Z世代の特徴とは?【ミレニアル世代との比較解説あり】


Z世代の特徴とは?【ミレニアル世代との比較解説あり】

突然ですが、「Z世代」という言葉をご存知でしょうか。近年、マーケティングや人事領域でも話題の中心となっているキーワードです。

現在、世界人口の約3分の1を占めると言われているZ世代。今後、消費や労働の中心となる世代であるため、多くの関心が集まっています。

今回の記事ではZ世代の特徴をはじめ、他世代との比較も解説していきます。

企業がZ世代の人材を自社で活かしていくためには、Z世代の特性を理解することは必要不可欠です。この記事をご覧になって、ぜひZ世代への理解を深めていきましょう。

 Z世代の定義とは

 Z世代とは、「1990年代半ばから2000年代半ばに生まれた世代」のことを指します。

生まれたときからインターネットが普及しており、デジタルに慣れ親しんで育っているため「デジタルネイティブ世代」と言われることもあります。

現在、既に成人し就労している方もおり、これからの時代の中心となっていく世代です。

各世代の特徴と比較
(X世代、ミレニアル世代、Z世代)

 X世代の特徴

X世代は、1960年代から1980年代序盤までに生まれた世代を指します。

団塊世代の子供として「団塊ジュニア世代」と呼ばれることもあります。オイルショックやベルリンの壁崩壊など、激動の時代を生きた世代でもあります。

X世代は、社会に出てある程度、経済的自立ができた時期に携帯電話やパソコンが普及し始めました。

1995年以降に加速したIT革命で、新たなIT技術やツールが誕生した際、積極的に取り入れていった世代です。

ミレニアル世代の特徴

ミレニアル世代は、「1980年序盤から1990年代中盤までに生まれた世代」を指します。

ミレニアル世代は他にも、「Y世代」などと呼ばれることもあります。

ミレニアル世代は2021年現在、20代中盤から40歳くらいの歳を迎えており、現代社会の消費や労働の中心となっています。

ITバブルの始まりから崩壊までを見て育ち、リーマンショックの時期も経験しています。

また、インターネット環境が飛躍した時期とも重なっており、インターネット環境の進歩によって生活が変化したことを実感している世代です。

インターネットの発展以降は、様々なネットサービスやSNSを活用しており、デジタルに強い世代であることが分かります。

Z世代の特徴

 Z世代は、「1990年代半ばから2000年代半ばに生まれた世代」のことを指します。

Z世代は他にも「ジェネレーションZ」「ソーシャルネイティブ」「スマホ世代」などと呼ばれることもあります。

現在は、まだZ世代の大半が学生ですが、2020年代から社会に進出し始めています。

生まれた時からインターネットが普及しており、幼い頃からスマートフォンやSNSに親しんでいるため、ネットリテラシーが高く、ソーシャルメディアを使いこなせる傾向があります。

ミレニアル世代とZ世代との比較

ここでは、現在の労働や消費の中心となっているミレニアル世代と、近い未来に、(労働や消費の中心に)取って代わるZ世代を比較し、Z世代の特徴をより詳しく解説していきます。

ミレニアル世代もZ世代も「コト消費」を重視する

ミレニアル世代から始まっているのが、購入する商品の物質的な価値を重視する「モノ消費」から、商品やサービスを通して得られる体験を重視する「コト消費」への価値観の変化です。

この「モノ消費」から「コト消費」の変化は、Z世代にも引き継がれています。

さらに、Z世代の「コト消費」に関しては彼ら独自の価値観もプラスされていることがわかってきました。

ミレニアル世代はオンラインでの消費を中心とする傾向があるのに対し、Z世代はオンラインでの消費を活用しつつ、実際の店舗での体験も重視するという傾向が非常に特徴的です。

ミレニアル世代よりZ世代は現実的

ミレニアル世代は、好景気の時代に育った背景から楽観的な思考も持ち合わせているため、理想的に考える傾向が強いと言われています。

一方、Z世代は現実的に考える面が特徴的です。

Z世代は育った時期が不況と重なっていたこともあり、社会全体の経済や雇用について、若い頃から考える者が多かったと言われています。

そのため、短期的な快楽や一時の感情で意思決定をするのではなく、長期で生まれる価値を考え、現実的な意思決定をする傾向があります。

ミレニアル世代よりZ世代はコスト意識が高い

Z世代の方は、ミレニアル世代と比較すると貯蓄への意識が高いです。

無駄なことにお金を使わず、モノへの欲求も特段高くないため、浪費をせず貯蓄をする傾向があります。

また、Z世代はセールやリユースなど、本来より低コストで得られる購買を好む傾向も強いです。

こういったコスト意識は、リーマンショックなど長期の世界的不況に見舞われた環境で多感な時期を過ごした時代背景が起因していると考えられます。

衝動買いのような浪費ではなく、貯蓄や節約、投資的価値を考えて購買する堅実な傾向があります。

ミレニアル世代はインターネットを使いこなし、Z世代はSNSは使いこなす

 Z世代の大きな特徴のひとつがSNSを生活の柱としていることです。

ミレニアル世代はインターネットを使いこなし、様々なWebサービスを活用します。

対してZ世代は、インターネットも勿論活用するものの、よりSNSを多く活用する傾向があります。

Twitter、Instagram、TikTokなどのSNSを活用し、コミュニケーションや購買、仕事へ活かしている方も多いです。

また、ネットリテラシーも高く、プライバシーの取り扱いに関して慎重な傾向もあります。

ミレニアル世代がGoogleなどの検索エンジンで情報収集をするのに対し、Z世代はInstagramを用いて情報収集を行います。

Googleの検索エンジンで調べる行動を「ググる」というのは有名ですが、Z世代はInstagramのハッシュタグを使い情報を集める「タグる」という行動をおこないます。

そのため、Z世代は、より鮮度の高い情報を得ることができます。

Z世代の価値観と強み

Z世代の特徴について、もう少し深掘りして解説していきます。

Z世代は多様性を重視する

Z世代は、幼い頃からインターネットが普及していたため、全世界から多くの情報を得ることができました。

差別や貧困などの社会課題や、社会情勢、経済状況などにも若い頃から触れてきたため、多様な価値観を柔軟に受け入れることができます。

Z世代はリアルタイムで多様な情報に触れることが習慣化しているため、何か疑問点や違和感を覚えた際は、SNSで検索をかけて情報収集を行い、時にはSNS上のコミュニティで意見の交換を行って視野を広げています。

そのため、「国籍や人種」「男女の役割やセクシュアリティ」「ライフスタイル」の違いを容認し差別することなく平等に考えることができます。

Z世代が受けた学校教育も、「こうあるべき」という択一的な価値観を植え込むのではなく、多種多様な価値観を認めるという教え方に変わってきた背景もあります。

Z世代は自分らしく生きることを重視する

Z世代は、前述したように多様な価値観を受け入れることができるので、自分自身の個性も大切にしている傾向があり、自分らしくありのままに生きることを重要視します。

他社との比較や競争より、協調性や自分自身の価値観を大事にすることを優先します。

そのため、SNSを通した情報発信に対しても「自分らしさを発信する」ことに抵抗のない方が多いようです。

また、ブランドを重視する傾向は薄れ、自分が本当に気に入ったものを手に入れる傾向があります。

この傾向は、洋服や装飾品などはもちろん、働き方や情報発信にも現れます。

Z世代はオープンな環境でも力を発揮できる

Z世代は、SNSを通じてオープンな環境での自己表現やコミュニケーションに慣れているため、社会や職場でも同じように、オープンな環境でも力を発揮できる方が多いです。

大人数が集うオープンな環境でも、自分の主張をはっきりと伝えることができる傾向があります。

Z世代は効率性を重視する

Z世代は、情報が溢れた時代に育っているため、効率良く欲しい情報を取得し、即時活用する動きをとることができます。

現代社会の早い流れに対応するため、何が一番効率的であるかを常に考え、行動をしている傾向があります。

Z世代はワークライフバランスを重視する

ミレニアル世代を中心にワークライフバランスという概念が広まり始めましたが、Z世代はより強くワークライフバランスを重視する傾向があります。

仕事だけではなく、家族やプライベートなど、自分らしい人生を過ごすことに価値を置いている方が多いようです。

前述したように、多様性を尊重するということは、自分自身の個性も重要視するということになります。

Z世代は、競争に勝ち抜いて出世をしたいという志向より、自分が描く幸せを優先したいという志向をもっている方が多い傾向にあります。

職場での関係を近づけようと休日に出かける誘いを無理強いしたり、仕事終わりの飲み会に強く誘ったりすると、関係性を壊してしまう可能性もありますので注意が必要です。

Z世代は所有に対しての欲求は低い

Z世代は小さい頃から、サブスクリプションのサービスが世の中に普及していたこともあり、モノを所有する欲求は低いです。

ミニマリズムの考えに基づいて、自分が欲しいモノだけを購入する傾向があります。

車や時計などステイタスとしての所有欲は低く、実用性を重視したQOL向上を優先させます。

ブランドや流行りに流されて所有欲が増すことは少なく、本物志向を重視する傾向があります。

Z世代はマルチタスクに強い

Z世代は1つのツールだけでなく、Instagram、TikTok、Twitterなど複数のツールを並行して活用し、日々、大量の情報を収集しています。

そのため、複数ツールを活用するマルチタスクを得意としています。

また、ひとつの物事を黙々とこなすような集中力を要する場面は苦手とする傾向にありますが、短い時間で情報を取得し、直感的に判断する力には長けています。

Z世代へ研修や業務説明を行う際は、画像や動画などを活用し直感的に訴求することが効果的です。

Z世代の新入社員を育成する際は、ぜひこのような特徴を理解したうえで対応しましょう。

Z世代は社会に役立つ仕事へ意欲がある

Z世代は、社会貢献することに価値を感じている人が多いです。Z世代会議(https://z-kaigi.com/)の調査によると「社会に貢献する活動に取り組みたい」という思いが、上の世代より増加しているという結果がでています。

これは前述したように、Z世代自身が不況を経験していることや、若い頃から多くの情報に触れ多様な価値観を受け入れてきたという背景があると考えられます。

Z世代に活躍してもらうために企業がするべき3つのこと

会社や上司を信頼してもらえる行動をとる

Z世代は疑問に思ったこと、不満に思ったことは即時にSNSで検索し真偽を確かめます。

また、考えや想いをSNSで共有する傾向もあります。

古くからある縦社会の「会社・上司の言うことは絶対」といった価値観はありません。

本質的に物事を判断しようとしますので、企業としても信頼されるような誠意ある対応が必要です。

ルールやマニュアルで縛るのではなく、自由な発想を尊重する

Z世代はルールやマニュアルに縛られた働き方より、個性を活かして自由に発想できる機会を好みます。

大量生産を前提としていたモノ社会では、ルールやマニュアルが重宝されていましたが、コト社会への関心が高まっている現代社会においては、自由な発想や働き方が重視されます。

古い慣習ではなく改善を重視する風土を作る

Z世代は古くからの慣習のままにアナログ体質が続いていることを嫌います。

デジタルネイティブ世代であるため、最新のテクノロジーを駆使した効率の良い方法をもとめます。

こういった彼ら彼女らの取り組みが、業務効率を改善する動きへつながることも多いため、しっかりと耳を傾けていきましょう。

まとめ

◇各世代の定義
・X世代は、1960年代から1980年序盤までに生まれた世代を指す
・ミレニアル世代は、1980年序盤から1990年代中盤までに生まれた世代を指す
・Z世代は、1990年代半ばから2000年代半ばに生まれた世代を指す
◇ミレニアル世代とZ世代との比較
・ミレニアル世代もZ世代も「コト消費」を重視する
・ミレニアル世代よりZ世代は現実的
・ミレニアル世代よりZ世代はコスト意識が高い
・ミレニアル世代はインターネットを使いこなし、Z世代はSNSを使いこなす
◇Z世代の価値観と強み
・多様性を重視する
・自分らしく生きることを重視する
・オープンな環境でも力を発揮できる
・効率性を重視する
・ワークライフバランスを重視する
・所有に対しての欲求は低い
・マルチタスクに強い
・社会に役立つ仕事へ意欲がある
◇Z世代に活躍してもらうために企業がするべき3つのこと
①会社や上司を信頼してもらえる行動をとる
②ルールやマニュアルで縛るのではなく、自由な発想を尊重する
③古い慣習ではなく改善を重視する風土を作る

今回はZ世代の特徴について解説いたしました。

これからの消費や労働の中心となっていくZ世代の特徴を理解することは、企業活動をするうえでも重要になってきます。

今回の記事を参考にしていただき、企業活動での採用や育成においても、Z世代の特徴にあった対応を考えていきましょう。

ryo-nagai

この記事の監修者:長井 亮

1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。