採用コストを削減する方法7選|費用の内訳・リスク・見直し手順を解説
公開日: 2026年05月26日
「求人広告を出しても応募が来ず、採用単価だけが上がり続けている」
多くの採用担当者が、コスト増と人材不足の板挟みに悩んでいます。
採用コストを削減するには、外部媒体への依存を減らし、自社独自の採用チャネルを構築することが重要です。外部媒体の手数料が高騰するなか、自社で集客する仕組みがなければ根本的なコスト抑制は困難なためです。
本記事では、累計800社以上の支援で培った「採用ノウハウ」をもとに、採用コストの削減方法を解説します。読み終える頃には、採用費用の内訳を正確に可視化でき、明日から取り組める具体的なコスト削減施策が明確になるでしょう。
採用コストとは|外部コストと内部コスト
採用コストとは、人材を1人獲得するために必要な費用の総計を指します。 この費用は、社外に支払う「外部コスト」と社内で発生する「内部コスト」の2つに分かれます。コスト削減を成功させるには、まず支出の全体像を正確に把握することが重要です。
外部コスト:求人広告費や紹介手数料など社外に支払う費用
外部コストとは、採用活動のために社外の企業やサービスへ支払う費用です。求人サイトの掲載料、人材紹介会社への成功報酬、スカウト媒体の利用料、採用管理ツールの利用料などが該当します。
外部コストは金額が見えやすいため、削減対象として最初に検討されやすい費用です。ただし、単純に広告費や紹介手数料を削ると、応募数や採用数が減る可能性があります。
そのため、削減する前に媒体ごとの「応募単価」「面接単価」「採用単価」を確認しましょう。費用だけでなく、採用につながっているかまで見ることが重要です。
内部コスト:人件費や面接対応など社内で発生する費用
内部コストとは、採用業務に関わる自社従業員の人件費や工数です。書類選考、面接対応、日程調整、内定者フォロー、説明会運営などにかかる時間が該当します。
内部コストは外部コストと違い、金額として見えにくい費用です。しかし、面接回数が多すぎる、選考調整に時間がかかる、辞退者対応が多い状態では、社内の負担が大きくなります。
まずは、採用担当者や面接官が各工程にかけている時間を確認しましょう。面接回数の見直しや日程調整の自動化によって、採用コストを抑えやすくなります。
採用コストが高くなる主な原因
採用コストが高くなる原因は、求人広告費や紹介手数料の高さだけではありません。応募から入社後の定着までのどこかに無駄があると、採用活動全体のコストは増えやすくなります。
特に見直したい原因は、次の4つです。
- 求人広告や人材紹介への依存度が高い
- 応募数は多いものの採用につながっていない
- 選考辞退や内定辞退で採用活動が長期化している
- 早期離職によって再採用コストが発生している
求人広告や人材紹介への依存度が高い
求人広告や人材紹介への依存度が高いと、採用コストは上がりやすくなります。掲載費や紹介手数料など、採用が発生するたびに外部コストがかかるためです。
特に人材紹介では、採用決定時に理論年収の一定割合を成功報酬として支払うケースがあります。求人広告も、掲載期間を延長したり、複数媒体に出稿したりすると費用が膨らみます。
ただし、求人広告や人材紹介の利用自体が悪いわけではありません。問題は、効果を検証しないまま使い続けることです。
媒体ごとの応募数・面接数・採用数を確認し、採用につながっていない媒体は見直しましょう。あわせて、自社採用サイトやリファラル採用など、外部コストに依存しすぎない採用経路を育てることが重要です。
応募数は多いものの採用につながっていない
応募数が多くても、採用につながっていなければコスト削減にはなりません。書類選考や面接にかかる工数が増え、内部コストが高くなるためです。
たとえば、応募数が100件あっても、面接に進む人が少なければ、求人票や媒体選定が合っていない可能性があります。求める人物像と求人内容がずれていると、応募は集まっても採用決定にはつながりません。
この場合は、応募数だけで判断しないことが大切です。応募単価だけでなく、面接単価・採用単価まで確認しましょう。
また、求人票では仕事内容・必須条件・歓迎条件を明確に分ける必要があります。条件を広げすぎると応募は増えますが、選考工数も増えます。採用したい人材に伝わる内容へ修正しましょう。
選考辞退や内定辞退で採用活動が長期化している
選考辞退や内定辞退が多いと、採用活動は長期化します。採用が決まるまで求人掲載やスカウト、面接対応を続ける必要があるため、外部コストと内部コストの両方が増えます。
辞退が起きる主な原因は、選考スピードの遅さや候補者への魅力づけ不足です。連絡が遅い、面接日程がなかなか決まらない、入社後の働き方が伝わらない状態では、他社に流れやすくなります。
特に中途採用では、候補者が複数社を同時に受けているケースも多くあります。条件が同程度であれば、対応が早く、入社後のイメージを持てる企業のほうが選ばれやすくなります。
辞退を減らすには、選考フローを短くし、面接後の連絡期限を決めましょう。たとえば、「面接後2営業日以内に合否連絡をする」と決めるだけでも、候補者の不安を減らせます。
早期離職によって再採用コストが発生している
早期離職が発生すると、採用コストは大きく増えます。採用した人材が短期間で退職すると、同じポジションで再び募集・選考・入社対応を行う必要があるためです。
早期離職の原因には、求人票と実態のギャップ、仕事内容の説明不足、入社後のフォロー不足があります。採用時に良い面だけを伝えると、入社後に「聞いていた話と違う」と感じられやすくなります。
採用コストを抑えるには、入社前の期待値調整が重要です。仕事内容・勤務条件・評価制度・大変な部分まで正直に伝えましょう。
また、入社後の定着支援も欠かせません。入社初月の面談や業務説明の整備、教育担当者の設定などを行うことで、早期離職のリスクを減らせます。採用コスト削減は、採用して終わりではなく、定着まで含めて考えることが重要です。
採用コストを削減する具体的な方法7選
採用コストを削減するには、求人広告費や紹介手数料を減らすだけでは不十分です。応募数・採用数・定着率を確認しながら、費用対効果の低い施策を見直す必要があります。
特に効果が出やすい方法は、自社採用サイトの整備、リファラル採用、SNS採用、選考フローの見直し、早期離職の防止、求人媒体の効果分析、採用代行(RPO)の活用です。
採用コスト削減で大切なのは、短期的に費用を削ることではありません。採用活動全体の無駄を減らし、必要な投資を見極めることです。ここでは、具体的な削減方法を7つ紹介します。
方法① 自社採用サイトを整備して求人広告への依存を減らす
自社採用サイトを整備すると、求人広告への依存を減らしやすくなります。自社サイト経由の応募が増えれば、求人媒体への掲載費や紹介手数料を抑えられるためです。
求人広告は短期的に応募を集めやすい一方で、掲載を止めると応募も止まりやすい特徴があります。一方、自社採用サイトは一度整備すれば、検索流入や指名検索から継続的な応募につながる可能性があります。
自社採用サイトでは、仕事内容や募集要項だけでなく、社員インタビュー、1日の流れ、評価制度、福利厚生、選考フローまで掲載しましょう。求人票だけでは伝わりにくい職場の雰囲気や働く人の声を載せると、応募前の不安を減らせます。
ただし、自社採用サイトを作っただけでは応募は増えません。求人ページごとに職種名や勤務地を入れ、求職者が検索しやすい内容に整える必要があります。求人広告に頼り切るのではなく、自社で応募を獲得できる導線を育てましょう。
方法② リファラル採用を導入して紹介手数料を抑える
リファラル採用は、社員に知人や友人を紹介してもらう採用手法です。人材紹介会社への成功報酬を抑えやすく、採用コスト削減につながります。
社員の紹介で応募する候補者は、事前に会社の雰囲気や仕事内容を聞いているケースが多くあります。そのため、入社後のミスマッチを減らしやすい点もメリットです。
リファラル採用を始める際は、紹介対象となる職種、紹介の流れ、紹介インセンティブの有無、選考時の公平性を決めておきましょう。特に重要なのは、社員が紹介しやすい状態を作ることです。「誰かいたら紹介して」だけでは、紹介は増えません。募集背景や求める人物像を具体的に共有する必要があります。
方法③ SNS採用で求人媒体以外の接点を増やす
SNS採用を活用すると、求人媒体に登録していない潜在層にも接点を作れます。特に、企業文化や働く人の雰囲気を伝えたい場合に有効です。
求人媒体では、給与や勤務地などの条件比較になりやすい傾向があります。一方、SNSでは日常的な発信を通じて、会社の価値観や社員の人柄を伝えられます。
発信内容は、社員インタビュー、オフィスや現場の様子、仕事のやりがい、入社後の成長事例、採用イベント情報などが向いています。採用ターゲットが知りたい情報を継続的に発信することで、企業への認知や信頼を積み上げられます。
ただし、SNS採用は短期間で応募を増やす施策ではありません。若手向けなのか、経験者向けなのか、エンジニア向けなのかを明確にしたうえで、発信内容を決めましょう。
方法④ 選考フローを見直して面接工数を削減する
選考フローを見直すと、面接官や採用担当者の工数を削減できます。面接回数が多すぎる、日程調整に時間がかかる、判断基準が曖昧な状態では、内部コストが増えやすくなります。
まずは、書類選考にかかる日数、面接回数、面接官の人数、合否連絡までの日数を確認しましょう。どの工程で時間がかかっているかを把握すると、削減すべき無駄が見えやすくなります。
たとえば、面接が3回以上ある場合は、本当にすべて必要か見直す余地があります。一次面接と二次面接で同じ質問をしている場合は、評価項目を分けるだけでも無駄を減らせます。
ただし、選考フローを短くしすぎると、見極めが不十分になる可能性があります。削減すべきなのは面接そのものではなく、重複した確認や不要な待ち時間です。見極めの質を落とさず、候補者にも負担の少ない流れに整えましょう。
方法⑤ 早期離職を防ぎ再採用コストの発生を抑える
早期離職を防ぐことも、採用コスト削減に直結します。入社後すぐに退職が発生すると、再び求人掲載・選考・入社手続きが必要になるためです。
早期離職が多い企業では、採用時の情報提供に問題があるケースがあります。良い面ばかりを伝えると、入社後に「想像と違った」と感じられやすくなります。
そのため、選考段階では具体的な仕事内容、評価基準、仕事の大変な部分、繁忙期の働き方、教育体制まで正直に伝えることが大切です。候補者にとって不利に見える情報でも、事前に伝えたほうが入社後のギャップを減らせます。
また、入社後のフォローも欠かせません。入社初日だけでなく、1週間後・1か月後・3か月後に面談を設定すると、不安や違和感を早期に把握できます。採用コスト削減は、採用して終わりではなく、定着まで含めて考えることが重要です。
方法⑥ 求人媒体の効果を分析して費用対効果を改善する
求人媒体の効果を分析すると、無駄な出稿費を減らせます。媒体ごとの成果を見ずに継続していると、採用につながらない媒体に費用を使い続ける可能性があるためです。
求人媒体を見直す際は、応募数だけで判断してはいけません。応募数が多い媒体でも、面接や採用につながっていなければ費用対効果は高いとは言えません。応募単価だけでなく、面接単価や採用単価まで確認しましょう。
また、職種ごとに媒体の成果を見ることも重要です。営業職では成果が出ている媒体でも、エンジニア職では合わない場合があります。職種や勤務地ごとに数字を分けて確認すると、予算配分を見直しやすくなります。
求人媒体を削る前に、まずは原稿内容、掲載プラン、ターゲット設定を見直しましょう。改善しても成果が出ない場合に、停止や予算配分の変更を検討してください。
方法⑦ 採用代行(RPO)を活用して社内工数を最適化する
採用代行(RPO)を活用すると、採用担当者の工数を削減できます。求人作成、スカウト送信、日程調整、応募者対応などを外部に任せることで、社内は面接や採用判断に集中しやすくなります。
採用代行は、採用担当者が少ない企業や、複数職種を同時に採用している企業に向いています。スカウト運用や応募者対応に手が回らない場合も、外部の支援を受けることで対応スピードを改善できます。
ただし、採用代行にも費用はかかります。依頼範囲を決めずに丸投げすると、かえってコストが高くなる可能性があります。導入する際は、任せる業務と社内で対応する業務を分けましょう。
採用コスト削減で失敗しないための注意点
採用コストを削減する際は、費用を減らすことだけを目的にしてはいけません。採用基準や母集団形成の質まで下げてしまうと、入社後のミスマッチや早期離職につながるためです。
採用コスト削減で特に注意したいのは、次の3点です。
- 採用基準を下げない
- 広告費を削りすぎない
- 短期的な費用だけで判断しない
採用コストは、削ればよい費用と投資すべき費用に分けて考える必要があります。ここでは、採用コスト削減で失敗しないための注意点を解説します。
採用基準を下げると入社後のミスマッチが増える
採用コストを抑えたいからといって、採用基準を下げるのは避けましょう。短期的には採用人数を確保できても、入社後にミスマッチが起きる可能性が高まるためです。
たとえば、経験やスキルが不足している人材を無理に採用すると、教育工数が増えます。配属先の負担が大きくなり、本人も成果を出せずに早期離職するリスクがあります。
採用基準を下げるのではなく、「必須条件」と「歓迎条件」を分けて見直すことが大切です。必須条件は維持しつつ、入社後に育成できるスキルは歓迎条件に移すと、採用品質を落とさずに対象者を広げられます。
採用コストを削減する際は、安く採れる人を探すのではなく、自社で活躍できる人を適切な方法で採用する視点を持ちましょう。
広告費を削りすぎると母集団形成が難しくなる
広告費を削りすぎると、応募数が減り、母集団形成が難しくなります。求人広告は費用が見えやすいため削減対象になりやすいものの、安易に止めると採用活動全体に影響します。
特に、認知度が高くない企業や採用難易度の高い職種では、一定の露出が必要です。広告費を削った結果、応募が減り、採用期間が長引けば、かえって採用コストが増える可能性があります。
広告費を見直す場合は、媒体ごとの成果を確認しましょう。応募数だけでなく、面接数・内定数・採用数・採用単価まで見ると、削るべき媒体と残すべき媒体を判断しやすくなります。
広告費は一律で削るのではなく、効果の低い媒体から見直すことが重要です。成果が出ている媒体には必要な投資を残し、自社採用サイトやリファラル採用など別の応募経路も育てましょう。
短期的な費用削減だけで判断すると採用品質が下がる
採用コスト削減では、短期的な費用だけで判断しないことが大切です。目先の費用を減らしても、採用品質が下がれば、教育コストや離職による再採用コストが増えるためです。
たとえば、求人広告費を減らして採用単価が下がっても、入社後に定着しなければ意味がありません。採用活動では、応募単価や採用単価だけでなく、入社後の活躍度や定着率も確認する必要があります。
短期的な費用削減に偏らないためには、採用後の成果まで含めて振り返りましょう。入社後6か月・1年の定着率、配属先の評価、早期離職の有無を確認すると、採用施策の本当の費用対効果が見えやすくなります。
まとめ
採用コストを削減するには、求人広告費や紹介手数料を減らすだけでは不十分です。外部コストと内部コストを分けて把握し、採用活動のどこに無駄があるのかを確認する必要があります。
特に、求人広告や人材紹介への依存、選考辞退・内定辞退、早期離職が発生している場合は、採用コストが高くなりやすい状態です。自社採用サイトの整備、リファラル採用、SNS採用、選考フローの見直しなどを通じて、採用活動全体の効率を高めましょう。
ただし、採用基準を下げたり、広告費を一律で削ったりすると、応募数や採用品質が下がる可能性があります。採用単価だけでなく、媒体ごとの採用数や入社後の定着率まで確認することが大切です。
まずは現在の採用活動を振り返り、媒体ごとの応募数・面接数・採用数、選考辞退の発生箇所、早期離職の有無を確認しましょう。そのうえで、成果につながっていない費用を削り、採用品質や定着率を高める施策に投資することが重要です。
この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。







