丁寧にフォローしたい!産休育休を取得する社員が抱えるジレンマとは【産休育休サポート編①】
最近では「イクメン」という言葉とともに男性の育児休暇の取得が注目を集めています。
夫婦共働きの世帯が増えている今、出産・育児をする社員のフォローはどうするべきなのでしょうか?
この記事では、出産を控えこれから育児をしていく「社員フォロー」のヒントをお伝えします。
1.出産育児をする社員が利用できる制度
出産前後に利用できる3つの制度
出産を迎える社員が取得できる制度は「産前・産後休業」「育児休業」です。「産前休業」は、出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週前)から出産の翌日より8週間は就業できません。「産後休業」は、産後6週間が経過後、本人が請求し、医師が認めた場合は就業可能です。また、「産前・産後休業」は誰でも取得できます。
続いて、「育児休業」です。1歳に満たない子供を養育する社員(男女とも)は会社に申し出ることにより、子供が1歳になるまでの間、希望する期間、育児のために休業できます。
1歳の誕生日を迎えた時点で、保育園に入園できないなどの事情がある場合には、1歳6か月まで育児休業を延長することができます。さらに、平成29年10月以降は改正法施行によって、1歳6ヶ月の時にも事情がある場合には、再度申請することで2歳の誕生日まで育児休業を延長できるようになりました。
復職後に利用できる様々な制度
出産をした女性が対象になる復職後に利用できる制度は3つ。
- 「育児時間」…生後1年に達しない子供を育てる女性は、1日2回各30分間の育児時間を請求できます。
- 「時間外労働・休日労働・深夜業」の制限など…産後1年を経過しない女性には、妊娠中と同様にこれらが適用されます。
- 「母性健康管理措置」…産後1年を経過しない女性は、医師などから指示があったときは、健康診査に必要な時間の確保を申し出ることができます。
男女問わず、3歳未満または小学校入学前の子供を育てている方が利用できる制度。
- 「短時間勤務制度」…会社は一定の条件を満たす3歳未満のこどもを育てる社員のために、短時間勤務制度(6時間/日)を設けること。
- 「子の看護休暇」…小学校入学前の子供を養育している場合、年次休暇とは別に、5日/年(子供が2人なら10日間)、病気・怪我の看護や予防接種や健診のために休暇が取得できます。
- 「時間外労働・深夜業の制限」…小学校入学前の子供を養育する社員から請求があった場合、1ヶ月24時間、1年150時間を越える時間外労働をさせてはならないことになっています。また深夜労働をさせてはならないことになっています。
「産前・産後休業」や「育児休業」は多くの理解が得られている制度ですが、その他にも制度は用意されています。どのような制度があるかきちんと理解しておくことが重要です。
2.出産育児をする社員の置かれている環境と気持ち
育産休を取得する社員と企業の現状
正社員で働く女性にとって、育産休の取得は浸透しているように思えますが、調査の結果によると取得実績は6割弱、男性は1割に届かず、まだまだ取得しづらいのが現状です。
また、育児に関する独自の取り組みをしている企業も3割程度と独自で取り組むのもなかなか難しいものです。
妊娠発覚後から変化していく体調
妊娠と一言で言ってもその経過や体調の変化は十人十色。その人によって不調の種類も程度も時期も全く違います。仕事を休んだり、身体に負担のかかる仕事を避ける必要があります。
妊娠初期はつわりなど体調を崩しがちな時期です。それにも拘わらず安定期までは周囲への報告を控えるなどのこともあり、なかなか不調を伝えられないこともあります。また、周囲への迷惑や仕事を休むことへの不安など精神的なプレッシャーを感じやすい時期でもあります。
実際、お腹が目立たず、妊婦だと分かりにくい時期に、妊娠中だということを周囲に伝えるかどうかで困ったり悩んだことがある人は多くいます。
多くの働く妊婦がマタハラを経験
職場でマタハラを経験する女性は4人に1人。性別に関係なく上司から受けるケースが多いようです。妊娠はとてもセンシティブな内容だけに、男性上司には話しにくいと感じている女性もいます。
男女雇用機会均等法、育児・介護休業法の改正により、平成29年1月から、妊娠・出産・育児休業等を理由としたマタハラを防止するために必要な措置を講じることが企業に義務づけられています。
出産後に働くことへの不安
男性の育休取得率はまだまだ低く、多くの家庭では女性中心に子育てをしていることが分かります。産前から復帰まで1年数カ月の間仕事から離れ、生活環境も変化しているので、仕事復帰することに対して9割近い女性が不安を感じています。
不安を感じている内容も「生活リズム」や「保育園の確保」など様々ですが、8割の人が「家庭と仕事の両立」に不安だと答えています。
育産休を経てキャリアを続けるためのサポートを
妊娠から出産、子育てと大きな環境の変化とともに仕事を続けていくことはとても大変なことです。働き方や家庭の在り方が見直されている今、キャリアを諦めず続けてもらうためには、企業側のサポートが大切です。
3.第三者が面談すると円滑になる理由
妊娠・出産・子育てについて、職場での相談をしにくいと感じている人が多いのも現実です。こういった内容の場合、キャリアコンサルタントなど第三者が入ることでとてもスムーズに進みます。
社員にとっては、「気にかけてくれている」という安心感や会社への信頼につながり、直接上司や人事に言いづらいことでも相談がしやすく、コンサルタントを介して情報共有がされるので、面談後に上司や人事に本人から相談がしやすくなる環境を整えることができます。また、コンサルタントが育児経験者の場合、比較的近い立場で話ができるのもメリットと言えるでしょう。
企業にとっては、上司からは聞きにくい内容も聞くことができ、状況を把握しやすくなり、適切な対応ができます。そのため、社員エンゲージメントの向上も期待できます。また、育産休の知識や認識の差によって引き起こされるトラブル回避の一助にもつながります。女性活躍のための取り組みとして紹介することで、採用ブランディングになるメリットもあります。
夫婦共働き世帯が増えている今だからこそ、子育て世帯の働く環境を整えることがとても大事になってきています。社員のQOL向上は企業の発展にもつながります。適切なサポートをすることで、企業も社員も気持ちよく働き続けられる環境を整えていきたいですね。
https://r09.jp/2020/08/31/pressrelease0901/
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この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。