考えるきっかけになると嬉しいです。
目次
1.人材業界とは
2.人材業界の市場規模
3.ビジネスモデルと仕事内容
3-1.人材紹介
3-2.人材派遣
3-3.求人広告
3-4.アウトソーシング 、人材コンサルティング
4.人材業界のトレンド
4-1.長期的なトレンド
4-2.最新トレンド
5.人材業界で働く魅力
6.人材業界で働く大変さ
7.人材業界に向いている人
8.人材業界に向いていない人
1.人材業界とは
人材業界とは、一言で言うと「人に関して課題を持っている会社に対して、人の介在によって課題を解決する」業界です。
2.人材業界の市場規模
株式会社矢野経済研究所の2021年度調査によると、人材関連ビジネス主要3業界(人材派遣業、人材紹介業、再就職支援業)の市場規模は前年度比6.9%増の「9兆5281億円」とされています。※1
少子高齢化が進み、労働人口が減っていく中で、人材の確保は各企業にとって重要な課題の1つとなっています。そのため、人材業界の市場規模は年々拡大している傾向にあります。
また終身雇用、年功序列の時代が終焉を迎え、「今の時代、転職は当たり前」と言われるようになりました。世の中の認識の変化から、転職することへの抵抗感が下がったことも影響しているといえます。
3.ビジネスモデルと仕事内容
1.人材紹介
- 人材紹介とは
人材を求めている「企業」と転職活動をしている「求職者」のマッチングを行うのが人材紹介のお仕事です。
- 人材紹介の仕事内容
人材紹介には主に「キャリアアドバイザー」(CA)と「リクルーティングアドバイザー」(RA)の2つの役割があります。
「キャリアアドバイザー」(CA)は、求職者側と主に接するお仕事で、求職者に合いそうな企業を紹介したり、選考のアドバイスなどを行います。「転職エージェント」とよく呼ばれます。
「リクルーティングアドバイザー」(RA)は、企業側と主に接するお仕事で、人材要件(求める人物像)や求人内容のヒアリングを行っています。
このキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーが情報交換をしながら求職者と企業のマッチングを成功させます。
キャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーは別の人が担当し、二者間で連携をとることが多いです。一方で、二者間の認識の違いを少なくするために企業によってはキャリアアドバイザーとリクルーティングアドバイザーを同じ人が担当している企業もあります。その場合、担当者の負担が増加するため、メリット・デメリットがそれぞれあります。
- 人材紹介のビジネスの仕組み
「成功報酬型」のビジネスモデルです。
そのため、紹介した企業に求職者が入社した時点で、企業から人材紹介会社にお金が支払われる仕組みとなっています。そのため、求職者は無料で転職支援を受けることができるようになっています。
2.人材派遣
- 人材派遣とは
人材派遣会社(自社)に仕事を求めて登録してくれている方を、特定のスキルや労働力を求めている企業に派遣するのが人材派遣のお仕事です。
- 人材派遣の仕事内容
主に3つの職種に分かれています。
①新規開拓営業
自社の派遣スタッフの受け入れを行ってくれる企業を増やすために、営業を行います。
②ルート営業(既存顧客)
既に自社の派遣スタッフを受け入れてくれている企業と連携を取るお仕事です。既に働いているスタッフのサポートに加えて、企業側にも不満や要望などのヒアリングを行います。
③マッチング
顧客が求める人材と、自社の登録スタッフをマッチングさせる仕事です。顧客側とスタッフ側双方の要望を叶えられるようにするのが重要です。また他社との差別化を図るため、IT人材に強いなど、企業によって得意分野や専門を持つようになってきています。
- 人材派遣のビジネスの仕組み
派遣先の企業(クライアント)から、人材派遣会社にお金が支払われる仕組みになっています。そのため、派遣された労働者は人材派遣会社からお給料を受け取ります。
人材紹介とは違い、派遣スタッフが働いている間ずっとお金が支払われます。実は人材派遣市場はかなり大きく、2021年度の人材ビジネス主要3業界の市場規模9兆5,281億円の内、人材派遣業市場が9兆2,000億円を占めています。※1
3.求人広告
- 求人広告とは
企業の求人情報を載せるWebメディアや情報誌といったプラットフォームを提供することで、募集率を上げるのが求人広告です。
多くの就活生が登録している「マイナビ」「リクナビ」やバイトの求人がメインの「バイトル」「タウンワーク」などが有名なサービスです。
- 求人広告の仕事内容
主に2つの職種に分かれています。
①新規開拓営業
求人を載せてくれる新たな企業を増やすために営業を行います。
②求人作成のサポート
受注後、企業がより良い求人を作成できるようにサポートをしたり、採用ターゲットなどのヒアリングを行い、企業の代わりに求人を作成したりします。
- 求人広告のビジネスの仕組み
求人情報を載せた企業から、求人広告会社にお金が支払われる仕組みになっています。そのため、求職者は無料で求人情報を閲覧することができます。載せられるコンテンツ量や、検索表示の順番などのオプションを企業ごとに選ぶことができるようになっているケースが多く、オプション料金もビジネスの重要なポイントになります。
4.アウトソーシング、人材コンサルティング
- アウトソーシングとは
アウトソーシングは企業から人事業務や、事務、経理などの業務を請け負うお仕事です。
人材業界の場合、人事業務や採用業務を中心に請け負います。人件費の削減といった目的だけでなく、自社で全ての業務を行うより、より高い専門性を持った外部の会社に依頼する方がメリットが大きいと判断した場合に、アウトソーシングが利用されています。
- アウトソーシングの仕事内容
人材派遣と勘違いされることも多いですが、アウトソーシングは派遣先で仕事をしてもらうわけではなく、自社で業務自体を請け負います。大きな違いは仕事の指示を出す権限の違いです。人材派遣では派遣先の企業が労働者の指揮監督を行いますが、アウトソーシングでは仕事自体を自社で引き受け、代行として仕事を行うため、仕事の進め方などの指示は自社内で行います。
- アウトソーシングのビジネスの仕組み
アウトソーシングは、上記の事業と違い、人に対して対価が支払われるのではなく、依頼された成果物や代理で行った業務に対してお金が支払われる仕組みになっています。
- RPO(採用アウトソーシング)とは
主に採用領域の支援・業務代行を行う事業を「RPO」(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)と言います。当社アールナインのメイン事業でもあります。他社の採用の一部を代行し、社員もしくは人事経験者など採用のプロが代わりに面接や説明会の司会などを行います。
- 人材コンサルティングとは
人材コンサルティングとは、企業の経営戦略の大きな要でもある人事戦略の改善を行う事業です。採用、育成、定着など多岐にわたる人事の課題に対し、解決策を提案します。
アールナインでは、採用アウトソーシングに加えてこの人材コンサルティングサービスも行っており、企業の採用を上流から下流までサポートしています。
アールナインの事業内容について詳しく解説している記事はこちら※外部サイトに遷移します
4.人材業界のトレンド
- 長期的なトレンド
長期的な業界のトレンドとしては、「少子高齢化」による労働者人口の減少です。内閣府によると、少子高齢化の進行により、日本の労働者人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年に5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれています。※2
採用したい人材を確保するための人材サービスの需要が高まっているのと同時に、労働者人口の拡大にも注目が集まっています。
これから労働人口を拡大していく上で、以下の人材が注目されています。
1.女性
女性は男性より育児と仕事の両立を強いられることが多いため、育児期の離職率も高く、復職しても非正規雇用になる傾向が多いです。また保育所の定員割れ問題なども女性が働くことを妨げる要因の1つです。そのため、今後は女性の社会進出をいかに保障していくかが重要となってきます。
2.シルバー人材
シルバー人材とは、65歳以上の高齢者のことを指します。シニア層になっても元気なうちは働きたいと考える人も多く、近年はシルバー人材の派遣や紹介を中心とするサービスも増えています。
3.外国籍人材
人口そのものの減少を食い止めることは難しいため、海外から人材を集めることも重要です。2018年、改正出入国管理法に在留資格が新設されたことにより、14業種で外国人労働者の受け入れが拡大しました。外国籍の方に単純労働だけでなく、複雑な業務も任せていけるようになるかが今後の課題となっています。
- 最新のトレンド
近年注目を集めているトレンドとしては以下の2つがあげられます。
1.ジョブ型雇用
ジョブ型雇用とは、ある仕事に対して、その仕事ができるスキルを持っている人材を採用するという雇用のスタイルです。一方、日本では採用した人材に対して仕事を割り当てるメンバーシップ型雇用が主流となっています。
今後、欧米の働き方をどうやって日本に広めていくかが話題となっています。
2.リスキリング
リスキリングとは、経済産業省によると、「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義されています。特に日本では時代に対応すべくデジタル人材を育成するためのリスキリングが注目されています。政府も施策として取り組んでいるように、学び直しにより人材の価値を高め、生産性を上げていく必要があります。
5.人材業界で働く魅力
働く人が感じる面白さという目線で、今回は3つお伝えします。
1.人の心や感情に配慮できる人が活躍できる
人材業界では、経営コンサルや金融業界のように必ずしもロジカルさが最重要視される訳ではない場合が多いです。最後の決断は「人」が鍵を握っています。ロジカルでは決められないところで左右される業界のため、論理的思考ができるだけでは難しく、人の心や感情に配慮できる人が活躍できる傾向にあります。
2.課題を解決することで社会に影響を与えることができる
人が転職や離職を決意するにあたって、給与や仕事内容など様々な理由はあれど、「人間関係」が一番大きな影響を与えていると言われています。
人材業界のお仕事では、転職支援などで「人間関係」の問題を解決することに関わることができます。そして、「人間関係」の問題は、世の中にある課題のほとんどの要因だと言われています。つまり、人材業界で働くことは、人や会社、社会が抱える大多数の問題を解決することにつながります。
3.変化や刺激が多く飽きない
人材業界は、移り変わりの激しい業界です。
メーカーのように変わらない良さをお客様に届け続けることが大事な業界とは違い、毎年のように新たな会社やサービスが多数出てくるため変化が大きいと言えます。そのため、新たなことに挑戦したい方や、変化を楽しむ姿勢がある方にとっては刺激が多く、楽しみながら働くことができると思います。
6.人材業界で働く大変さ
魅力の裏返しの部分もありますが、2点お伝えします。
1.人の感情にアプローチする難しさ
判断を下すのは最終的には人であり、判断において論理ではなく感情が優先されることがあります。
例えば、99人が賛成していても、判断の決定権を持つ1人が違うと思ったら答えが変わります。人の感情には正解が無いので、絶対的な正解が無いものに対してアプローチをしなければならないところは難しいポイントでもあります。
2.変化に対応するための学びが必要
常に幅広く知識をアップデートしていく必要があるところは、大変なところでもあります。変化やトレンドの波が激しく移り変わるため、学び続ける努力は必要になります。
7.人材業界に向いている人
以下の4つを持ち合わせている人は人材業界に向いていると言えます。
1.好奇心
人材業界では、固定のお客様と長くお付き合いするのではなく、ありとあらゆる業界の人をお手伝いしていく必要があります。そのため、新しい経験や知識をどんどん吸収していきたいと思える人や、学習意欲が高い人は向いていると言えます。
2.洞察力
業界の動向や最新サービスなどについて情報収集ができる人、知識だけでなく人の気持ちを察して行動ができる人は向いていると言えます。
3.共鳴力
人の思いや感情に対して高い共感を示し、お客様に寄り添ったコミュニケーションを取ることができる人は向いていると言えます。
4.胆力
移り変わりが激しい業界のため、新しいことに果敢に挑戦するチャレンジ精神を持っていて、困難な目標に向かって頑張っていく力がある人は向いていると言えます。
8.人材業界に向いていない人
1.人に寄り添いすぎてしまう人
「この人はこの会社の方が向いているのに」と思っても、会社や求職者の事情などでその会社への入社を支援してあげられないことがあります。ボランティアのような慈善事業ではなくあくまでビジネスなので、感情移入しすぎないことも重要になってきます。
2.正解を求める人
先ほども述べたように、人材ビジネスに正解はありません。入社してみないと分からない部分も多いため、求職者が最も入社したいと考えている企業への就職を後押しすることが必ずしも正解ではない、ということも覚えておきましょう。そのため、正解が無いとモヤモヤしてしまうという方は辛くなってしまうこともあるかもしれません。
おわりに
今回は採用のプロの目線から見たリアルな「人材業界」について紹介しました。
就職活動では様々な業界や企業に出会い、どこが自分に合っているのだろうかと悩むと思います。このコラムを1つの判断材料としていただき、自分に合う業界や企業を模索してほしいと願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(参考資料)
・矢野経済研究所:人材ビジネス市場に関する調査を実施(2022年)※1
・総務省:令和4年版 情報通信白書 ※2
・リクナビ:人材サービス(人材紹介・人材派遣)業界とは?
・マイナビ:人材サービス(派遣・紹介)業界
・パーソル総合研究所:労働市場の未来推計2030
・パーソル:ジョブ型雇用とは?メンバーシップ型との違いとデメリット・メリット
・パーソル:【事例あり】リスキリングとは?定義から導入時のポイントまで徹底解説