部下とコミュニケーションがとれない!上司ができる3つのこと
部下とコミュニケーションをとるのは、マネジメントの基本ではあります。しかし、部下とコミュニケーションがなかなかとれない状況は、いろいろな理由から発生します。
自分や部下の仕事が忙しい、話しかけてはいるけれども反応がないなど、コミュニケーションをとる意思があってもなかなか難しかったり、あるいは管理職にはなったけれども実は自分自身があまり雑談などのコミュニケーションが得意ではなかったり…。
これらをひっくるめれば、「部下とのコミュニケーションはよくとれています!」と自信をもって言える人のほうが、少数派ではないでしょうか。
そんな「部下とコミュニケーションが取れない」状況を改善するために、日常でこんな行動から見直してみませんか。
何を話していいかわからない
「最近の若い人は何を考えているかわからないから、部下と何を話していいかわからない」
「プライベートなことを聞いたら、嫌がられるかも」
「部下とのコミュニケーション」を「雑談で、プライベートなことも含めていろいろ話をすること」と考えてしまうあまり、このように「何を話したらいいのかわからない」と思ってしまっていませんか。
もちろん、プライベートのことまでいろいろ話せる信頼関係が部下と築ければそれは素晴らしいですが、いきなりその状態を目指すと確かに「何を話していいのかわからない」となってしまいます。
部下とのコミュニケーションは、
・業務をスムーズに行えるよう情報を共有すること
・仕事を通じた成長をサポートできるよう(会社を辞めず、長く働いてもらえるよう)、部下の考えやモチベーションの状況を理解すること
が大きな目的です。ですからコミュニケーションは、この目的に最も必要で、かつ自分と部下の共通の話題でもある、もっとも話しやすい「仕事の話題」から始めてみましょう。
「昨日A社に提案した件、どうだった?」と、直近の部下の仕事について、報告を待つのではなくこちらから声をかけてもいいですし、「今、決済業務フローの見直しに取り組んでいるんだけど、この案についてどう思う?」等と若手ならではの意見を求めるのもおすすめです。
この時に大切なのは、「相手に興味を持つ」というコミュニケーションの基本のスタンスを思い出し、部下の業務や部下の意見に「興味」をもって聞くことです。上司が興味を持って聞いてくれる姿勢があれば、「実は、A社の担当者は乗り気なんですけど、部長がちょっと価格を気にしているんですよね。来週もう一度提案させていただくことになったんですけど…」と、「ちょっとしたことだけど、大事なこと」まで話しやすくなります。
しかしその「興味」がなく、話しかける口調が「ミーティングでの詰め」のようになってしまうと、部下は都合の悪い情報はうまく濁して「いろいろ見直すことになって、来週もう一度話してきます」と最小限のコミュニケーションで終わらせようとしてしまうかもしれませんので、気を付けましょう。
話しかけても反応が乏しくコミュニケーションが続かない
部下とコミュニケーションを取ろうと思って話しかけているけれど、あまりにも反応がない。会話が続かない…。
このような状況は、自分ではできる限りの行動を起こしているだけに、「もはや自分ではどうにもならない状態」と思えてきてしまいます。「反応が乏しい」には、いくつかの理由が考えられます。
①そもそも人と話をするのが苦手。
②年上の人と話をするのが苦手。
③話した後に、なにか突っ込まれたり、質問されたりとその後に続くコミュニケーションが面倒くさい。
④仕事に集中しているので話したくない。
⑤上司が嫌いなので話をしたくない。
部下とコミュニケ―ションが取れない理由は、どれに当てはまりそうか振り返ってみましょう。
上司に限らず、同僚や先輩社員ともコミュニケーションがあまりとれていない①や②の状態ならば、焦らず、相手が答えやすそうな声掛けを続けてみてください。「声をかける」というのは、その場にいる相手の存在を認めるということ。繰り返し続けることで、慣れてコミュニケーションがとれるようになるかもしれません。
③や④が考えられそうなら、話しかけるタイミングの問題が大きいかもしれません。部下の手が空いているときや、休憩時間などに話しかけてみましょう。また、話しかけた後に、つい「自分語り」をしてしまって話が長くなってしまっていないか、振り返る必要もあります。
⑤のように嫌われてしまった可能性がある場合、できることは限られてはしまいますが、それでも少しでも状況を改善するためにできることをこちらのコラムで詳しく紹介しています。
よろしければぜひご覧ください。
仕事が忙しくて時間がとれない
自分や部下の仕事が忙しくて、なかなか顔を合わせる機会がない。もしお互い、あるいはどちらかの「時間がない」のが原因であれば、「コミュニケーションがとれない」という状況を改善するのは、前述の2つに比べれば比較的簡単です。
週の最初、あるいは月の最初に「月曜日の9時から」「火曜日の10時から」など、お互いに都合のよい時間を「ミーティングの時間」として決めて、コミュニケーションをとることを週のルーティンのなかにいれてしまいましょう。
先週の業務や今週の予定、今取り組んでいる業務に関する相談など、なんでも話せる時間とし、たとえ議題がなくても、業務に関するとりとめのない話をするために15~30分程度の時間をつくってみてください。
定例ミーティングは、忙しいと「急ぎの確認や相談がないなら、今週はなしで」となってしまいがちです。しかし、急ぎの議題がないからこそできる、「とりとめのない話」や「ちょっとした疑問」「今の仕事に対するモチベーション」「今後やりたい仕事」などもあるので、やると決めた以上は極力「忙しいから、今週はなし」とならないようにするのがポイントです。
なぜなら、「急ぎの確認や相談がないときのコミュニケーション」のなかで、上司と部下のコミュニケーションの目的の2つめである「部下のモチベーションの状態や仕事に対する考え」の理解につながることが多いからです。
このように「部下となかなかコミュニケーションが取れない問題」は、上司が少し行動を変えたり、見方を変えると改善できる可能性が大いにあります。「こんなもんかなぁ」「仕方ないか」とあきらめてしまう前に、できることを探してみましょう。
この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。