求人票の給与の書き方とは?ルールから応募を集めるポイントまで解説

公開日: 2019年05月17日 | 最終更新日: 2026年03月17日


求人票の給与の書き方とは?ルールから応募を集めるポイントまで解説

採用活動において、求人票は求職者との最初の接点となる重要な情報です。特に給与欄は、応募可否を左右する判断材料のひとつであり、記載方法によって応募数や応募者の質に影響が出ます。

近年は、現場責任者や採用担当者が自ら求人票を作成するケースも増えています。そのため、法令に沿った表記や、求職者に誤解を与えない記載方法を理解しておくことが、安定した採用活動につながります。

「給与はどこまで具体的に書くべきか」

「固定残業代や手当はどのように表記すればよいか」

本記事では、給与欄を記載する際の基本ルールから実務上の注意点、さらに応募率を高めるための工夫までを整理します。求人票の精度を高め、より効果的な母集団形成につなげるための参考としてご活用ください。

求人票の給与の書き方が重要な理由

求人票の中でも、給与欄は特に慎重な記載が求められる項目です。金額の見せ方ひとつで応募数や応募者の質に影響が出るため、正確性と明確性の両立が欠かせません。

給与表記に注意が必要な理由は、大きく2つあります。

知らないうちに法令違反となるリスクを防ぐため

給与に関する情報は、最低賃金法や労働基準法など、複数の法令と関係しています。記載内容が不十分であったり、曖昧な表現を用いたりした場合、行政指導の対象となる可能性があります。

たとえば、月給額を「約〇万円」といった曖昧な表現で記載することは適切とはいえません。固定残業代を含む場合には、その内訳や時間数を明示する必要があります。

法令を正しく理解しないまま求人票を作成すると、意図せず不適切な表記になる恐れがあります。事前にルールを整理し、社内で統一した基準を持つことが重要です。

求職者とのミスマッチを防ぐため

給与は、求職者が企業を選ぶ際の重要な判断材料です。金額や支給条件が明確に示されている求人は、安心感につながりやすくなります。

一方で、記載内容と実際の労働条件に差がある場合、入社後の不満や早期離職につながる可能性があります。厚生労働省の調査でも、求人内容と実態のギャップに関する不満の中で、賃金に関する事項が多くを占めています。

給与を正確かつ具体的に記載することは、応募率の向上だけでなく、入社後の定着にも影響します。採用活動の質を高めるためにも、給与欄の表記には十分な配慮が求められます。

求人票の給与の書き方ルール

求人票における給与の記載は、企業の信頼性に直結する項目です。金額の水準だけでなく、表記方法や内訳の示し方にも法的なルールが存在します。

給与欄の記載にあたっては、法令遵守と情報の明確性を両立させることが前提となります。ここでは、特に重要なポイントを整理します。

地域別の最低賃金を必ず確認する

給与額を設定する際には、募集エリアの最低賃金を基準に確認します。最低賃金は都道府県ごとに定められており、定期的に改定されています。

月給や日給で表記する場合も、所定労働時間で割り戻して時給換算し、基準額を上回っているかを確認する必要があります。歩合給を含む場合も、実労働時間を基準に検証します。

採用活動の開始前に最新の金額を確認し、社内の給与設定が基準を満たしているかをチェックすることが重要です。

条件付き手当は基本給と区分して記載する

家族手当や皆勤手当など、特定の条件を満たした場合にのみ支給される手当は、基本給に含めて表示しません。

これらを給与総額に含めてしまうと、すべての入社者が受け取れる金額であるかのような誤解を招きます。基本給と手当は分けて記載し、支給条件も明示します。

給与の内訳を明確にすることが、応募者との認識のずれを防ぐポイントです。

給与レンジは実際に提示可能な水準で設定する

「月給〇万円~〇万円」といった幅を持たせた表記は一般的です。ただし、上限額は初任給として提示し得る金額である必要があります。

経験やスキルに応じて変動する場合でも、提示可能な範囲に限定します。実際に提示しない水準を記載すると、面接時や内定時に不信感が生じます。

給与レンジは、採用戦略と整合した現実的な設定が求められます。

固定残業代の内訳を具体的に示す

固定残業代制度を採用している場合は、金額と対象時間を明確にします。

基本給と固定残業代を区分し、何時間分の時間外労働に対する手当なのかを明示します。さらに、設定時間を超えた分の取り扱いについても記載します。

例としては、次のような表記が考えられます。

月給25万円
※上記金額には固定残業代(20時間分・38,000円)を含む。超過分は別途支給。

内訳を明確にすることで、選考段階での説明もスムーズになります。

試用期間・研修期間中の条件を明示する

試用期間や研修期間を設けている場合、その期間中の給与や待遇が本採用後と異なる場合は明確に記載します。

期間の長さとあわせて、給与額や変更点を具体的に示します。条件が同一である場合も、その旨を明記すると安心感につながります。

例としては、以下のような記載が挙げられます。

試用期間3か月あり/期間中は月給23万円
研修期間3か月あり/期間中の給与・待遇に変更なし

応募につながる給与の書き方

給与は、求職者が求人を見る際に最初に確認する情報のひとつです。金額の水準だけでなく、情報の出し方によって応募数は変わります。

報酬体系を具体的に示すことで、企業としての透明性が伝わり、安心感につながります。ここでは、応募促進につながる給与欄の工夫を整理します。

昇給・賞与の実績を具体的に示す

基本給のみを記載している求人も少なくありませんが、将来的な収入の見通しが分かる情報は応募意欲に影響します。

昇給の頻度や評価のタイミング、賞与の支給回数や過去実績を明示することで、報酬制度の全体像が伝わります。

たとえば、「昇給年1回」「賞与年2回(昨年度実績:基本給の1.5か月分)」といった具体的な表現は、求職者が中長期的な収入を想定する材料になります。

手当やインセンティブの内容を明確にする

基本給以外に支給される手当や成果連動報酬がある場合は、その内容を整理して提示します。

役職手当や資格手当、業績連動型のインセンティブなどは、支給条件とあわせて説明します。可能であれば、平均支給額や算出方法の概要を示すことで、収入イメージが具体化します。

月収例・年収例を提示する

給与レンジだけでは、実際の収入水準を想像しにくい場合があります。実在する社員のモデルケースを示すことで、具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。

たとえば、「入社1年目・一般職/年収350万円」「入社3年目・主任クラス/年収420万円」といった形で、役割や経験年数とあわせて提示します。

給与情報を分かりやすい位置に配置する

給与に関する情報は、求人ページ内で確認しやすい位置に掲載します。ページ下部に埋もれている場合、詳細を確認する前に離脱される可能性があります。

見出し直下や概要欄など、視認性の高い場所に要点をまとめることで、求職者の関心を引きやすくなります。

まとめ

以上、給与の表記方法について紹介しました。

今回は表記の方法についてでしたが、給与額そのものが競合に比べて低すぎる場合は、当然応募の集まりも悪くなります。そういった場合には給与額の引き上げや、他条件でのカバーなども視野に入れましょう。

採用活動での競合調査は、企業経営における重要なデータにもなりますので、経営サイドにも共有しつつ会社全体で人材採用に取り組んでいく姿勢が必要です。


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この記事の監修者:長井 亮

1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。