【質問集付き】1on1面談の100のテーマ例と選び方のコツを解説します!
「部下と1on1面談をすることになったけど、共通の話題がない」
「1on1面談では何を話すべきかわからない」
「会話が続かず、沈黙の時間が決まずい」
「ただの雑談になってしまっている」
このような悩みを抱えている1on1面談の担当者もいるのではないでしょうか。1on1面談の目的を意識しないまま、時間をやりすごすためだけの話題選びをしてしまうと、せっかく時間を割いて行う1on1面談も意味のないものになってしまいます。
今回は効果的な1on1面談を実施するために意識すべき面談の目的から、参考になるテーマ、テーマ選定のコツをご紹介します!
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1on1面談の目的
1on1の目的は、面談対象である部下の成長を促すことです。1on1面談を定期的に実施すれば部下のキャリアや日々の業務、プライベートなどあらゆる悩みや不安を早期に洗い出して払拭することや、曖昧だった目標を明確化し意欲を高める効果が期待できます。
これらの効果が部下の成長促進に繋がり、さらにはチーム・組織全体の組織力の強化も図ることができます。
このように1on1面談をより効果的なものにするためには、部下が何に悩んでいるのか、現状の目標はどれだけ具体的なのかを適切に聞き出すことが重要です。
1on1面談のテーマの決め方
定期的に繰り返す1on1面談でも選ぶテーマによって内容は全く異なります。では、話すべきテーマはどのように選べばよいでしょうか。
大前提として、1on1面談では「これについて話せばよい」という正解はありません。
基本的には当人同士で話したい内容を自由に話して、その内容から部下の状態を把握することで1on1面談は成立します。しかし、「自由に話していいと言われても何を話せばいいのかわからない」「そもそもテーマはどのようなものがあるのかわからない」と悩みを抱える人が多いのも事実です。
そのように悩まれている方は以下のような基準でテーマを選んでみるといいでしょう。
毎回の面談で話したいテーマ
- プライベートに関する質問
- 健康に関する質問
- モチベーション維持に関する質問
- 日々の業務に関する質問
これらの質問は日常に関するテーマなのであまり期間をあけずに、毎回の面談で話すといいでしょう。
プライベートに関する質問は面談の冒頭に行うことによって、緊張をほぐすアイスブレイク的な役割を果たせます。また、仕事以外の話をすることで部下の人となりや仕事以外の一面を把握することができるので、その後の面談をより効果的なものにしてくれるでしょう。
部下の健康状態やモチベーションの度合いは日によって変わりやすいため、毎回聞くようにしましょう。
日々の業務は仕事に関する悩みや不安に一番影響を及ぼしやすいです。普段から部下の仕事ぶりを見ていて、特に変化を感じられなかったとしても、周囲には気づかれない不安や悩みを抱えている可能性があるので、頻繁にヒアリングすることを意識しましょう。
状況によって話したいテーマ
- 目標達成に関する質問
- 将来ビジョンに関する質問
これらのテーマは頻繁にヒアリングする必要のないテーマ、普段の業務ではあまり話す機会がないテーマです。
毎回の面談で聞く必要がないぶん、上記のテーマについて話す際はきちんと時間を割き、丁寧に面談をすることが大切です。
上記のテーマから部下が話したいものを選んでもらうことが一番ですが、「年度末だから来期の目標について話そう」などと部下や業務の状態から上司が判断するのもいいでしょう。
1on1面談のテーマ一覧
日々の業務に関する質問
1つ目は日々の業務に関するテーマです。日常的に行う業務は悩みや不満や悩みの要因になることが多いです。
業務上の人間関係やどのようなポイントにストレスを抱えるのかなど、あまり踏み込んだ質問をしなくても部下の現状を把握しやすいので、面談初期の相互理解の段階ではこのテーマを中心に面談を行うといいでしょう。
また、部下から業務に関してヒアリングすることで部下個人の現状だけでなく、チーム・組織全体の現状や課題も把握することができます。
- 今携わっている業務は何をしているの?
- 毎日の仕事で大変なことはある?
- こうしたらもっとよくなると思う業務は?
- 最近の仕事で上手くいったことは何?
- 最近の仕事で上手くいかなかったことは何?
- 今後どのように業務を進めたらいいと思う?
- 仕事において何が大事だと思う?
- 現状の課題は何?
- 業務上でサポートしてほしいことはある?
- 業務で関わる人はどのような人?
- 人間関係で困っていることはある?
- 現時点で自分が出せる最大のパフォーマンスはなんだと思う?
- 自分の仕事で改善すべきことはある?
- 強みを伸ばすにあたって会社からどのようなサポートが必要だと思う?
- 仕事の難易度や量は適切だと思う?
- 最近、仕事は順調に進んでいる?
- チームワークで困っていることはある?
- 上司や同僚に改善してほしいと思うことはある?
- 自分の改善したい点はある?
目標達成に関する質問
今現在設定している目標や自己評価についても共有するといいでしょう。部下の設定した目標に対して、実現可能かどうか、妥当であるかを擦り合わせて、現状の能力に見合った目標を客観的な視点から再設定することができます。
また、目標を設定した理由をヒアリングしたり、自身のはたらきについて自己評価をさせたりすることで部下自身も自分を客観的に見ることができ、目標をより明確化することも期待できます。
このテーマは部下の現状を細かく把握した状態の方か、効果的な面談になる話題なので、部下の現状を把握するために日々の業務やプライベート、健康状態に関する質問などとセットで行うとよいでしょう。
- 今期の目標は何?
- 今の目標を設定した理由は?
- 前回の目標はどうやって達成した?
- 今回はどのように目標を達成しようと思っている?
- 現状の目標に対してどう思う?
- 目標達成できた理由はなんだと思う?
- 目標達成には何が必要だと思う?
- 現在の能力で目標達成するにはどの程度の困難があると感じる?
- 今期の目標に妥当性を感じる?
- 目標達成に向けて会社からの支援は充分だった?
- 所属する部課署に対してどのような貢献をした?
- 来期挑戦したいと考えていることはある?
- 他者からはどのように評価されている?
- 現状の自分の評価は?
- 目標達成できなかった場合、何が足りなかったと思う?
- 今期のチームでの目標は何?
将来ビジョンに関する質問
定期的に更新する目標設定よりも少し抽象的かつスケールの大きな話になりますが、キャリアについてヒアリングすることも1on1面談における重要なテーマです。
上司に個人のキャリアプランについて相談できる機会は部下にとって貴重な時間です。1on1面談で、部下自身がどのように成長したいかを明確にし、それが実現できるようなキャリア支援を行えると理想的です。
部下の将来ビジョンがはっきりしている場合は、現状の業務でそのビジョンが達成できるのかの擦り合わせを行い、はっきりしていない場合は選択肢の幅を広げるために多くの可能性を提示してあげるといいでしょう。
- 今後はどのようなキャリアを形成したいと考えている?
- 5年後に何をしていたい?
- 10年後に何をしていたい?
- 仕事を通して何を成し遂げたい?
- 他の仕事への興味はない?
- 能力開発にあたって独自で工夫していることは何?
- 仕事でなにかチャレンジしたいことはある?
- どのようなライフプランを考えている?
- 身につけたいスキルはある?
- 導入してほしい働き方はある?
- 将来はどのような自分になっていたい?
- 理想の働き方は?
- 就きたい役職はある?
- 自分の現在の短所、長所は何だと思う?
- 今後伸ばしていきたい強みはなに?
- 今後改善したい短所はなに?
- 続けていきたいと感じる業務はある?
健康状態に関する質問
ストレスなく働くためには心身ともに健康な状態であることが大切です。体調やメンタル面に不調がある場合は、要因がわかっているのか、改善できるものなのかをヒアリングし、職場に関するものであれば直ちに改善を心がけましょう。
面談以外の普段の様子から部下の健康状態を把握することは重要ですが、特にメンタル面は一見ではわかりづらいため、身体の健康状態よりも丁寧に聞き出しましょう。
- 最近はよく眠れている?
- 週末は休めている?
- 何かリフレッシュする方法はある?
- 悩みを相談できる人はいる?
- ストレスを感じたらどう対処している?
- 最近、疲れを感じている?
- 健康面で気になることはある?
- 食事で気を付けていることはある?
- 最近、体力がないと感じることはある?
- 何か体を動かすことはしている?
- 規則正しい生活を送れている?
- 人間関係で悩みはない?
- ストレスを感じることはない?
- 業務量は負担になっていない?
- 寝覚めは良い?
- 健康上、企業は考慮したほうがいいことはある?
プライベートに関する質問
プライベートに関する質問をし、業務以外の部下の側面を把握することも面談を行ううえで重要です。業務に関する話題だけでは把握できない悩みなども把握でき、業務上でパフォーマンスが落ちた際に迅速にフォローすることが可能です。
またプライベートな話題で盛り上がれば、普段業務でしか関わらない関係でも緊張を和らげ、心理的距離を近づけることができます。
部下の心理的安全性を高めることで、その後の面談もスムーズに実施できたり、打ち明けにくい悩みを相談してくれたりとより1on1面談の効果を高めることができます。
- 何か趣味はある?
- 休日は何して過ごすの?
- 最近、興味のあることは?
- 何か買いたいものある?
- 仕事終わりは何をするの?
- 仕事以外で何か困っていることはある?
- 人間関係の悩みはある?
- 何かスポーツはしているの?
- 地元はどこ?
- 1人暮らしで大変なことはない?
- 遊びに行くならどこに行きたい?
- プライベートで楽しいことはある?
- 長期休暇はどこか旅行に行くの?
- 実家に帰省する予定はある?
- 好きな食べ物はなに?
- 最近嬉しかったことは?
- 最近ハマっていることは?
モチベーション維持のための質問
部下の現状を把握し悩みを解決したり、目標を具体化したりしても部下本人のモチベーションが低ければ、成長にはつながりません。モチベーションに関してヒアリングすることは大切な1on1面談のテーマです。
部下のモチベーションが低下しているようであれば、要因が何かを探り取り除くか、モチベーションを上げる新しい要因を作り出すようなケアを行いましょう。
- 現在の仕事へのモチベーションはどのくらい?
- やる気が起きないと感じることはある?
- 仕事にやりがいを感じている?
- 仕事に刺激を感じている?
- 同じ作業の繰り返しになっていない?
- 仕事で不安に感じることはある?
- どのようなときにがっかりする?
- どのような時にやる気が出る?
- やる気が起きないときはどのように対処している?
- 気分が上がらないときの切り替え方は?
- モチベーションを維持できていると感じる?
- 仕事で自信を持てた体験はなに?
- 仕事以外で気分が上がるものはある?
- 仕事で自信をなくした経験はある?
- 自信をなくした時はどのように切り替えている?
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1on1面談のポイント
クローズドクエスチョンは避ける
1つ目のポイントはクローズドクエスチョンを避けることです。一般的な質問の仕方には、自由に回答ができる「オープンクエスチョン」と回答が「Yes/No」に絞られる「クローズドクエスチョン」の2種類があります。
クローズドクエスチョンは答えやすい一方で、会話が広がりにくいというデメリットがあるため、あまり面談向きの質問方法ではありません。
1on1面談時の質問は部下の悩みを聞き出したり、自己理解を深めたりすることなので、クローズドクエスチョンは避け、自分の考えを話しやすいオープンクエスチョンで質問するように意識しましょう。
解決案をその場で提案する
悩みを聞いてもらうだけでスッキリするという場合もありますが、1on1面談という貴重な時間で悩みを共有したからには、解決策を考え、実行に移すとストレスの要因を排除し部下の成長につながりやすいです。
部下も、ただ共感されるのではなく、「こうしたらどう?」「これはチームに共有するね」など改善案を提示される方が、自分の悩みに対して真剣に向き合ってくれていると感じるのではないでしょうか。
ヒアリングだけで満足するのではなく、どう改善していくかまでをセットで面談できるといいでしょう。
現場任せにせず、会社全体で1on1面談に取り組む
1on1面談を現場の担当者に一任するのではなく、会社は1on1面談を部下育成の仕組みの1つとして機能するように整備する必要があります。
部長や課長といった責任者が変わるタイミングで1on1面談が機能しなくなるということがないように、担当者が1on1面談の正しい知識を得られる研修などの機会や、実施時のフォローなどを会社としてサポートしていく姿勢が重要です。
1on1面談の導入事例
ヤフー株式会社
ヤフー株式会社は、人材育成において「社員の才能と情熱を解き放つ」という基本方針を掲げていました。この方針を実践するために、日本でいち早く導入されたのが1on1面談です。
ヤフー株式会社は、1on1面談において「社員の経験学習を促進すること」を重要視しました。経験学習とは、組織行動学者デービッド・コルブが提唱した「経験から学ぶことに重きを置く人材育成手法」です。 経験から学ぶためには、経験を振り返りフィードバックを行うことが必要となります。そこで、ヤフー株式会社では、上司との対話により部下が日常業務の経験を思い出し深く内省することで成長につながるような1on1面談が実施されています。
ヤフー株式会社の1on1面談は、上司の「今日は何を話そうか」という切り出しで始まり、部下が話すテーマを決定するとのこと。部下が一人では気づかない改善点を、上司が対話を通して客観的な視点で指摘することで部下の気づきを促すことができます。
【参考】本間浩輔 著『ヤフーの1on1―部下を成長させるコミュニケーションの技法』2017年
まとめ
今回は1on1面談で話したいテーマについて、選び方や質問例などをご紹介しました。目的もわからないまま、面談を行ってもただの雑談の場となってしまい、部下の現状を把握することも、改善案を見つけることもできなくなってしまいます。
部下が悩みや不安を抱えることなく成長していくために、しっかりと部下とのコミュニケーションの場を作り、今後のキャリア実現や現状のモチベーションアップに繋げられるケアをしていきましょう。