【今日からできる】部下が成長する指示の出し方のコツ3選


【今日からできる】部下が成長する指示の出し方のコツ3選

最近は「部下への指示」に苦手意識を持つ管理職の方もいらっしゃるようです。

たしかに部下への指示は意外に難しく、「指示が細かすぎる」「指示を全然出さない」と、業務に関わりすぎても、任せ過ぎても、部下から不満が出てしまうことがあります。とはいえ、部下に指示を出すのは上司の重要な任務。そして、指示の出し方次第では、部下のやる気を引き出し、能力を最大限発揮してもらうこともできます。

そんな部下が成長する「指示の出し方」を知っておきましょう。

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 部下が成長する指示の出し方とは

1. 仕事の目的・背景と優先順位を伝える

部下への指示では、「何のためにこの仕事をやるのか?」という「目的・背景」と、仕事を進める上での「優先順位」を明確にします。急ぎの仕事で、取り急ぎ内容だけを指示した場合でも、後で時間のある時にできる限り目的や背景を伝えるようにしましょう。

「何をいつまでにやったらいいのか」という業務内容や期日は伝えても、「何のためにやるのか」という目的は、意外に語られることが少ないものです。

営業なら、目標数字は指示するけれど、お客様に提供するサービスや商品の価値やその目的については特に語らない。事務職なら、資料作成の指示はするけれど、何のための資料かを伝えていない…ということも多いのではないでしょうか。業務内容と期日を伝えれば事は足りますが、仕事の目的や背景を伝えれば「何のためにその仕事をするか」が明確になり、仕事に対する部下のモチベーションが大きく変わってきます。

例えば、自社サイトで製品を販売している会社で、その売上が減少したのを機にサイトのリニューアルを指示する例をみてみましょう。

(A)「サイトがちょっとわかりにくいから、リニューアルの検討を進めてほしい。」
(B)「お客様にとって、より使いやすく、必要な製品がすぐに探せるようなサイトにしたい。サイトの売上は我が社にとっても重要だから、リニューアルの検討を進めてほしい。リニューアルのポイントは、一番は使いやすいこと。次が・・・。」

(A)と(B)では、どちらの指示がわかりやすく、その仕事をやる気になるでしょうか。
おそらく多くの方が(B)と感じるのではないかと思います。

「目的なんて、言わなくてもわかっているだろう。」と思っていても、伝わっていないことはよくあります。何のために仕事をしているのかわからないと、仕事のモチベーションも上がりません。またその仕事で重要視すべき優先順位も、「わかっているだろう」では伝わっていないこともあり、そのまま進めるとピントがずれてしまうこともあります。

指示する時には、目標だけでなく目的や背景、そして優先順位を必ず伝えるようにしましょう。

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2.「抽象的すぎ」「具体的すぎ」どちらもNG

部下に指示を出す場合、「目的・背景」と「優先順位」を伝えることは、どんな部下にも共通しています。しかしその具体的な指示の「抽象度」は、部下の経験値や性格に合わせた調整が必要です。まずは自分の指示の出し方が、抽象的なのか具体的なのかその特徴を知り、相手に合わせた調整を目指していきましょう。

例えば、課の目標として今週中に50件の新規契約が設定されたとします。その際に、「今週中に50件新規開拓目標、必達で!」で終わってしまうのは、抽象的すぎる例。

反対に、「今週で新規開拓50件が目標だ。そのために○○はA地区、××はB地区、まずは電話アポイントから始めて・・」と手法を細かく指示してしまうのが、具体的すぎる例です。

経験の長い部下に具体的すぎる指示を与えれば、「自由がない」と不満を持ちますし、経験の浅い部下に抽象的すぎる指示を与えれば、「何をしていいかわからない」となります。

また、経験が浅くても自由な発想でチャレンジしたい部下もいれば、経験が長くても手順をしっかり確認したい部下もいるでしょう。「自分で考えてほしい」と、あえて抽象度の高い指示を出すこともあるでしょうが、それも「よっしゃ!」とやる気になるタイプと、「どうしていいかわからない」と立ち止まってしまうタイプがいます。

部下の経験値や性格を考えずに指示を出すと、生産性の低下や部下の不満につながります。部下の経験値と性格をよく理解し、人に合わせて、指示の出し方も変えていきましょう。

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3.「君ならできる」「期待している」の一言とその後のフォローを忘れない

そしてどんな指示も、最後は「君ならできるよ」「期待しているから」「この仕事は、君にしかできない」「よろしくね」と期待を込めて一言添えましょう。その一言で、部下の仕事へのやる気や関心は、格段にアップします。

人は期待されると、期待された通りの成果を発揮しようとし、実際にその期待に応えていきます。これをピグマリオン効果といい、アメリカの教育心理学者のローゼンタールが1960年代に実験によって実証しています。

そして部下が業務を遂行している時に、「どう?」とフォローの一声をかけると一層その効果は増します。これがホーソン効果で、人は「自分の仕事が注目されている」「自分の仕事には意味がある」「気にかけてもらっている」と感じると、生産性に大きな影響がでるものなのです。

声をかけるときには、「必ずやってくれる、成長してくれる」と信じて本心から。するとそれが、現実になっていくことは心理学でも実証されています。ぜひそのテクニックを、ビジネスの場面でも活用していきましょう。

部下が成長するような指示の出し方を

部下へ指示をするのは、仕事の目的や背景を共有し、部下への期待を伝える絶好の機会でもあります。その指示の出し方次第で、部下はやる気を出して成果を上げ、大きく成長してくれることもあれば、反対にやる気を失い、生産性が下がってしまうこともあります。

話の抽象度を、部下の経験や性格によって使い分けるのは難しいように感じるかもしれませんが、最初に「目的や背景、優先順位を伝える」ことができ、部下がそれを理解していれば、仕事を進めながら、いくらでも修正していくことができます。

上司の指示の出し方が適切か、その後のフォローがあるかないかで、部下の成長は大きく変わってきます。部下の育成につながるような指示を心がけていきましょう。