アルバイトの指導方法|やる気を生みだすコミュニケーション術


アルバイトの指導方法|やる気を生みだすコミュニケーション術

「何とかうちのパートやアルバイトにも、仕事にもう少しやる気を出してもらえないものか…」

現場でそんな課題を感じていたら、パートやアルバイトの従業員へのコミュニケーションを見直してみませんか。

パートやアルバイトが仕事を辞める原因で最も多いのは「職場の人間関係」と言われています。パートやアルバイトのやる気がないのは、職場のコミュニケーションに原因があるかもしれません。そこで今回は、やる気を生み出す日常の指導方法、コミュニケーション術を紹介します

「いつもありがとう」感謝の言葉を小まめに

若者や部下の指導方法では、よく褒めることが推奨されています。しかし実際の現場では、「どこを褒めたらいいのかわからない」「褒めるような仕事をしていない」ということが多いかもしれません。

もし褒めることに困ったら、小さな感謝の気持ちを伝えていきましょう。

「○○さん、いつも助かるよ」
「○○さんは、本当に頼りになるね」

等、ちょっとしたことで構いません。「いてくれて役に立っている」という気持ちを、言葉にして伝えてください。当たり前の仕事であっても、誰かにやってもらわなければ困る仕事はたくさんあります。
清掃一つとってもそうです。それを「当り前」にせず、「いつもありがとう」にしましょう。

人は誰かに感謝され、役に立っていると感じると、モチベーションも高まります。感謝の気持ちを小まめに伝えて、「自分はこの職場で役に立っているのだ」とパート・アルバイトに感じてもらうようにしましょう。

 

頑張っていること、努力していることを気づいて認める

 

たとえ優れていなくても、本人が努力していること、頑張っていることに気づき、認めてあげることも大切です。「掃除をいつも丁寧にしている」「いつも笑顔で接客するようにしている」など、パート・アルバイト一人ひとりをきちんと見て、本人が努力している、頑張っていることを見つけ出してみてください。見つけたら、それを本人に伝えていきましょう。

「○○さん、この前よりも××がスムーズになりましたね」
「○○さんのさっきの対応、お客様がとても喜んでいましたね」
「いつも時間に正確ですね」
「いつも笑顔がいいですね」

等、やはりちょっとしたことや当たり前のことでよいのです。それを伝えることで、「ちゃんと見てくれている」「認めてくれている」と相手は感じます。自分の努力が認めてもらえるからこそ、「もっとがんばろう」と人はやる気になります。

さらに、この調子なら、○○もできる」「××さんなら、△△もできる」と、今より少しレベルの高いこと、少し頑張ればできるような仕事や目標も振ってみましょう。

これは心理学で「ピグマリオン効果」といいます。人は他人に期待された通りの成果を出そうと頑張る傾向があり、本気で期待すればするほどその成果は出やすくなります。こうした一言の声かけで、相手のやる気を生み出し、成長を促せるのです。

 

叱る時のルールは、「すぐに」「1対1で」「褒めてから」

パート・アルバイトの指導では、仕事を認めるだけでなく、叱らなければならない場面もあります。最近は「叱るのが苦手」という現場のリーダーも少なくありませんが、指導すべきことは伝えなければなりません。

パートやアルバイトを叱る場面では、その効果を上げるためにも、

  • 1対1の場所で
  • できる限り直後に
  • 手短に相手を褒めて(認めてから)

という3点を意識するようにしましょう。

1対1の場所で叱るのは、人前で叱られるのは誰でも恥ずかしいからです。「皆の前で叱られた、恥ずかしい思いをした」という感情が優先してしまい、本来改善すべき点に意識が向かなければ本末転倒になってしまいます。

できる限り直後に手短にするのは、忘れた頃に叱っても「何で今さら…」となってしまい、必要以上に長く叱るのも逆効果になるからです。パートやアルバイトの行為にイライラしてしまい、「今叱ったら、感情的にあたってしまいそう」という状況でない限り、できるだけすぐ1対1の場所に呼び出しましょう。

そして最も大切なのが、3つめの「相手を褒めて(認めて)から」です。

人は、いきなり叱られると相手に反感を感じたり、保身に走ったりと、意見を素直に聞き入れにくくなります。そこで、叱るポイントをきちんと受け入れてもらうためにも、「○○はよくできているのだけれど、××はこうしたほうがいい」等、まずは相手のことを1つ認めてから叱るようにしましょう。

また、言うまでもありませんが、感情的に怒ったり、人格を否定したり、ネチネチと同じことを何度も言ったり、他の同僚やお客様の前で叱るというのはNGです。こうした対応をすると、肝心の「何がいけなかったのか、何をすべきだったのか」が全く頭に残らず、「店長・職場の雰囲気が悪い」と退職の理由になってしまいます。

アルバイトをきちんと「見る」ことが大切

これらのやる気を生み出すコミュニケーションに共通して必要なのが、「パートやアルバイトの仕事をしっかり見る」ことです。

相手をしっかり見ていなければ、本人が何に努力していて、何に問題があるのか、わかりません。特に失敗やミスは目につきやすいですが、地味に努力していること、以前と比べて良くなったことはなかなか気づきにくいものです。

だからこそ、現場のリーダーがそこに気づくことで、「この人はきちんと見てくれている」という信頼が生まれます
その信頼がベースにあるからこそ、業務上の指導を聞き入れやすくなり、「この人が期待してくれるから頑張ろう」とやる気につながります。

やる気は相手を気遣うコミュニケーションから生まれます。パートやアルバイトのやる気を引き出すためにも、相手のことをきちんと見て、認める声かけを心がけてみましょう。

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この記事の監修者:長井 亮

1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。