【解説】中途採用の5つのメリット・デメリットとは?


【解説】中途採用の5つのメリット・デメリットとは?

ほぼ全ての企業で採用活動として取り入れている「中途採用」。

中途採用という採用手法を多くの企業が導入する理由は、大きなメリットがあるからです。

企業は、日々状況にあわせて変化していく必要があります。そして、求められる変化のスピードも年々早くなっています。

そのような変化にスピーディーに対応し、人員の最適化に適した採用手法が中途採用です。

今回は中途採用のメリット・デメリットについて解説していきます。メリットを理解することで中途採用をより効果的に実施することができ、デメリットを知ることで事前に対策を打つことができるようになります。

今回の記事を読み、中途採用の効果性を高めていきましょう。

中途採用の5つのメリット

中途採用を採用活動の主軸として置いている企業は少なくありません。なぜなら、中途採用には大きなメリットがあるからです。

ここでは中途採用のメリットについて、順番に解説していきます。

1. 即戦力を獲得できる

まず、中途採用の一番のメリットについて解説いたします。

中途採用の一番のメリットは”即戦力の獲得”です。これは中途採用という採用手法の目的でもあります。

どんなに優秀な企業であろうとも、産休や育休による社員の長期休職、転職や諸事情による社員の退職は必ず起こり得ます。

また、企業が成長するうえでは、新規事業の創出、事業の拡大を行っていく必要があります。

そのような場合に必要となるのが、すぐに自社で活躍してくれる”即戦力”の獲得です。

欠員によって空いた穴を塞ぐことは急務です。欠員が出ることで、他のスタッフや他部署、クライアントにも影響が出てしまう可能性もあり、可能な限り早期に人員を補充していくことが必要です。

そのような場合、新卒採用のようにポテンシャルで採用し、一から育成していくという手法はマッチしません。欠員が出た人員と類似のスキルや経験を持ち合わせている人材を獲得し、できるだけ早い段階で業務をこなすようになってもらう必要があります。

新規事業や事業の拡大でも同じことが言えます。欠員の場合と比較すると切迫感はないように感じますが、競合に勝つためにはスピード感が重視されます。

企業が生き残るうえでは、常に市場のトレンドを察知し、スピード感を持って動き、先行者利益を獲得するため競合他者より早い段階で形にすることが必要です。

競合他者に勝つためには、スピード感のある意思決定をおこない、決定した内容を早期に形にしていかなければなりません。

そのため、新規事業や事業拡大においても、人員計画を策定し、不足している人員については、早急に必要要件に合致する人材を獲得することを求められます。

中途採用という採用手法を用いることで、即戦力となる必要要件を満たした人材を獲得し、健全な企業経営、企業の成長を達成することができるのです。

2. 他社で培った専門性の高いスキルやノウハウを取り入れられる

中途採用者が前職で培った専門性の高いスキルやノウハウを取り入れることができるのも、中途採用の大きなメリットの1つです。

中途採用で獲得する人材を通して、他社の働き方や風土、専門分野の知識を自社に取り入れることができます。

企業が成長していくためには、自社の中で試行錯誤するだけではなく、外からも良い部分を取り入れることが必要です。

時代の流れに乗ることができる企業は、中途採用を積極的に活用し外部の人材を多く取り入れています。

企業の規模が大きくなければ経験できないこともあります。また、逆にスタートアップの企業でないと経験できないこともあります。

そういったバックグラウンドの違う人材を獲得することで、自社に新しい風を取り入れることもできます。

中途採用で入社した社員から、新しい考え方を学んだという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

長年1つの企業に勤めていると、考え方が固定化してしまいがちです。

他社で活躍していた人材を積極的に獲得することで、企業をアップデートすることにも繋がります。

3. 人材育成にかかる時間やコストを最小限に抑えられる

中途採用では即戦力となる人材を獲得できるため、育成にかかる時間やコストを最小限に抑えられるというのもメリットの1つです。

新卒採用の場合、入社後に敬語や礼儀などビジネスマナーの部分から教え、業務内容に関しても基礎部分から落とし込んでいく必要があります。

中途採用の場合は、社会人経験があり、かつ専門分野での業務経験がある人材を採用できるため、研修にかかる時間を大幅に短縮できます。

中途採用の場合、自社のルールや利用するツールの説明などが終わった後は、実際に実務をこなしながら自社のやり方を覚えていくOJT形式をとる企業が多くあります。

中途採用者の研修は、基礎的な内容を省き、自社独自の内容にフォーカスして教えればよいため、すぐに実務に入ることができます。

育成にかかる時間が少ないということは、指導する側の人材にかかるコストも削減できるということです。

中途採用では、人材を獲得するためのコストはかかるものの、育成コストが抑えられる利点があります。つまり、総合的にみて、パフォーマンスの高い社員を生み出すまでのコストを抑えることが可能であるといえます。

4. 必要性に応じた入社時期の調整ができる 

中途採用の場合、自社の必要性に応じたタイミングで求人を出稿し人材獲得ができるため、入社時期を調整できるというのもメリットの1つです。

新卒採用のような一括採用の場合、新入社員の入社日を同時期に調整する必要があるため、入社日は固定された日程になります。

中途採用の場合は、候補者と調整ができれば、双方が希望する日程で入社時期を確定することが可能です。

このように入社時期の調整が可能であることも、中途採用のメリットといえます。

5. 精度の高い採用活動ができる

精度の高い採用活動ができるという点も、中途採用のメリットの1つです。

中途採用の場合、求める人物を具体的に定義することで、マッチングのズレを減らすことができます。

過去の経験、保有する資格、思考傾向、持っているスキルなどの必要要件を詳細に定義することで、求める人物像を具体化できます。

具体的なイメージにあった人材を採用することで、入社した際のミスマッチングの確率を減らすことができます。

もし、仮にミスマッチングが起こってしまったとしても、その要因を分析することで、採用活動の方向性を修正・改善することができるため、採用活動の精度を高めていくことが可能です。

新卒採用のように、判断する情報が少ない中でポテンシャル採用を行うことと比較すると、多くの情報をもとに高い精度で採用判断ができるのも中途採用のメリットです。

中途採用の5つのデメリット

中途採用にはメリットがあれば、デメリットもあります。

デメリットを理解することで対応策を打つことができますので、しっかりと理解していきましょう。

1. 自社にマッチできない可能性がある

中途採用の場合、キャリアのある方を採用するため、過去のやり方に固執してしまい自社にマッチングできないということも起こり得ます。

キャリアが長く、多くの経験を積んでいる人ほど、新しい手法や文化に馴染むハードルは高くなります。

過去の成功体験を再現できるのは、1つの良い面です。

しかし、環境、立場、市況などが変われば、現状にあった状態に最適化していくことが必要です。

中途採用者の中には、過去で経験したやり方と違う手法に馴染めず退職してしまう方もでてくる可能性があります。

このようなミスマッチングを防ぐためには、採用段階で自社風土とのマッチングや、柔軟性を確認しておく必要があります。

2. 転職による退職リスクがある

中途採用でターゲットとする人材は、「転職」に対して合理的な判断ができる人です。

中途採用者の方は、「自身が活躍できる場所と考え転職する」、「条件面が希望とマッチしたので転職する」というような判断をして自社へ入社します。

しかし、それは今後も同じような判断で”転職する可能性がある”ということにも考えらます。

自社より良い条件、良い環境が現れた場合、転職による退職が発生する可能性はあります。

もちろん、これは中途採用者だけに言えることではありませんが、新卒採用者と比較すると中途採用者はこのような合理的判断で退職するリスクがあることを理解しておきましょう。

3. 採用コストがかかる

株式会社リクルートが行った調査によると、新卒採用者の平均採用コストは93.6万円、中途採用者の平均コストは103.3万円であることが分かっています。

【引用元】株式会社リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」
https://shushokumirai.recruit.co.jp/wp-content/uploads/2020/06/hakusyo2020_01-48_up-1.pdf

新卒採用と比較し採用コストがかかるというのが、中途採用のデメリットの1つです。

ただ、前述したように育成コストがかからないのが中途採用のメリットでもあります。

社員が活躍できるようになるまでのコストを考えて、中途採用のコストパフォーマンスを判断しましょう。

4. 一括採用には向いていない

中途採用は通年採用が可能というメリットがある反面、新卒採用のように定期採用ではないため、大人数の採用には不向きです。

新卒採用では、春の入社にあわせて1年をかけて採用活動を行うため、入社時期には大人数の社員を迎えることができます。

このように大人数の入社を同時期にあわせることで、研修計画も策定しやすくなります。

一方、中途採用では、ある程度、転職需要が高まる時期はあるものの、求職者の希望する入社時期が揃うことが少ないため、一括採用には適していないという特性があります。

5. 企業文化を育てるのに時間がかかる

中途採用は、他社の良い風土や考え方を取り入れられるのがメリットである反面、中途採用者による人材の入れ替わりが激しすぎると、自社文化が定着しづらくなるデメリットがあります。

企業は組織であり、組織は人で構成されます。

組織を構成する人の入れ替わりが激しければ、いつまでたっても「自社らしさ」というものは生まれません。

企業文化を育てるためには中途採用だけに頼るのではなく、一から社員を育てる新卒採用とのバランスを考えていく必要があります。

中途採用のデメリットをカバーする5つの方法

1. 採用段階で柔軟性がある人材か見極める

中途採用のデメリットの1つとして、自社のやり方や文化に馴染めないという課題があります。

そのような課題をなくすためには、書類選考、採用面接の段階で柔軟性を見極める必要があります。

過去に転職した際、転職先でも成果を出している方は柔軟性がある可能性が高いです。

採用面接の際、環境が変わった場合にどのように考え、どのように行動できるのかを事前に確認しておきましょう。

2. 採用段階で将来の退職リスクを見極める

入社後、転職による退職をしてしまう可能性があるのも、中途採用のデメリットの1つです。

転職するリスクを0にはできませんが、採用段階で将来の退職リスクをある程度見極めることはできます。

今回の転職、または過去の転職では、どのような理由で転職したかを深堀りしましょう。

その要因が自社で今後起こり得る可能性がある場合は、採用を検討する必要もでてきます。

また、入社後、適正な評価や采配をしていくことも、転職を回避するために重要なことです。

評価されない、やりがいがないという状況を作らないためにも、入社後もしっかりと社員を見ていく必要があります。

3. 採用チャネルを広げる

中途採用は、新卒採用と比較して採用コストがかかることもデメリットの1つです。

しかし、採用チャネルを広げることで採用コストを抑えることができます。

リファラル採用、SNS採用などを活用することで採用コストを抑えることができ、優秀な人材と出会う機会も広げることができます。

視野を広げ、採用チャネルを増やしていきましょう。

4. 大規模採用は時間をかけて行う

中途採用のデメリットの1つとして、一括採用には不向きであるという性質があります。

中途採用では、求職者の入社希望時期はバラバラです。

そのため、新規事業の立ち上げや事業拡大を行う際は、入社までの期間に余裕を持って行う必要があります。

極端な急募で一括採用を行っている企業もありますが、人材の質を担保できず、入社後に問題が発生してしまうこともあります。

大量数の採用を行う際は、時間に余裕を持って採用活動を行うようにしましょう。

5. 入社段階で企業風土とのマッチングを確認する

企業文化にマッチングしない可能性があるというのも、中途採用のデメリットの1つです。

そのようなデメリットをなくすためには、採用段階で企業風土とマッチするか注意してみていく必要があります。

即戦力や必要な能力ばかりを重視してしまうことで、入社後に自社の風土とはマッチしないということが起こり得ます。

採用面接の段階で、人材の人柄や価値観といった部分を深堀りしてみましょう。また、自社の風土についてもどう思うか質問してみることで、ミスマッチングを効果的に防ぐことができます。

まとめ

今回は中途採用のメリット・デメリットについて解説いたしました。

中途採用は、企業の目標を達成するうえでの重要な採用手法です。

中途採用の特性上、デメリットとなる要素もありますが、事前に対策を打つことが可能です。

当社のコラムでは、今後も中途採用を成功させるためのポイントについて解説していきますので、中途採用の理解を深め、企業の重要な資源でもある人材の質を高めていきましょう。

中途採用の5つのメリット
1. 即戦力を獲得できる
2. 他社で培った専門性の高いスキルやノウハウを取り入れられる
3. 人材育成にかかる時間やコストを最小限に抑えられる
4. 必要性に応じた入社時期の調整ができる
5. 精度の高い採用活動ができる
中途採用の5つのデメリット
1. 自社にマッチできない可能性がある
2. 転職による退職リスクがある
3. 採用コストがかかる
4. 一括採用には向いていない
5. 企業文化を育てるのに時間がかかる
中途採用のデメリットをカバーする5つの方法
1. 採用段階で柔軟性がある人材か見極める
2. 採用段階で将来の退職リスクを見極める
3. 採用チャネルを広げる
4. 大規模採用は時間をかけて行う
5. 入社段階で企業風土とのマッチングを確認する