定着率を上げる!人事面談する3つのメリットと進め方5ステップを解説
「社員がなかなか定着しない」
「面談ってどうやって進めればいいの?」
「面談にはどんなメリットがあるんだろう?」
面談をしたところで何も変わらないと思っていませんか?
面談を実施しなかったり適当に面談したりすると社員の生産性は下がります。不満をつのらせた社員が相次いで離職してしまうという可能性も十分にあるのです。
今回は面談の以下のポイントについて詳しく解説します。
- 面談のメリットや注意点
- 面談の具体的な進め方5ステップ
- 面談に必要なスキルである「傾聴力」と「質問力」の高め方
これらの知識を身につけると、面談をより効果的に実施できるでしょう。
効果的な面談は定着率を上げるだけでなく企業の成長にもつながりますので、ぜひご参考になさってください。
そもそも社員が定着しない原因は何か?
そもそも、社員が定着しないのは何故でしょうか?解決のためには原因を突き止める事が先決です。考えられる原因を解説します。
人間関係への不満
人生における3大の悩みは「お金」「健康」「人間関係」に関することだといわれています。
そのうちの1つである「人間関係」が離職の理由になることは非常に多くあります。
現代社会においてはハラスメントの横行も問題視され、ニュースでも取りあげられることが増えてきました。
人間関係の悩みには社内の同僚・上司以外にもクライアントなど社外の人物も関わっていて複雑なため、解決するのが難しい場合もあります。
また、「周りとうまくコミュニケーションがとれずに孤立してしまう」といった社員の性格や精神状態が影響することもあるでしょう。
上司は部下をよく観察し、日頃から1人1人とコミュニケーションをとる努力が必要です。
労働環境・条件への不満
近年では働き方改革が推進され、ワークライフバランスを重視する社員が増えてきています。
- 給料が見合わない
- 毎日長時間の残業を強いられる
- 休日が少なくてプライベートの時間をとれない
- 昔からのルールにしばられて業務の効率が悪い
上記は労働環境や条件に関する不満の例です。
「生活していけるだろうか」「体調を崩してしまうのでは…」といった人生3大の悩みのうち「お金」と「健康」に関わってくる問題でもあります。
これらは社員との面談で要望があれば福利厚生や労働条件を見直したり、入社前にあらかじめ労働条件に対する希望と企業側の方針をすり合わせたりして解決しましょう。
評価制度への不満
「自分の意見に聞く耳をもってもらえない」「正当に評価されていると感じられない」といった不満も離職につながる原因の1つです。
なぜなら人間には「認めてもらいたい」という承認欲求があるからです。
- 自分のしたことは意味がなかったのではないか?
- どれくらい努力すれば認めてもらえるのだろうか?
というような不安や不満を抱えている状態はストレスになり、モチベーションを低下させます。
日常的なフィードバックはもちろん、定期的に個別の目標設定や進捗状況を確認することも重要です。
リテンション(人材定着)の土台作りには面談が最適
離職の大きな原因には下記が挙げられます。
- 人間関係の不満
- 労働環境や条件への不満
- 評価制度への不満
「面談」がこれらの原因をできる限り解消するための土台になります。
株式会社ビズヒッツの調査によると、職場に不満を感じたときに半数以上の人が「社内で相談する」という結果がでています。
面談することで、社員が感じている悩みを聞き出して解決するための機会にできるでしょう。
入社前ならばしっかりと企業の理念や求める人材像を伝え、求職者の希望とすり合わせてミスマッチをなくせます。
入社後ならば下記を意識すれば離職率定が下がるでしょうから、つまり定着率が上がることを意味します。
- 面談は定期的におこなう
- 適切に評価とフィードバックをする
- すぐ解消できる悩みには迅速に対応する
- 福利厚生など改善すべき点があれば検討する
参考URL:株式会社ビズヒッツ【職場の不満ランキング】男女500人アンケート調査
面談するメリット3つ
面談がもたらすメリットは大きく3つ考えられます。
社員のモチベーションがアップする
定期的に面談をすることで社員のモチベーション向上を図ることができます。
モチベーションは少しの気分の変化や天候にも影響を受けて下がってしまうことがあるので、高い状態を常に維持するのはとても難しいでしょう。
そこで定期的に面談を実施することで、モチベーションが下がりかけていたり下がっていたりする状態をフォローしてモチベーションの向上につなげることができます。
また、モチベーションを上げるためには目標設定が必須ですが、漠然とした抽象的な目標では効果を得ることはできません。
具体的かつ達成可能な目標を立てましょう。
定着率を高められる
適切な手順で面談すると、定着率の向上につながる以下のような効果があります。
- 社員の悩みや不安が企業に対する不満になる前に解決できる
- 適切な評価・フィードバックをおこなう機会になる
社員が快適に、不満を感じにくい環境で働けるような支援ができるといいですね。
そのような環境ならば社員が離職を考えることは少なくなるでしょう。
企業の成長・発展につながる
長期的にみれば、社員との面談を重ねていくことで企業の成長・発展にもつながります。
それは社員のモチベーションを向上できれば生産性が上がり、社員の定着率が上がれば新しい人材の採用にかかるコストが抑えられるからです。
採用活動にかかるはずだった予算を別のところに活用したり、社員が業績を伸ばしてくれたりすれば企業が成長し発展していくでしょう。
利益が上がれば余裕がうまれて社員に還元できるので、また社員のモチベーションが上がるという良いサイクルを回せるようになります。
面談する上で注意するポイント5選
面談するといっても、やり方を間違えるとメリットが得られないどころか逆効果になってしまうこともあります。
ここでは面談の際に注意したいポイントを5つご紹介しますので、ぜひ参考になさってください。
面談の時だけでなく日頃からコミュニケーションを図る
効果的な面談をするためには、面談者が社員と日常的にコミュニケーションをとっていることが必要です。
信頼関係が築けていないまま面談をしても、緊張や不信感から本音で話せずに終わってしまうでしょう。
そのため日頃から細やかな気づかいを心がけ、コミュニケーションを密にとって少しずつ信頼関係を築くことが必要不可欠です。
信頼関係が面談の効果を高めるカギになるので、その重要性をよく理解しておきましょう。
本人の人格や個性を否定しない
社員の人格や個性を批判したり、否定的な発言をしたりすることはデメリットしかなく、誰も得をしません。
批判された社員は自己肯定感が下がり、モチベーションも低下します。
発言した面談者は社員からの信頼を失い、築いてきた信頼関係が崩れてしまいます。
「君は根性がない」「どうして1度教えたことを覚えられないんだ」などの発言はハラスメントと捉えられることもあるため注意が必要です。
他者と比較しない
ポイント2に類似するところもありますが、他者と比較した発言も社員のモチベーションを下げる要因のひとつです。
評価する際は、おもに前回の面談で決めた目標をどれくらい達成できたかをもとにおこなうものと考えてください。
初回の面談時は一定期間での成長や努力が認められるようであれば、そこを認めて褒めましょう。
個人の成長を他人と比べないように評価するためには、やはり普段からの社員の仕事に対する姿勢や周囲とのコミュニケーションの取り方をよく観察する必要があります。
一方的に話しすぎない
面談者は基本的に聞き手に回るのが鉄則です。
面談は社員の考えや価値観を理解し、悩みを解決したり今後のキャリアについて話し合ったりすることを目的におこなうものだということを理解しておきましょう。
社員は「自分の話を聞いてもらえた」と感じられることで信頼するようになります。
一方的に評価やフィードバックを伝えるのではなく、社員が話すことをよく聞いて時には質問し内容を深掘りすることも求められます。
事前準備が大切
限られた時間の中で必要なことを伝え、社員の話を聞きながら新たな目標設定もしなければならないため事前準備が必須となります。
とはいっても細かなシミュレーションや台詞を一から考えられるほど時間に余裕のある面談者は少ないのではないでしょうか。そこで、まずは以下の2点をしっかり押さえておきましょう。
- 面談の大まかな流れを考えておく
- 社員に事前に面談日時を伝えておく
「これから面談しよう」と社員に伝えて話す内容を決めないまま行き当たりばったりで始めないようにしましょう。
また、ロールプレイングとして上司役・部下役を設定して模擬面談を実施してみるのもよいでしょう。
知識としてわかっているつもりのことが実践ではできていないということもあるため、部下役からフィードバックをもらうことで自分では気づくことのできなかった改善点がみつかるかもしれません。
面談で求められるスキルは「傾聴力」と「質問力」
面談において重要なスキルは「傾聴力」と「質問力」です。
どちらも社員の本音を聞き出すためには必要なスキルです。面談者の「傾聴力」と「質問力」が低いと面談の目的を達成できず離職率を上げてしまう可能性があります。
面談に限らずとも、日頃のコミュニケーションでも重要なスキルといえるので身につけておくとよいでしょう。
傾聴力を上げるポイント
- 聞く態度や姿勢を意識する
- 相手の話を最後まで聞く
- 否定から入らずに共感する
- 相手との会話の内容を覚えておく
基本的なことだと思われるかもしれませんが、できていない方は意外と多いようです。
相手の顔を見ずに無表情で会話していませんか?
頭ごなしに否定せず、まずはしっかりと相手の考えや意見を聞いていますか?
相手に心を開いてもらうには「私はあなたに興味があります」ということがしっかり伝わるように会話しなければなりません。
「自分のことをわかってくれている」「なんでも聞いてくれそう」と思ってもらえるような関係づくりも必要です。
質問力を上げるポイント
- 相手のレベルに合わせる
- 否定表現ではなく肯定表現にする
- 抽象的な表現は避ける
- パラフレーズ(言い換え)を使う
相手にとって理解できない用語を多用したり、逆に誰もが知っているような知識を知らない前提で質問したりすることは敬意を感じられません。
否定表現を使うのもよくないでしょう。
「なんでこんなに説得力のない企画なんだ?」と否定的な発言は拒絶したくなってしまうものです。
「もっと説得力のある内容にしてほしいんだけど、できるかな?」というような肯定表現に変えるだけで受け入れてもらえやすくなります。
また、パラフレーズといわれる「言葉を言い換える」技法も効果的です。
「ずっと取りたかった資格を取得できました!」と聞いて「おめでとう!やってみたかった業務に挑戦できるね!〇〇さんに相談してみる?」と返すことで要点を明確にしたり、相手が自分の考えを整理したりする機会になるでしょう。
ただパラフレーズの効果を高めるためには、相手が話す内容をしっかり理解する必要があります。
普段からコミュニケーションをとり、関係を深めておきましょう。
具体的な面談の進め方5ステップ
それでは、具体的な面談の進め方について、5つのステップを見ていきましょう。
雑談から初めて緊張を和らげる
面談は周りを気にせず集中できるように個室でおこなうことが多いようですが、物静かな社員や話すことが得意でない社員は緊張してしまうこともあるでしょう。
過度に緊張したままだと質問にうまく答えられなくなってしまったり、自分の考えとは違う発言をしてしまったりする場合もあるため注意が必要です。
雑談や仕事に関係のない話題から始めると緊張を和らげることができます。
面談対象の社員に自己評価してもらう
ある程度緊張が解けたら、社員の自己評価を聞きましょう。
面談者からの評価を伝える前に自己評価してもらうことで、自己肯定感の高さの程度を測ることができます。
あらためて自分を見つめ直せる機会なので、じっくり考えてもらいましょう。
面談者からの評価を伝える
社員の自己評価と面談者からの評価を比較しながら、目標達成率の部分だけでなく勤務態度やコミュニケーションのとり方などに関しても伝えるべきことは話しましょう。
自己肯定感の低い社員は自信をなくしてしまいやすく、特に言葉選びや伝え方に気をつけないとモチベーションが下がる場合もあるので注意が必要です。
評価基準は明確にしておき、あくまで客観的な評価を伝えるように心がけてください。
自己評価よりも評価が低くなってしまった部分は、しっかりと具体的な理由を説明して理解を得られるようにしましょう。
短期の目標を設定する
今後の課題を整理し、短期の目標を設定します。
下記が効果的な目標設定のポイントです。
- 具体的な数字を使う
- 達成可能である
- 期限を決める
面談を定期的におこなっているのであれば、期限は次回の面談時に設定するのが妥当でしょう。
中長期でみた今後のキャリアについて一緒にプランニングする
今後のキャリアについての見通しや希望を聞いておきましょう。
なりたい自分の未来像を考えることは、そのゴールまでのプランニングに必要なことです。
身につけるべきスキルの判断材料にもなり、社員が望むキャリアと企業側が求めている人材像や事業計画とをすり合わせることもできます。
まとめ
適切に面談をすると、社員のモチベーションも定着率も向上します。
そうすれば業績は伸び、採用にかかるコストを抑えられるので企業の利益が増えるはずです。
その増えた利益が社員に還元されれば、さらに社員のモチベーションが上がるというサイクルを回せるようになるでしょう。
当社では、ダウンロードして面談に活用できる記録シートをご用意しています。
この機会に面談の導入を検討してみてはいかがでしょうか?
参考URL:リクナビNEXT|「転職理由と退職理由の本音ランキングBest10」
参考URL:エンゲージ|人材定着のために人事が取り組むべきことは?離職を防ぐヒントを紹介
参考URL:ライトマネジメント|【保存版】社員の定着率を上げるリテンション手法”7選”!
参考URL:共に育つ、共に育む。共育塾|【面談力に不安がある…面談のコツ】を知りたい管理職の方へ
参考URL:株式会社夢テクノロジー|人事面談とは?行う目的や進め方・行う際のポイントについて解説
◆そもそも社員が定着しない原因は何か? ・人間関係への不満 ・労働環境・条件への不満 ・評価制度への不満 ◆リテンション(人材定着)の土台作りには面談が最適 ・面談するメリット3つ ◆面談する上で注意するポイント5選 ・面談の時だけでなく日頃からコミュニケーションを図る ・本人の人格や個性を否定しない ・他者と比較しない ・一方的に話しすぎない ・事前準備が大切 ◆面談で求められるスキルは「傾聴力」と「質問力」 ・傾聴力を上げるポイント ・質問力を上げるポイント ◆具体的な面談の進め方5ステップ ・雑談から初めて緊張を和らげる ・面談対象の社員に自己評価してもらう ・面談者からの評価を伝える ・短期の目標を設定する ・中長期でみた今後のキャリアについて一緒にプランニングする |
この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。