【人事必見】実は理解できていない、正しい中途採用の流れとは?


【人事必見】実は理解できていない、正しい中途採用の流れとは?

企業の課題に応じて素早い対応ができる、中途採用。

新規事業、事業の拡大、在籍社員の退職など、様々な理由に応じて必要な人員を即戦力として獲得できるのが中途採用の強みです。

このように多種多様な企業課題へ柔軟に対応できるため、中途採用はほぼ全ての企業が活用している採用手法です。

中途採用を行う際、採用活動を成功させるためには準備が必要です。

採用活動を場当たり的に対応していては、中途採用にかける時間や費用面での負担が増えるだけでなく、欲しい人材を獲得できないという結果になりかねません。

今回は、人事が中途採用を始める際にやるべきことの流れを解説していきます。

現時点で中途採用は行っているものの重要な工程を疎かにしてしまっている企業も多いようです。

今回の記事を読んでいただき、今一度、中途採用の流れを把握し、不足している部分については対処を行い中途採用の効率を上げていきましょう。

中途採用を始める際の大枠の流れとは

採用活動を行っていない企業が0から中途採用を立ち上げる際、人事や経営層が行うべき工程について解説します。

こちらは中途採用を立ち上げる方向けの内容ではありますが、現在、中途採用を行っている企業の方にも読んでいただきたい内容です。

現在、中途採用を行っていても、どこかの工程を疎かにしてしまっている可能性も高いからです。

この大枠部分を理解していないと、中途採用の軸を作ることはできません。

中途採用の効率を最大化するためにも、まずは大枠の流れを理解していきましょう。

採用もマーケティングが必要

マーケティングと聞くと、モノやサービスを売る活動が浮かぶでしょう。

このマーケティングの考え方は、採用活動にも当てはめることが可能です。

マーケティングを採用に活用することを、採用マーケティングと言います。

昨今、多くの企業が採用マーケティングに力を入れています。

マーケティングの考え方で分かりやすく本質をとらえているのが、森岡毅さんの考えるフレームワークです。森岡さんは、マーケティングでUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)をV字回復させた立役者として知られています。

森岡さんはマーケティング活動を行う際、下記の順番でブレイクダウン(=細分化)して考える必要があることを伝えています。

1. 戦況分析 → 2. 目的 → 3. 目標

これは採用マーケティングにも通ずる考え方です。

採用マーケティングをする際も、この手順を基本として考えていくことが重要です。

それでは順番に解説していきます。

1. 「戦況分析」を行う

まず、採用マーケティングを始める際は、戦況を分析する必要があります。

採用マーケティングでいう戦況分析とは、「現在の企業の状態」、「競合の動き」、「市場の動き」などを指します。

自社、競合、市場をそれぞれ分析することで、自社の課題も見えてきます。

最初のステップとしては、今置かれている状況を理解することです。

戦況分析なくして採用マーケティングを進めても、現実を見ていない実現可能性の低いものになります。

まずは、戦況をしっかりと分析する必要があります。

2. 「採用の目的」を決定する

自社、競合、市場それぞれの戦況分析を理解したうえで、採用の目的を決定します。

採用の目的とは、「採用を通してどのようなことを成し遂げたいのか」ということです。

これは採用活動において一番重要なことです。

しかし、採用の目的を聞かれた際、人事担当者がすぐに答えられない企業も多いのが現状です。

人材を獲得するというのは目的ではありません。人材を獲得して「何を成し遂げたいのか」が目的になります。

「世界で活躍する企業になる」、「⚪︎⚪︎の業種でトップになる」、「▲▲という社会課題を解決する」といったように、各企業によって企業活動の目的がそれぞれにあります。

企業活動の目的を採用活動の側面からアプローチするのが、採用の目的です。

例えば、企業活動の目的が「世界で活躍する企業になる」ならば、採用の目的は「グローバルに活躍できる人材を増やしていく」などが考えられます。

企業活動の目的と採用の目的がズレていては、採用活動をする意味がありません。

そのため、採用活動を始める際には、経営層や人事で採用活動の目的を明確にしておく必要があります。

3. 「採用の目標」を決定する

採用の目的が決定したら、採用の目標にブレイクダウンしていきます。

目的と目標は混同されがちですが、目的とは最終的に成し遂げようとする事柄であり、目標は目的を成し遂げるための指標を指します。

具体的には「どのような人材を・いつまでに・どの部署に・何人・どのくらいの採用コストで」を盛り込んだ内容が採用目標になります。

採用目標が具体化されることで、どのようなアクションをとればよいか明確になり、具体的な計画とアクションに落とし込んでいくことが可能になります。

また、採用目標を決めることで歩留まりを解消できるようになります。

「歩留まり」とは、採用活動のどこかの段階で上手く進んでいないことを言います。

採用目標を明確にすることで、進捗が上手くいっていない時、採用目標と照らし合わせ、どこに問題があるのかを確認することができます。

課題が浮き彫りになれば、課題解消へのアクションへ繋げることができるようになります。

4. 採用計画を立てる

採用の目標が決まったら、その目標をどのように達成していくのか計画を立てていきましょう。

採用ペルソナの設計、採用手法の選別、採用基準の設定、スケジューリングなどが採用計画を作る際に考えるべきことです。

採用計画を作る際は、計画を達成するための指標としてKPI(Key Performance Indicator)を設定しましょう。

KPIとは「重要業績評価指標」のことを指し、目標達成のための指標となる数値のことです。

例えば、「何人採用するのか」という目標に対してのKPIは求人応募数、履歴書通過率、一次面接通過率などを指します。

細分化して指標を数値化することで、各KPIに対して、より具体的なアクションをとることができるようになります。

このように、中途採用の活動を開始する際は、

1. 戦況分析 → 2. 採用目的 → 3. 採用目標 → 4. 採用計画

この順で本質的なものから具体的なものに落とし込んでいく必要があります。

ここまでできれば、採用活動の大枠は出来上がりです。

あとは実際に採用活動を行う際の採用フローへ繋げていきます。

中途採用フローの9ステップとは

中途採用活動の大枠の設定ができたら、次は実際に採用活動を行えるよう採用フローに着手しましょう。

採用フローは以下のような流れで作成していきます。

1. 採用ペルソナの設定
2. 採用要件の決定
3. 採用手法の決定
4. 採用活動のスケジューリング
5. 募集の開始
6. 書類選考
7. 面接
8. 採用判断
9. 内定通知

それでは順番に解説していきます。

1. 採用ペルソナの設定

採用フローに着手する際、一番にやるべきことは採用ペルソナの設定です。

採用ペルソナとは、自社が求める理想の人物像です。

価値観や思考傾向など、ターゲットよりもさらに詳細を定義し、架空の人物像が浮かぶレベルまで設定していくことが重要です。

採用ペルソナは採用フローの軸です。

求人の募集をかける際も、採用判断をする際も、採用ペルソナを軸として進めていきます。

どのような人物を採用したいのかが不明確のまま採用活動を進めても、採用目的をクリアすることはできません。

前述した採用目的を確認し、採用目的にあった採用ペルソナを設定しましょう。

2. 採用要件の決定

採用ペルソナの設定が完了したら、次に採用判断の基準となる「採用要件」を決定していきます。

採用ペルソナで設定した要素を、採用要件として抜粋します。

主な採用要件は、以下の通りです。

・資格
・スキル(どのようなことができるか)
・過去の業務経験(関連業務で働いた実績があるか)
・行動特性(思考傾向、価値観)
・自社ビジョンとのマッチング

このような観点で考え、採用要件を決定していきましょう。

採用要件を決定する際は抽象的な表現は避け、採用に携わる関係者の誰が見ても同じ認識となるよう心がけて設定しましょう。

3. 採用手法の決定

求める人物像を具体化した後は、求める人物をどのように獲得するかという「採用手法」を決定していきましょう。

採用手法にも様々な種類があります。

一般的には、求人媒体、人材紹介サービスが現在の主流になっていますが、その他にリファラル採用、SNS採用、ダイレクトリクルーティングなどもあります。

それぞれの採用手法には、メリット・デメリットがありますので、自社の求める人物を獲得するためにはどの採用手法が適しているかを考えていきましょう。

4. 採用活動のスケジューリング

求める人物像、採用手法などが決定したら、実際のスケジュールに落とし込んでいきましょう。

スケジュールを設定することで、チーム全体が同じ方向性を見て計画を遂行できるようになります。

いつまでに何をやるか、いつまでにどのような状態になっていればよいかを考え、現実的なスケジュールを組み立てていきましょう。

5. 募集の開始

 

ここまでできたら、実際に募集をかけていきましょう。

決定した採用要件、採用手法、スケジュールに沿って募集をかけていきます。

求人の募集で大事なのは、募集をかけた後です。募集をかけた後は、必ず進捗を追うようにしましょう。

各採用手法にどれくらいの反響があったか、採用計画に沿った数値に達しているかどうかを確認する必要があります。

もし応募が少ない場合は、採用手法を増やすことや出稿枠を増やすといった選択も必要です。

それでも反響が来ない場合は、採用要件を見直した方が良いこともあります。

進捗を確認しながら、適宜、修正していきましょう。

6. 書類選考

募集をかければ、応募が来るはずです。応募が来たら、求職者の必要書類を確認していきましょう。

多くの場合、求職者は応募時に履歴書と職務経歴書を送ります。

職務経歴書では、今まで何を経験してきたか、何ができるのかといったポイントを中心に確認しましょう。

履歴書では、採用要件を満たしているか、どのような志望動機があるかといったポイントに着目しましょう。

上記のようなポイントをもとに、まずは書類からの情報で採用可否を判断します。

書類選考で歩留まりする場合は、採用要件が厳しすぎていないか確認するとよいでしょう。

また、採用手法が適していないと、採用ペルソナとは異なる人材からの応募率が増え、書類通過率が悪くなります。

採用手法が適した方法であるか、随時、確認を行っていきましょう。

7. 採用面接

次の段階では、書類選考を通過した求職者と採用面接を行っていきます。

応募書類だけでは確認できない部分を中心に、採用面接でヒアリングを行います。

採用面接の時間は短すぎても確認不足が発生し、長すぎても集中力を欠いた中身の薄い面接となってしまいます。

アイスブレイクから自社の説明なども含めて、1時間前後の設定を目安にするとよいでしょう。

採用面接は、以下のような流れで進めます。

・アイスブレイク
・自己紹介
・志望動機の確認
・採用担当者からのヒアリング
・自社の説明
・質疑応答
・クロージング

必ずしもこの順番で進める必要はなく、ヒアリング前に自社の説明を持ってくるなど工夫をしてみても良よいでしょう。

採用面接では、限られた時間の中で自社が求める人物であるかどうかを判断する必要があるため、ロジカルシンキング、質問力などが問われます。

採用担当者は、深堀りをするポイントの見極めや本音を引き出すための質問など面接の技術が求められますので、トレーニングによって効果的な面接を行う力を養う必要があります。

人事にて、採用面接を行う担当者にはトレーニングを行うようにしましょう。

8. 採用判断

面接が終わった後は、採用判断へと進みます。

応募書類の情報と、採用面接で得た情報から、自社で求める人物であるかどうかの判断を下します。

ここで大事なのは、面接の雰囲気で判断するのではなく、冷静になって採用目的や採用要件と照らし合わせて判断することです。

面接の印象で判断してしまうと、軸からズレた採用となり、ミスマッチングになる可能性が高くなります。

必ず軸に沿った採用判断を行うようにしましょう。

9. 内定通知

採用が決定したら、内定者へ内定の通知をしましょう。

内定者が他の企業に獲得されてしまう可能性もあるため、採用決定後は速やかに内定通知を行う必要があります。

内定通知後は、内定者の不安を取り除けるよう、質疑応答などの機会を作るのがよいでしょう。

質疑応答の機会を作ることで、入社率を高めるほか、ミスマッチをなくすということにも繋がります。

内定受諾で歩留まりする場合は、面接で自社の魅力を伝えきれていない可能性があります。

面接内容をフィードバックして、改善策を考えていきましょう。

まとめ

以上、中途採用を始める際の大枠の流れ、実際に中途採用を行う際の採用フローについての解説でした。

中途採用に取り組んでいる企業でも、どこかの工程が抜けてしまっていることは多くあります。

抜けている工程が上流であればあるほど、採用活動自体に大きなズレを生みます。

今現在、中途採用を行なっている企業、これから中途採用を行う企業のどちらも、今一度、中途採用の流れを見直して、軸に沿った効果的な採用活動を行っていきましょう。

◆採用にもマーケティングの考え方を取り入れることが可能
◆中途採用を始める際の大枠の流れとは
1. 「戦況分析」を行う
2. 「採用の目的」を決定する
3. 「採用の目標」を決定する
4. 採用計画を立てる◆中途採用フローの9ステップとは
1. 採用ペルソナの設定
2. 採用要件の決定
3. 採用手法の決定
4. 採用活動のスケジューリング
5. 募集の開始
6. 書類選考
7. 面接
8. 採用判断
9. 内定通知