新卒採用の課題とは?企業が直面しやすい問題と解決策をわかりやすく解説
公開日: 2026年04月28日
新卒採用では、学生の就職活動の早期化や採用手法の多様化により、「応募が集まらない」「欲しい人材に会えない」「内定辞退が増える」と悩む企業が増えています。
新卒採用の課題は、母集団形成・学生の見極め・内定承諾の3つに分けて整理することが重要です。課題を分けずに対策を進めると、説明会の参加者は増えても選考につながらない、内定を出しても承諾されないなど、採用成果に結びつきにくくなります。
本記事では、累計800社以上の支援で培った「採用ノウハウ」をもとに、新卒採用で企業が直面しやすい課題と解決策を解説します。読み終える頃には、自社の採用課題を整理し、次に見直すべき施策が明確になります。
新卒採用市場の最新動向
新卒採用市場は、現在も売り手市場の色が強い状況です。
リクルートワークス研究所の『大卒求人倍率調査(2026年卒)』によると、2026年卒の大卒求人倍率は1.66倍でした。前年の1.75倍からやや低下したものの、依然として企業の採用意欲は堅調です。特に300人未満企業の求人倍率は8.98倍と高く、中小企業ほど母集団形成の難易度が高い状況が続いています。
参考:リクルートワークス研究所『大卒求人倍率調査(2026年卒)』
また、企業側の採用難も深刻です。マイナビキャリアリサーチLabの『2026年卒企業新卒内定状況調査』によると、2026年卒の採用充足率は69.7%で過去最低でした。つまり、募集をかけても計画どおりに採用できていない企業が多いということです。
参考:マイナビキャリアリサーチLab『2026年卒企業新卒内定状況調査』
また、学生の動きも大きく変化しています。マイナビキャリアリサーチLabの『2027年卒 大学生広報活動開始前の活動調査』によると、2027年卒学生のインターンシップ等のキャリア形成プログラム参加率は85.6%に達しており、参加した企業に対して「働きたい」と感じた学生は89.6%でした。さらに、3月以降のエントリー予定社数は平均6.7社まで減少しており、学生は幅広く受けるよりも、早期接点のある企業を絞って受ける傾向を強めています。
参考:マイナビキャリアリサーチLab『2027年卒 大学生広報活動開始前の活動調査』
このように現在の新卒採用市場は、売り手市場が続く中で、企業が思うように採用できない構造が強まっています。
新卒採用における主な課題
新卒採用では、母集団形成から内定承諾、さらに入社後の定着まで、それぞれのプロセスでボトルネックが生まれやすい構造です。ここでは、企業が直面しやすい代表的な課題を整理します。
母集団が集まらない
新卒採用において最も多くの企業が課題として挙げるのが、母集団の不足です。売り手市場が続く中で、学生のエントリー数自体が減少しており、ナビサイトに掲載するだけでは十分な応募を集めることが難しくなっています。
特に中小企業や知名度の低い企業では、そもそも学生に認知されないことが大きな障壁になります。さらに、学生はインターンシップなど早期接点を持った企業を優先して選ぶ傾向が強まっているため、本選考のタイミングから接触する企業は不利になりやすいです。
この結果、「応募が集まらない」「説明会に人が来ない」という状態に陥り、採用活動のスタート地点でつまずく企業が増えています。
求める人物像(ターゲット)が定まっていない
「どのような人材を採用したいのか」が曖昧なまま採用活動を進めています。その結果、母集団の質がばらつき、選考の判断基準もブレやすくなります。
例えば、募集要項では「主体性がある人」「コミュニケーション力が高い人」といった抽象的な表現になっているケースが多く見られます。しかし、このような定義では、面接官ごとに解釈が異なり、評価の一貫性が保てません。
また、ターゲットが明確でない場合、学生に対する訴求内容もぼやけてしまいます。結果として、自社に合う人材には響かず、マッチ度の低い学生ばかりが集まる状態になりやすくなります。
採用活動の軸となるべき「求める人物像」が定まっていないことは、母集団形成、選考、内定承諾、さらには入社後の定着にまで影響を及ぼす重要な課題です。
選考辞退・内定辞退が多い
近年は、選考途中の辞退や内定辞退の増加も大きな課題です。学生は複数社を並行して受けており、選考が進む中で志望度の低い企業から順に離脱していきます。
特に、連絡が遅い、選考期間が長い、選考体験(採用cx)が悪いといった要因があると、他社に流れてしまう可能性が高まります。また、内定後もフォローが不十分な場合、より魅力的に見える企業へ意思決定が変わるケースも少なくありません。
人材の見極め精度が低い
採用できたとしても、自社に合わない人材を採用してしまうリスクがあります。特に新卒採用では、実務経験がないため、ポテンシャルや価値観を見極める必要がありますが、その判断は容易ではありません。
さらに、近年はエントリーシートや面接対策の情報が広く出回っており、表面的な受け答えだけでは本質的な人物像が見えにくくなっています。その結果、「評価したポイントと実際の行動が一致しない」というミスマッチが起こりやすくなっています。
採用担当者のリソースが足りない
新卒採用は業務量が多く、採用担当者の負担が大きくなりやすい点も課題です。母集団形成、説明会運営、面接調整、学生対応、内定者フォローなど、多くの業務を同時に進める必要があります。
特に人事担当者が少ない企業では、日常業務と並行して採用活動を行うことになり、十分な時間を確保できません。その結果、学生対応が遅れたり、選考の質が下がったりすることで、採用成果にも影響が出ます。
入社後の離職率が高い
新卒採用の最終的な課題は、入社後の定着です。内定承諾まで順調に進んでも、入社後に早期離職してしまえば、採用の成果は十分とはいえません。
離職の多くは、入社前の期待と入社後の現実のギャップによって生じます。仕事内容、働き方、人間関係などに対する認識のズレがあると、短期間での退職につながりやすくなります。
新卒採用課題別:解決策6選
新卒採用の課題は、原因に応じて打ち手を変えなければ改善しません。重要なのは、自社の採用プロセスのどこにボトルネックがあるのかを見極め、その課題に対して適切な施策を講じることです。
ここでは、代表的な課題ごとに具体的な解決策を解説します。
母集団形成
ナビサイトへの掲載で「待つ」だけでは、学生との接触機会が限られ、知名度の低い企業は不利になりやすくなります。そこで、企業から直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング(スカウト)」の活用が有効です。定型文ではなく「なぜあなたに声をかけたのか(Why you?)」を伝える個別最適化されたメッセージを送ることで、反応率は大きく向上します。
また、インターンシップやカジュアル面談をフックに早期接点を持ち、一方的な説明ではなく「対話」を通じて企業理解と志望度を高める仕組みづくりも有効です。
求める人物像(ターゲット)の明確化
まずは社内で実際に活躍している社員(ハイパフォーマー)を分析し、
・MUST(絶対に譲れない条件)
・WANT(あれば望ましい条件)
・NG(避けたい条件)
を明確に言語化しましょう。
その上で、具体的なペルソナ(架空の人物像)を設計し、そのターゲットが抱えるインサイト(本音や就活軸)に刺さるメッセージを求人票や採用サイトで発信することで、自社にマッチした層をピンポイントで集めることができます。
選考辞退・内定辞退防止
辞退を減らすためには、採用活動を「候補者体験(採用CX)」の視点で見直す必要があります。
学生は複数社を比較しているため、対応のスピードやコミュニケーションの誠実さがそのまま志望度に直結します。日程調整や合否連絡のスピードを上げ、待たせるストレスをなくすことが重要です。また、面接を「見極めの場」としてだけでなく、「相互理解の場」として設計し、傾聴を徹底することも有効です。
内定後は、人事だけでなく配属予定の現場社員を巻き込んだフォロー面談や座談会を実施し、学生が抱える「本当に自分でもやっていけるか」などの不安を丁寧に払拭することが辞退防止に直結します。
人材の見極め精度向上
見極め精度を高めるには、評価基準の統一と面接の質の向上が不可欠です。面接官ごとに感覚や印象で評価すると判断にばらつきが生じ、入社後のミスマッチを引き起こします。 あらかじめコンピテンシー(活躍人材の行動特性)に基づいた評価シートと質問集を整備し、面接官全員で基準をすり合わせることが重要です。
また、学生の表面的な発言だけで判断するのではなく、過去の行動事実から思考プロセスや再現性を引き出す「STAR面接(状況・課題・行動・結果)」の手法を取り入れ、事実に基づいた客観的な評価を行う体制を構築しましょう。
採用担当者のリソース不足解消
新卒採用は業務範囲が広く、限られた担当者だけで全てを担おうとすると負担が過剰になり、本来注力すべきコア業務に手が回らなくなります。採用業務を細かく分解し、「重要だが緊急ではないコア業務(戦略立案や魅力づけ等)」と、「緊急度が高いオペレーション業務(日程調整等)」を切り分けましょう。
日程調整やスカウト送信、一次面接などの実務は、採用管理ツール(ATS)の活用や、採用代行(RPO)といった外部パートナーへ委託することで効率化できます。これにより、人事は学生へのフォローや歩留まりの分析などに専念できる環境が整います。
入社後の離職防止
離職を防ぐためには、採用段階から入社後を見据えた設計が必要です。多くの離職は、入社前の期待と実際の業務とのギャップによって生じます。
そのため、選考の段階で良い面だけでなく、仕事の難しさや求められる役割も正確に伝えることが重要です。あらかじめ期待値を合わせることで、入社後のミスマッチを減らすことができます。
また、入社後のフォロー体制も重要です。配属直後の不安が大きい時期に適切なサポートを行うことで、早期離職のリスクを抑えることができます。採用は内定承諾で終わりではなく、その後の定着まで含めて設計する必要があります。
新卒採用の成功事例4選
ここでは、実際に新卒採用に成功した企業の事例を紹介します。
事例1:株式会社ライオンハート
課題
- 会社の成長フェーズに合わせて初めて新卒採用にチャレンジすることになったが、社内に採用ノウハウが全くなかった。
- 限られたリソースの中で、採用のスピードと質を両立させることが大きな課題となっていた。
提供内容
- 月額制RPO「人事ライト」での伴走:新卒採用の目的や方針の言語化から、全体設計、実行までをプロジェクトチームとして一緒に推進しました。
- スカウトのプロによるサポート:スカウト施策を軸に、学生の価値観に合わせたアプローチやターゲットの見極めをプロの視点で支援しました。
結果
- 初めての新卒採用ながら、26卒の採用目標である3名を無事に達成しました。
- 単なる業務代行にとどまらず、「チームで走った時間そのものが価値だった」と実感できるプロジェクトになり、採用ノウハウを社内に蓄積できました。
事例2:ヨシコン株式会社(総合不動産業)
課題
- 新卒採用担当の退職により、他業務と兼務しながら1名で採用を行うことになり、日々の業務を回すだけで精一杯になっていた。
- ナビ媒体など複数チャネルを活用して母集団形成を試みたが、選考に進む学生が少ないことが課題だった。
- 特に「県外在住のUターン希望学生」を採用したいという思いがあったが、出会いが作れずにいた。
提供内容
- 幅広い実務の代行:スカウト送信(月に40通程度)、カジュアル面談、インターンシップ、日程調整などの各工程を代行しました。
- 定例MTGでの戦略サポート:定例ミーティングを通じて採用全体を多面的にサポートし、「今の動きは最適か?」と立ち止まって考える機会を設けました。
結果
- 26卒の採用目標である4名を達成しました。同社では8年ぶりとなる女性2名の採用にも成功しています。
- 代行によって工数的なゆとりが生まれたことで、学生一人ひとりと丁寧に向き合える時間と気持ちの余裕が生まれました。
事例3:コネクシオ株式会社(情報・通信業)
課題
- 採用担当の人数が限られており(東日本担当で3名体制)、日常業務と並行してスカウトに十分な時間を割くことが難しかった。
- スカウト運用の知見が社内に十分蓄積されておらず、効果的な進め方が不明確だった。
提供内容
- スカウト・日程調整の代行:月100~300通の個別スカウト文章の作成・送信と、日程調整を代行しました。
- ノウハウの共有:画面を共有しながら、スカウトメールの送り方や学生の検索方法、検索軸の考え方を一から丁寧にレクチャーしました。
結果
- 学生のプロフィールをしっかり読み込み、成果に至るプロセスまでを言語化する丁寧なスカウト文面のノウハウが、社内に蓄積・共有されました。
- アールナイン経由の学生はドタキャンや音信不通が少なく、面談から内定までの歩留まりが非常によい採用フローを実現できました。
blogcard url=”https://r09.jp/case-study/27942/”
事例4:株式会社クラステクノロジー(IT業界)
課題
- 「ひとり人事」で工数もノウハウも不足している状態だった。
- 新卒採用ではエージェントに丸投げしている部分が多く紹介数にブレがあり不安定で、新たな採用チャネルの開拓が必要だった。
提供内容
- エージェントコントロールと実務代行:エージェント対応や書類選考を代行しました。
- 「伝え方」のブラッシュアップ:会社説明会や面接に同席し、理系学生には専門用語を交え、文系学生には平易な表現を用いるなど、学生への伝え方や構成のアドバイスを行いました。
結果
- 苦戦していた理系学生のエンジニア採用に成功したほか、数年ぶりに実施した営業職採用でも目標を達成しました。
- エージェントからの推薦数やマッチ度が向上し、説明会・面接の質を改善したことで選考への移行率が大幅に向上しました。
まとめ
ここまで見てきた通り、新卒採用市場は売り手市場が続き、企業同士が人材を取り合う構造になっています。だからこそ、場当たり的な施策では成果につながりにくい状況です。重要なのは、「なんとなくの採用」をやめ、自社にとって必要な人材は誰か、その人材にどう出会い、どう選ばれるかを戦略的に設計することです。
課題に合わせた解決策を実践し、「選ばれる採用」へシフトしていきましょう。
もし、「自社に合った採用戦略の立て方が分からない」「プロと一緒に整理しながら進めたい」と感じている場合は、ぜひ一度ご相談ください。アールナインでは、これまでの支援実績をもとに、貴社に最適な採用戦略の設計から実行までサポートしています。
この記事の監修者:
1999年青山学院大学経済学部卒業。株式会社リクルートエイブリック(現リクルート)に入社。 連続MVP受賞などトップセールスとして活躍後、2009年に人材採用支援会社、株式会社アールナインを設立。 これまでに2,000社を超える経営者・採用担当者の相談や、5,000人を超える就職・転職の相談実績を持つ。











